Chienomi

キーボード編成の変更――メインをHUNTSMAN Tournament Editionに

Live With Linux::hardware

メインデスクトップ(ワークルームにあるRyzenマシン)をHUNTSMAN Tornament Editionに、寝室のデスクトップをRealForceにした。

現状、例の事情により封印されたものを除外すると、キーボードの選択肢は次の通りである。

  • RealForce R2 45g (汎用性・フィーリングで高く評価、気にならないキーボード)
  • Libertouch (第一世代) (打ち心地で高く評価、気分の高まるキーボード)
  • Unicomp Ultra Classic JP (確実性で高く評価、気分がノッている時に良いキーボード)
  • EDGE201 (悪くないゲーミングキーボード。やや指が疲れる)
  • HUNTSMAN MINI (コンパクトなゲーミングキーボード。カーソルオペレーションキーがないことだけが残念)
  • TK-DUX30 (硬めのゲーミングメンブレンキーボード。フィーリングは良さそうだが、実際何に使ってもあまり良くない)
  • Lenovo Prefered Pro (異様に疲れる、最低なキーボード)
  • HIDISC HDKB-3147 (全体的にいまいちなキーボード。底面がとても滑る)
  • Perixx PERIBOARD-106 (良い感触のメンブレンキーボード。でかい)

特殊なものは次のとおり。

  • ThinkPad Trackpoint Keyboard (トラックポイントつきキーボード。ThinkPadのキーボードで、ThinkPad X1よりもフィーリングは良い)
  • SKB-SL18 (ミニマムサイズのキーボード。特に打ちやすくはないが、非常に小さい割に普通に使える。寝室でデスクを残したい時に使用)
  • K400p (トラックパッドつきキーボード。防音室で使用)
  • FMV-KB325 (PS/2のキーボード。すごくふにゃっとして超打ちにくい)
  • SKB-L1 (PS/2のキーボード。最安クラスだが、かなり打ちやすい)
  • SKB-SL10 (ミニキーボード。ポケットに入るサイズで、キー自体小さいので普段遣いするものじゃない)

しばらく寝室はEDGE201とSKB-SL18、メインデスクトップはRealForceという構成にしていたが、今回変更した。

そもそもの経緯

もともとのタイピングがかな打ちということもあって、鍵盤上で指を舞わせるオルガンスタイルのタイピングであった。 このタイピングは手自体をキーボードから離すため、「力は入っていないが勢いはついている」という状態になり、比較的抵抗も反発も強いキーボードが必要だった。

このことからRealForceのように感触が明確でないキーボードは苦手で、緑軸(クリッキー80cNアクチュエート)やリニアグレー軸(リニア85cNアクチュエート)といった非常に重いキーボードを使ってきた。

だが、いくらなんでもここまで重くすると指が疲れるため、初期入力で勢いを殺しつつ、重くはなく、しっかりした反発があるキーボードということで選んだのがUnicompキーボードである。

このキーボードは非常に良いが、キー自体が押しづらいことと、非常に煩いことが難点だった。 キーボードに対して非常に意識がいくキーボードなので、勢いがあまりないときだと思考をキーボードに取られてしまう。

また、数年を経てあまりキーボードを強く打鍵しなくなってきたため、マイルドなタクタイル感と良いフィーリングを持つLibertouchを導入した。 Libertouchは非常に打ち心地が良いため、とても筆が進む良いキーボードだった。

Libertouchがあまりに良いキーボードであったため、これ以降あまりキーボードを買わなくなる。

そして引っ越した後に、RealForceを導入した。 Libertouchを導入してから、よりキータッチが軽くなった、ということと、そもそもそれまでは「前傾でしっかりと腕を固定し、手首で打つ」という感じだったのだが、それよりも体重全体を椅子に預ける後継スタイルのほうが負担が少ない、ということを知ったため、後継スタイル導入に進んだのだが、後継スタイルだとキーボードにかなり角度がついている(だいたい45度くらい)ため、重力が働きにくくキータッチがかなり弱くなる。すると、45gのLibertouchが「押せない」のだ。 このことから、初期荷重が少なくても押しやすいRealForceを導入した。

が、実際に後継スタイルを完成させてみると、「RealForceは深い」という問題に直面した。 RealForceは押せないわけではないのだが、アクチュエートポイントまで持っていこうとすると、結構押し込む必要がある。 普通なら重力によって自然と押し下げるため、むしろ少ないストロークにすることのほうが難しいが、大きく傾斜をつけると、「押す」アクションが必要になってくる。そうなると、RealForce程度でもタクタイルが壁になってしまい、「押す」という意識が必要になる。

別の言い方をすると、「LibertouchからRealForceに変更したことで、改善はしたが十分ではなかった」という話だ。 ちなみに、RealForceは寝室で使うと最高のフィーリングを発揮した。寝室は72cmのデスクに、コクヨの事務椅子という組み合わせになっており、非常に標準的な環境である。

一時期はRealForceが寝室、Libertouchがメインだった。 これは、寝室ではフルキーボードは邪魔だからで、ここから寝室にSKB-SL18を入れてメインをRealForceに戻し、しかしSKB-SL18だけだとゲームはしづらいし、文章を書くのにも適さない、ということで、やや雑に扱うために「少し微妙」と感じているEDGE201を寝室に追加で持っていき、必要なときに使う形にした、という流れである。

今回の流れ

HUNTSMAN MINIを購入したのは、前々から気になっていたから、というのもあるし、持ち運びやすい省スペースで高性能なキーボードを求めていたというのもある。 MINIのほうが白があり、非常に美しいし、もしこのキースイッチが「ハズレ」だとしても、ある程度のクオリティが確保できていれば、コンパクトなキーボードとしての立ち位置を確保できる、といった判断が働いている。

Lenovo Prefered Keyboardと磁気研究所のキーボードは、はっきり言って捨ててしまっても構わないキーボードだ。まともに使う気には全くならない。だが、手が汚れる作業をしている時などは、こういうキーボードが必要なときもある。

FMV-KB325はよりひどいが、PS/2ということでかろうじて存在価値がある。 Windows98は初期セットアップでPS/2キーボードしか認識されないからだ。

DUXも捨てて良いキーボードに属する。こちらは、なにかキーボードがほしい、という人がいたらあげようかな、と思ってるくらいの感じだ。普通に打てるキーボードではあるため、ラップトップのキーボードを使うよりは良いだろう。

これらの事情から言えば、キーボード環境的には「満たされている」(余りもなく適切に配置できている)のだが、HUNTSMAN MINIを入れたことで大きく事情が変わった。 「非常に素晴らしいフィーリングなので、メインに入れたくなった」のだ。

そこでHUNTSMAN Tournament Editionを入れたのだが、少し補足が必要だ。

HUNTMAN MINIのリニアスイッチは第二世代で、アクチュエーション荷重は48g、アクチュエーションポイントは1.2mmの静音スイッチ、というものである。 一方、HUNTMAN Tournament Editionは40g, 1.0mmの非静音スイッチだ。

つまり、HUNTMAN MINIは少し重めでアクチュエーションポイントが浅い、という形でバランスを取っている。一方、HUNTSMAN Tournament Editionは軽い上にアクチュエーションポイントは非常に浅いので、とにかく反応至上主義である。

こうした面から言えば、HUNTSMAN MINIのキーはデメリットを軽減しバランスよく優れたキーボードに仕上がっているのに対し、HUNTSMAN Tournament Editionはメリットを追求するためにデメリットも強くある。

だが、これさえもメインデスクトップでは良い要素だ。 HUNTSMAN MINIは1.2mmで反応するため、「押しそこねる」ことがまずない。 荷重的にはRealForceよりも少し重いわけで、恐らく「押せている深さ」自体はRealForceと同じか、浅いはずだが、問題自体は「浅くても反応する」ことによって解消される。

しかし、それでも「確実なキータッチ」はここまで傾斜をつけると「少し重い」と感じてしまう。 反応に対する問題へのアプローチとして、30gや35gといった極端に軽いものを使用するよりは、「キーストロークが浅くて良いものにする」というのは正しい。 とはいえ、重く感じるのであれば軽いキーであるべきで、いくらか軽いキーボードが望まれる。40g/1.0mmというのは、むしろバランスが良好だと言える。

ちなみに、アクチュエーションポイントが浅いということは「誤打りやすい」ということでもあるのだが、私はホームポジションを維持するタイピングではないため、キーに指を乗せたままにすることはないから、この手の自己は起こりにくい。 ただ、「隣のキーに触れる」という事故は普通に発生する。ただ、最近は腕全体を固定することありきにしている(この点、WINcaseチェアは素晴らしい)ため、この事故もあまり起きない。実際、寝室で使っているときより余計なタッチはずっと少ない。腕を固定するのは大事だ。

単純に第一世代で残念なのは、キーに若干のぐらつきがある、ということだろう。 これはどうしようもない。

ちなみに、HUNTSMAN MINIキーボードは、単に軽くて確実に打てる、というだけでなく、打ち心地もLibertouchに似た高揚感、心地よさがある。 マットながら明るい白と美しいイルミネーションは素晴らしいアピアランスを提供しており、これを買った翌日に「これはRealForceを置き換えるためにテンキーレスを買うしかない」と思うくらいの素晴らしいキーボードだ。 RealForceとLibertouchの出番がなくなってしまいそう。

HUNTSMAN Tournament EditionとHUNTSMAN MINIの比較

わかりやすい違いは、HUNTSMAN MINIがカーソルキーもないミニキーボードであるのに対して、HUNTSMAN Tournament Editionはテンキーレスキーボードであるということだ。

だが、この両者はそれ以上に大きな違いがある。

前述の通り、HUNTSMAN Tournament Editionは第一世代の、HUNTSMAN MINIキーボードは第二世代のリニアスイッチを採用している。

第二世代のキーは、非常に馴染みやすく、静かで、非常に良い感触を与えてくれる。 一方、第一世代のキーは、わずかに触れただけで入力され、キーはガタつき、非常に煩い。このうるささは、青軸とも変わらないレベルだ。

ほんの少し触るだけでキーが入力される、というのは驚くべき感覚だ。 キーに指をおいただけで入力されるという感覚であるため、誤打は凄まじく発生する。

さらに、押した感触に乏しく、キーはがたつき、煩いため、快適性はそんなに高くない。 非常にピーキーなキーボードだ。

そのカタつき、フィーリングは、伝わる人は少ないだろうが、Cherry MX互換軸の中華キーボードのようなものだ。

一方、このちょっと触れただけで入力されるというのは、非常に便利でもある。 関係ないキーに指が触れないようにするという必要はある。 個人的にはバックスペース周りのキー、^\が入力されてしまうことが多く、難易度はかなり高い(難易度が高いキーボード、という言葉を使うのも初めてだ)。 そして、実際にそれが指の力が入りにくい傾斜したポジションにおいて有効に働くのだ。実際、後傾ポジションにおける入力の快適性は格段に高い。だが、心地よくはない。

フィーリング、キーボードとしての魅力でいえば、HUNTSMAN MINIが格段に勝る。 単にキーレイアウトの違いで語れるようなものではなく、両者は完全に別のキーボードだ。

HUNTSMAN MINIが(カーソルキーがないなど、ミニキーボードの難点を別にすれば)隙のない素晴らしいキーボードであると感じることからすると、HUNTSMAN Tournament Editionはむしろ欠点のほうが目立つキーボードであり、その「軽い」「浅い」という強みだけで押し切るようなものである。

(さらにいえば、HUNTSMAN TEはイルミネーションがあまり明るくないという意味でも微妙である。)

誤解を恐れずに言うならば、HUNTSMAN TEはキーボードとしてあからさまに未成熟であり、不完全である。HUNTSMAN TEを知る人に対してHUNTSMAN MINIを語るなら、完成度が格段に上がりまるで別物になったと勧めることもできるし、あの鋭いフィーリングは鳴りを潜めたと注意することもできる。 逆に、(私のように)HUNTSMAN MINIを知っていて、HUNTSMAN TEを検討している人であれば、HUNTSMAN MINIのように素晴らしいフィーリングを持っているわけではなく、HUNTSMAN MINIのように浅いアクチュエーションポイントなども気にならない、などということはなく、相応にピーキーで癖のあるキーボードだと注意を促すことになるだろう。

ここまで読んで、HUNTSMAN TEがあまり良いキーボードではないと理解した人も多いだろうが、私は別にHUTNSMAN TEを購入して失敗したとは感じていない。 確かに今回の記事を書いている間も非常に誤打は多かったが、書いている間にもだいぶ誤打は減った。 そして、この後継ポジションに適したキーボードとしてこれ以上はないものなのだ。

実際のところ、後傾姿勢で快適に操作できるようにRealForceを導入したが、入力に重さを感じてしまい、結局椅子を起こしたり、寝室で作業したりしてしまいっていた。 HUNTSMAN MINIを使うことで入力しそこねることは減るが、やはり疲労感はあり、 HUNTSMAN TEはミスタッチは発生するものの、疲労感なく後傾姿勢でのPCスタイルをきちんと形にすることができた。 私にとっては、このスタイルになくてはならないものなのだ。

HUNTSMAN MINIをもっと活かす

とはいえ、HUNTSMAN MINIが非常に素晴らしいキーボードであり、ミニキーボードであるがためにその活躍の場が限られるというのは非常に残念だ。

そこで、私が考えたのが、テンキーを利用するということだ。

ミニキーボードを使っていながらテンキーを使うとはどういうことか、と思う人もいるだろうが、ここはNUMLOCKキーが関係してくる。

NUMLOCKキーの仕組みを知らない人も多いかと思うが、まずテンキーレスキーボードの場合、NUMLOCKはキーボードの一部分をテンキーのように扱う機能である。ほとんどの場合、NUMLOCKオフで使用するが、稀にテンキーを必要とする場合に、NUMLOCKをオンにしてテンキーの代わりに扱う。

一方、テンキーがある場合においては、NUMLOCKがオンであればテンキーはテンキーとして機能するが、NUMLOCKをオフにすると主にカーソルオペレーションのキーとして動作する(カーソルキー, PgUp/PgDn, Home/End)。

テンキーをNUMLOCKオフにして使うということは、そもそもキーボードにカーソルオペレーションキーが存在するためあまり行わないが、事務系の人はNUMLOCKによるトグルを駆使し、右手だけでキーから手を離さずに連続入力したりする(主に表計算ソフトで)。

これは、表計算ソフトのオペレーションを右手で固定したまま行うためのものだが、ミニキーボードにテンキーを組み合わせる場合、「カーソルオペレーション用の拡張キーボード」として使うことができる。

注意として、Linux上ではテンキーキーボードが動作しない可能性があるということだ。 私は依然iBuffaloのテンキーを購入したが、これはLinuxでは動作しない。

ちょっと調べてみたところ、Windowsのみ対応のものとMacにも対応しているもの、そしてさらにAndroidやChromeOSにまで対応しているもの…といった感じであるようだ。 Windowsのみ対応が書かれているものはMacでは動作しない傾向があるようで(サンワサプライのものなど、Macでしか動作しないものもあるらしい)、Mac対応のものでも一部の機能は動作しない(ファンクションキーなど)というものもあるらしい。

Linuxで使える期待値が高いのはWindows, Mac両対応のもの、そしてAndroidやChromeOS(Linuxカーネル)にも対応していればなお良い。

また、NUMLOCKは非連動のものが望ましい。

なかなかこの条件を満たすものがないのだが、キャンドゥで打っているテンキーがこれを満たす(!)。 購入してみたところ、このテンキーはKonig ElectronicというカナダのメーカーのCMP-KEYPAD12という製品らしい。キャンドゥのパッケージはWindows/Mac対応という記載になっているが、本体側にはAndroidという記載もある。 そして、実際に試したところ、このテンキーは動作する。 

HUNTSMAN MINIはカーソルオペレーションのしづらさを除けば最高の集大成のようなキーボードなので、カーソルオペレーションを補助することができれば、無欠のキーボードとなるだろう。

Razerキーボードの話

Windowsのほうは、つないだら即座にRazerのソフトウェアのインストールを促してきた。 ログインが必要らしく、ちょっと面倒だ。

Linuxでも、Manjaro的にはopenrazer-meta-gitpolychromatic-gitを入れればコントロールできる。

HUNTSMAN TEに関してはイルミネーションの設定にこれらのソフトウェアが必要になる。 HUNTSMAN MINIはversion3.0.1時点で対応していない。

HUNTSMAN MINIはLinux上で、いくつかのキーが正しく動作しなくなる(e/jがEscに, 変換と無変がFnに, Kanaがe/jに)という問題があり、これはWindows上のRazerソフトウェアによって設定を行うことでリセットされ正しくなるが、Linux上で使っていると再発し、OpenRazerによってこれを解消することができない。

なお、Windows上ではRazerのソフトウェアはゲーム向けの積極的なアピールを行う。 単にキーボードとしてゲームを考えたということじゃなく、ゲーミングということで特化した様々なアプローチがあるのだということには少し驚いた。

今回を経た最終的な構成

メインデスクトップ

  • 通常接続はHUNTSMAN TE
  • 小説を集中して書きたいとき Libertouch
  • モチベーションが非常に高い、あるいは強引にでもモチベーションを上げたいとき Unicomp

寝室

  • 通常接続はRealForce
  • SKB-SL18とEdge201も用意しているが、出番があるかは不明

旧ワークステーション

必要に応じてThinkPad Trackpoint Keyboard。

サーバー

必要に応じてSKB-SL10。

リビング

常時HIDISC HDKB-3147 (このマシンで文字を打つことはほぼない)。

MX2

必要に応じてFMV-KB325(このマシンはシステム起動されることはほぼなく、オーディオはリモコン、またはフロントパネルで操作される)。

防音室

常時K400p。

位置づけ行方不明になっているキーボード

  • HUNTSMAN MINI
  • PERIBOARD106
  • EDGE201

いずれも良いキーボードだが、マシンに常時つないでおくシチュエーションを持っていない。 HUNTMAN MINIは持ち運び用として控えにおいておくか、スペースがない時用に控えにおいておくかという立ち位置だが、これだけ良いキーボードが控えというのも残念な気がする。しかし、やるとすれば寝室メインくらいなので、そうすると今度はRealForceが浮く。

HUNTSMAN MINIに関しては、会社PCでの自宅作業に使おうかな、というのが現在の目論見。 コードを書くときに、カーソルオペレーションが面倒、というのが何よりの欠点だが、それはThinkPadについているキーでやれば良いし、コードをひたすら打っているときはメリットが活かせるだろう。

PERIBOARDとEDGE201は「特筆できる程度には良いが、他のを差し置いて使う理由はない」という感じで、ちょっと行き場がない。