Varmiloアイリス軸レビュー - 魅力的だが未熟なキーボード
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前編からの続き
メイン環境が仕上がった今、メイン環境における最後の課題がキーボードである。
軽い後傾姿勢で作業できるデスクやディスプレイは用意できた。 だが、この後傾姿勢で最高のタイピングが実現できていない。
暫定的にHUNTSMAN TEを使っており、おおよそ機能的な不満はないが、タイピングがちゃちで気持ちよくタイプできない。
RealForce(45g)もLibertouch(45g)もHUNTSMAN V2(Linear)も、この環境だとちょっと重い。普通に打つことはできるが、肩が凝る。
Ultra Clasicも悪くはないのだが、Superキーがないというのがとても不便。 また、基本的にはワークルームの環境では軽いキーボードが望ましい。
前提を少し整理したいのだが、ワークルームで使用しているキーボードは次のようなものだ。
製品 | 機構 | 特性 | AF |
---|---|---|---|
HUNTSMAN TE | メカ | リニア | 40g |
RealForce R2 | ラバー+円錐スプリング | タクタイル | 45g |
Libertouch | ラバー+スプリング | タクタイル | 45g |
Ultra Classic | バックリングスプリング | クリッキー | 65cN |
HUNTSMAN V2 | メカ | リニア | 45g |
AFはアクチュエーションフォース=動作荷重である。
つまり私は45gの製品群を「重い」と言い、40gの製品を「軽くて節度がない」と言っている。
このことから、アクチュエーションフォースから望ましいフィーリングを探り当てるのは不可能だ。
加えて、ワークルームの「後傾姿勢でキーボードを傾ける」という状況を店頭で再現することもできないため、店頭でタイピングフィールを確認することもできない。
理想のタイピングを手に入れるのはかなり難しい状況だと言える。
Varmilo
Varmilo(アミロ)は中国のキーボードメーカーブランド。深圳市志海和科技有限公司が展開している。
日本でも(日本語配列で)展開していて、ふもっふのおみせで購入できる。
もともとはカスタムメイドのキーボードを取り扱っていて、それで有名になったのだけど、現在はオーダーはできなくなっている模様。
解決:JP.VARMILOのカスタマイズサービスは、一時停止しておりましたが、この度サービスを終了する運びとなりました。 なお、今後新しいサービスの開始が決定いたしましたら、メーカーより共有され次第、 弊社が運営するSNS等でお知らせいたしますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
ただ、既製品はふもっふのおみせで買うことができる。 スタンダードなデザインのキーボードが逆に買えなくなっていて、特徴的なカラーデザインやプリントのなされたテーマキーボードのみの扱い。
ちなみに、ブルーアーカイブ、アズールレーン、ニーアオートマタとのコラボキーボードもある。かなり高いけど。
軸は選ぶ余地がだいぶ減っているが、それでも製品によってはある程度選べる。
Varmiloの軸は第1世代となるのが桜軸, ローズ軸, デイジー軸, オレンジ軸, グリーン軸。 V2ではオレンジ軸がなくなり、第2世代のジャスミン軸とアイリス軸が追加された。
桜軸が標準で、ローズが重い、デイジーが軽い。いずれもリニア軸。 オレンジ軸はデイジー軸よりも少しだけ重く、デイジー軸ベースのカスタムで少し重くしたいキーに用いることが想定されているそうだ。 グリーン軸はクリッキー軸。第1世代の中でも後から追加された。
ジャスミン軸はいわゆるスピードシルバーに相当するもの。アイリス軸はタクタイル軸。
Varmiloのキースイッチは構造的にはメカニカルだけど、スイッチ自体は静電容量無接点方式が取られている。
トップはCherry MX互換のボックス形状。
Varmiloの製品は日本で縮小傾向に見え、ふもっふのおみせでもラインナップが減っている。 割と今後入手できなくなるかもしれないラインナップだ。
ただし、ふもっふのおみせ的には、唯一のJISキーボードラインナップであるので、残したいだろうとは 思うが。
「胡蝶の夢」TKL アイリス軸 レビュー
観察
購入したのはなんともドリーミーなデザインの「胡蝶の夢」というテーマキーボード。 レイアウトは80%(TKL)、軸はアイリス軸を選択した。
VarmiloのキーボードとしてはV2になっており、接続がUSB Type-Cになったほか、静音化が図られている。 (Varmiloのキーボードは結構うるさいことで知られていた)
胡蝶の夢はテーマキーボードとしては比較的新しいものっぽい。 おそらく、Auroraが一番新しくて、胡蝶の夢がその次じゃないだろうか。 US配列ならもっと新しいものもあるようだけど……
白ではないキーがグラデーションカラーになっており、ESC, space, EnterとF5〜8に模様が入った凝ったデザイン。
R1はロングスペースキーで、変換、無変換、かながショート(1U)のタイプ。 Fnキーが右にあって、なおかつメニューキーもある構成なので、右下のキーは全部1Uになっている。
私は変換/無変換を押さない人なので気にならないのだけど、変換/無変換が親指ポジに欲しいというこだわり派の人もいるらしい。 (Libertouchや、初代RealForceみたいな感じ)
一方、私はkanaでIMEオン、eisuでIMEオフというセットで使っているため、kanaに1.5U欲しいという気持ちはある。といっても、1UのHUNTSMANで全然困ってはいないのだけど。
スイッチマウントはフローティングタイプ。 見栄えを理由に嫌いという人もいるのだけど、液体こぼしに強いのと、メンテナンスしやすいので私はこちらが圧倒的に好き。
ただし、よくあるフローティングタイプのようにボードの上に乗っている形ではなく、ボードをデザインカバーで覆うような形になっているため、少し段差がある。 さらに、基盤との穴をスイッチが埋めている一般的なフローティングタイプと違い、基盤についているLEDを通すための穴があるため、液体こぼしで基盤まで行ってしまうデザインになっている。
ライティングは存在しているが、白色のみで、キーキャップは透過もしない。LEDはスイッチではなく基盤に取り付けられており、位置はかなり上側なので、文字透過のキーキャップをつけても文字が光ることはあまり期待できない。 (Cherry MX互換なので、キーキャップを付け替えること自体はできる。)
といってもJIS配列のキーキャップというのはあまり存在していないし、そもそも胡蝶の夢というデザイン性の高いキーボードを購入しているのにキーキャップを交換することはあまり考えられない。 気にすべきは純正キーキャップの品質だろう。
なお、LEDライティングはキーの裏を光らせる関係上、キーが逆光になって却って見づらくなる。 どちらかというと幻想的な雰囲気を演出するためのイルミネーションという感じで実用性はない。 また、そもそもLEDライトはそれほど明るくないため、普通に明るい部屋だと存在感はない。
CapsLockのインジケーターライトは存在していて、普段は存在感がないけれど、輝度が高いためついていればちゃんとわかる。 インジケーターライトはもうひとつあるが、NumLockでもScrollLockでもつかないので用途は不明だ。なお、キーボードにNumLockはない。
このキーボードのキーキャップは標準でPBT製の昇華印刷。V-Silkという名前がついている。
手触りはリプレイス品のキーキャップによく見られるタイプのものだ。 ザラザラしているわけではないが、ツルツルでもないしっとり感覚。 ドライ感は強く、指がペタつく感じは全くない。 Libertouchのキーキャップに少し似ているかもしれない。
キートップのくぼみは少ないが、自然と真ん中に指が行くようになっていて好印象。 キートップのフットプリントは小さめだが、キーを見失うことはほとんどない。
ふもっふのおみせが扱うVarmilo JISキーボードの共通仕様で、日本語印字がありになっている。 日本語印字があるとデザイン的にはかなりうるさくなるので、個人的にはないほうが良いなと思う。 かな打ちする人はかなの配列は覚えている可能性が高いし、高いキーボードを買うような人ならなおさらなので、かな印字って実はあまり必要なかったりする。
ちなみに、印字もグラデしているという、とても凝った仕様。
非常に高そうなデザインをしているが、胡蝶の夢はそこまで高いわけではない。 黒一色のCharcoalが17580円、グレー2色のBlack&Grayが18980円、白ピンクでスペースキーだけデザインされたSakuraが21280円、Black&Grayから3つだけ青色のキーを加えたMoonlightが21380円となっており、この次が胡蝶の夢と、白青でスペースキーだけデザインされた海の音色、そして白黒緑でスペースキーだけデザインされたパンダが21880円。 この上にはAuroraが24380円、Koiが24980円、アズールレーンモデルが28980円、ニーアオートマタモデルとブルーアーカイブモデルが29980円、となっている。
コラボモデルを除き、アイリス軸が選べるのはMoonlight, Panda, Sakura, 胡蝶の夢とだいぶ限られている。 つまり、アイリス軸観点だと21280円, 21380円, 21880円という微差で、この中では最も高いが、コラボモデルよりは安い。
胡蝶の夢のデザイン性は非常に素晴らしい。 キーボードはほとんどの場合白か黒なので、Varmiloの凝ったデザインはなんとも印象的だ。
ボリュームやメディアコントロールのキーをFn併用で持っている。 個人的にはこれは結構重要なポイント。作業中に音楽を聴いたりすることは多いからだ。
販売ページには
Fnキーと組み合わせたときにどのような機能かは、各キーの側面に記載されているのでいちいち取扱説明書を見る必要もありません。
という記載があるが、実際はキーにFnキー記載はないため、覚える必要がある。 Linux的にいうと、F7スタートでF12までAudioPrev, AudioPlay/Pause, AudioNext, AudioMute, LorewVolume, RaiseVolumeとなっている。
スタンドが2段階になっているが、私はそもそも傾けられるデスクで使うため関係ない。 滑りにくさという点だけ評価すると、非常に優れた滑り止めであると言える。 全てのスタンド状態で滑り止めが活躍するというのも素晴らしい。
接続はUSB Type-C。内側に入り込んだ形になっているが、大きくえぐってあるのでケーブルの自由度は高い。 なお、65%キーボードは外側についていて、完全に任意のケーブルを使えるようになっているようだ。
付属品はケーブル、キープラー、プラカバー。
ケーブルは胡蝶の夢の専用品というわけではなく、Varmiloにはカスタマイズで選択できるケーブル色というものがあり、その中からテーマに合う色が選択されている。 胡蝶の夢の場合はピンク色が付属。キートップは紫だが、ベースのほうはピンク色なのでそれに合わせたのだろう。
プラカバーは装着状態では打てないタイプ。 ほこりよけには良さそうだが、プラカバーそのものにゴミが入り込んでたので、あまり使う気にはならない。
タイピング
さて、待望のタイピングだ。
ファーストインプレッションとしては「重い」だ。 RealForceもLibertouchも、タクタイル部分で荷重が「にゅっ」と立ち上がる特性なので、タクタイル部分で抵抗感があるだけで全体としてはリニアに近い感触なのだが、このアイリス軸は早い段階でぐっと重くなるため、ぱっと触った感触は重い。
だが、それをわかった上でタイピングすると、決して軽いわけではない(少なくともHUNTSMANよりも重く感じる)が、重さが苦ではない感じになる。 感触は比較的Libertouchに近いように思うが、Libertouchはこんなに「しっかりした」打ち心地ではないため、「似てる」とは言い難い。
ラバーを使ったタクタイル機構の場合は、ぽこっとタクタイル領域を越えた瞬間に一気に落ちる感覚があるが、このキーボードはタクタイル領域が狭いため、スコッと入った先がリニアっぽい感触になっている。 ただ注意すべきはこのキーボードはアクチュエーションポイントとタクタイル領域がずれていて、タクタイル領域を越えてスコッと入った先にまだアクチュエーションしない領域というのが存在している。 かなり狭い上に、タクタイル領域の先は結構軽いので実用上は問題ない(そーっと押さないと気づかない)が、本当にタクタイルを使って最小で打つ人がいたら注意したほうがいいかもしれない。
むしろその特徴はタクタイル領域が浅いところにある、つまり「イニシャルが重い」というキーボードのキャラクターづけとしての影響が大きい。 このことが「指を乗せたときにキーがしっかりしていて動かない、力を入れると一気にスコッと入る」という特徴を生み出している。
その結果、力を入れないとキーが沈んでいかないのでミスタッチは大幅に抑制されるが、キーに「軽さ」はない。 これが印象として「しっかりした打ち心地」になっている。 正直、もっと軽くてもいいのではないかと思うが、これくらいのイニシャルがないとミスタッチは減らないという面もある。Cherry茶軸よりはよっぽどしっかりしている。黒軸くらいの重さに感じる人もいそうだ。
個人的にはこの特性なら、トラベル3mmにしてアクチュエーションも浅くしてもよかったのではないかと思わなくもない。
また、奥のほうも重いので、底打ちさせずにタイプすることはそれほど難しくない。 叩くように打つとタクタイル感が目立つが、ソフトタッチだとあまり目立たない。
10FastFingersで早打ちも試してみる。 ワークルームの姿勢は早打ちには全く向いていないが……
Libertouchの結果は75WPM.
HUNTSMAN V2の結果は80WPM.
Varmiloアイリス軸の結果は78WPM.
速度で見ればHUNTSMAN V2のほうが速いが、試行中明らかにVarmiloはタイプミス、特に「隣のキーを押してしまう」ことに起因するミスが少なく、非常に安定していた。 HUNTSMANは速いは速いのだが、隣のキーを押してしまうことがそれなりに多いので、1分間ミスなく打つことができず、かなりイライラしてしまう。 その点、このIris軸は明らかにミスが少ない。Libertouchよりも少ないので快適性が高い。
タイピングの楽しさがあるかどうかはやや微妙。 打ち心地はいいし、なかなか楽しいタイプフィールだとは思うが、テンションの上がるような感じではないと私は感じる。 ただ、かなりリズミカルに思えるので、ノッてきたらかなりいい感じになるかもしれない。
Nキーロールオーバーに対応しているのでゲーミングキーボードとしても使える。 ちなみに、Nキーロールオーバー機能は「6キー以上押した場合のみ有効になる」らしい。 常時有効にしたくない理由があるのかはよく分からないが……
実際にちょっとゲームで使ってみた。 そして結論としては、「ゲーム用のキーボードとしては、とてもおすすめできない」である。
音ゲーであるMUSE DASHでプレイしたところ、まずトリルがものすごくやりづらい。 単にきれいにトリルするの自体が難しいというのもあるが、トリルに対して入力がかなり不安定で精度が出ない。 難易度8くらいならおおよそ問題はないが、9になると大幅に精度が落ちる。
そして何より、6キー以上を高速で打鍵すると、入力が入らなくなる。 MUSE DASHプレイ中はかなりよく発生する。おそらくはNキーロールオーバーの切り替え機能が悪さをしているのだろう。 これは2000ks/mのような超高速タイピングができる人であれば、タイピングにも支障をきたす可能性がある。
原神をプレイするくらいであれば特に支障なくプレイすることができたし、快適だった。 ただ、ゲームのためにキーボードを選ぶとなると、かなりシビアな操作を想定するだろうから、ゲーミングキーボードとしては失格と言わざるを得ない。
なお、CtrlとCapsのスワップに対応しているが、私はCtrlは絶対左下に欲しい派1なので使わない。
右下がCtrl, Fnの順になっているのはよくないポイント。 Ctrl+PgDnのような操作は極めて多様するので、右下にCtrlが欲しい。 ANSIキーボードはFn, Ctrlの順なのにJISは逆なのはよくわからない。
実際、右下がFnになっていてCtrlが隣なのは、かなりストレスになる間違えを頻発させる。
私の場合Ctrl+PgUp/Dn, Ctrl+Home, Ctrl+End, Ctrl+Enter, Ctrl+BS,
Ctrl+\
に右Ctrlを使うのだが、本当に毎回間違える。
総評
現代のキーボードにおける機能的要求はなにか、と考えると、まず本体側USB Type-Cで脱着式、キーボードイルミネーション、メディアキー、TKL(もしくは65%)、Nキーロールオーバーあたりになるんじゃないかと思う。
場合によっては可変アクチュエーションポイントや、ラピッドトリガー2もあるだろうが、これはゲーミングキーボードとしての要求であり、通常のキーボードでは全く要求されない部分だ。
入力機器としてのキーボードとゲーミングデバイスとしてのキーボードにはかなり大きな隔たりがある。 ゲーミング製品としてのキーボードだと、保証期間中の故障は交換対応で、保証期間をすぎると故障対応自体されないということが多い。 それと比べて、入力機器・事務機器としてのキーボードは高い耐久性を要求する傾向だ。
じゅあ入力機器としてのキーボードがアンチゲーミング思想かというとそんなこともなく、高級キーボードは少なくともNキーロールオーバーには対応しているし、ゲーミング用の高度な機能は持っていなくても基本性能は備えていたりする。
じゃあ両者の差は詰まっているかというと、ゲーミングデバイスメーカーのゲーミングキーボードはゲームの非常にニッチなシーンに合わせ込んだ機能を持っていたりするので、むしろ開いている。 だから、ゲーミングデバイスとしてキーボードを選ぶのと、入力機器としてキーボードを選ぶのを同じ話の中に含めることはできない。
だが少なくとも、高レスポンスとNキーロールオーバーを備え、ハードな入力に耐えられるようになっていれば、カジュアルなゲームプレイでキーボードを取り替える必要がない。 これはかなり大きな利点であり、SuperキーがないUnicompキーボードは利便性が厳しい3し、Libertouchでもメディアキーがないことと、あんまりゲームで使わないほうが良い作りであることはネックに感じられてしまう。
ゲームにも使えるキーボードであり、メディアキーを持ち、Type-C脱着式になっている、というだけでかなり利便性は高いのだ。 ただ、そのようなキーボードは探せば割とある状態だから、そこをスタート地点にしていいキーボードを探す、というのが今のセオリーである気がする。
Varmiloのアイリス軸キーボードが「良いキーボード」であるのは確かだ。 デザイン性が優れており、キーキャップはリプレイスの必要性を感じない品質がある。
タイピングフィールも非常に良いが、万人向けとは言い切れない。 といっても、茶軸がメカニカルキーボードの中では万人向けと言える以上、本当にすべてのPCユーザーを対象にするのであれば、むしろRealForceあたりよりも万人向けである可能性はあるが、こうしたたゲーミングキーボードを求めるユーザーは「軽いキーボード」を欲するのが近年のトレンドであるため、そうしたニーズとは噛み合わないように思う。 そのような人は素直にジャスミン軸を選ぶほうがいいだろう。
タイピングに関しては、単純な印象よりも実際はずっと良い。 最大の理由は、その荷重特性によりミスタッチが非常に少なくなるため、ストレスが少ないことにある。
一方でゲーミングキーボードとして選択するのはやめたほうが良い。 入力精度の問題や、隣接キー/多キー入力時の挙動のおかしさなど、問題点が多い。 もちろん、カジュアルなゲームプレイに使う分には問題ない。
総じて、アマチュア的な未熟なメーカーの製品であるように感じられた。 タクタイルとアクチュエーションポイントが噛み合っていない、ゲーム利用で致命的な問題がある、Ctrl/Fnが配列のせいで逆になってしまう、など成熟したメーカーであればやらないような多数のミスが存在しているのは、知見が足りないせいだろう。
RealForceやHHKBのようなキーボードとしての成熟、あるいはRazerやSteelSeriesのようなゲーミングデバイスメーカーとしての成熟を期待して購入するのはやめておいたほうが良い。 このキーボードは少なくない欠点がある。
だが同時に、デザイン面以外においてもかなりの魅力を持ったキーボードであるというのも確かだ。 特にこのタイピングフィールは他のキーボードとは明らかに異質なものだし、茶軸では味わえないものになっている。 独自の軸を採用するチャレンジングな姿勢は評価できるし、それがちゃんと魅力的なものに仕上がってもいる。 そして、私としてもワークルームのキーボード問題に関しては、このキーボードで満足できるという結論になった。
そういう粗削りだが魅力のあるものを「良い」と思える人ならいい選択だと思う。4 今後の存続・展開が不安定に見えるために「今しか味わえないかもしれない経験」という意味もあるだろう。