Arteckのワイヤレスキーボードのレビューっぽいやつ (リビングでの奮闘)
読み物系記事::review
talkカテゴリについて
新カテゴリtalk(「読み物系記事」)は、技術的な話ではあるけれど、技術的な知見が得られる内容では特になく、どちらかというと読み物として楽しめるような内容の方向性のカテゴリである。
Linuxの話題が中心になる場合はlinuxカテゴリになる。 また、特定に製品に関する話題についてはproductカテゴリになる。 talkカテゴリは他のカテゴリに該当しない場合の落ち先である。
序
私の家の中で一番ゴールを見つけられていないのがリビング環境だ。
リビング環境はほとんど動画を見るための環境であり、初期は大画面のTVと、A10プロセッサのPCを組み合わせ、AmazonプライムビデオやYouTubeを見たり、読み物系のゲームをしたりしていた。
その後、PCはA10のPCとZ400ワークステーションで何度か入れ替えられ、現在はP720ワークステーションと、大型ディスプレイの組み合わせになっている。
この環境は実用上は「いらない」存在だ。 もともと、防音室を入れる前提だった広いリビングを見たときに、「これならゆとりある生活を見た演出できるのでは?」と思ってそれっぽい環境を作ったのが始まり。 現在はすでに防音室があるため、単純に広さだけで言うとワークルームのほうが空間が取れる始末だ。
そんなリビングをどう使うかが、私の生活が健康的かどうかを測る指標だと考えている。 特に、現在はAmazonプライムも解約し、YouTubeも見なくなり、「動画を見るための時間」というのがほぼないため、なおさらだ。
最も妥当な使い方は「食事場所」だ。 寝室はベッド近くの狭い空間だし、ワークルームはカーペットな上にごちゃごちゃしていて汚すと面倒。 だから基本的にはリビングで食事をするのが望ましい。
けどさ、孤食って時間かけても楽しくないよね。
動画を見なくなったために、食事を埋めるエンターテインメントがなくなってしまい、従来よりさっさと済ませるようにした結果、そもそも出して片付けての手間が発生するリビングで食事をしなくなった。 もはや台所で食べるでもいいレベル。
だがそれでも、なんとかリビングという空間を有効に使って、少しでもゆとり感を出したい。
リビングまわりの環境自体が結構変更されていて、現在は小さなローテーブルとソファチェアという組み合わせになっている。 この変更はリビングをより使いやすくするとともに、ゆったり感を出すためのもので、2022年の年末に向けて投入された。
だが、この変更でテーブルは「料理がぎりぎり乗る」程度のサイズになった。
これとは別にもともと防音室で使っていた30x30cmのミニテーブルを併用しており、高さ的にもマウスやキーボードを乗せるのにちょうどいい。 しかし、30cmというサイズはマウスやキーボードがそうそう乗らない。
加えて、テーブル出しっぱなしだと邪魔なのでしまうのだが、そうするとキーボードやマウスはPCの上化、本棚の余ったスペースに置くしかなく、大きいのは乗らない。
そこでうってつけなのが、ThinkPadキーボードだ。 有線モデルは2016年あたりのThinkPadの打感を持つなかなか良いキーボードで、トラックパッドなしでトラックポイントを装備する、生粋のThinkPadを感じさせる逸品。 キーボードにペタペタ感のあるBluetoothモデルとは違う。
が、これがダメダメの逸品であり、microUSB端子がやわやわ金属な上に閉じていない(切れ目がある)上に、それを囲うプラスチック部分は端子よりも一回り大きい、という意味不明な仕様により、microUSB端子が開いてしまい、まともに接続できなくなる。
なんとかそれに耐えながら使っていたが、こんな調子ではリビングPCを使いたいとも思えない。
2023年の年末を前にして、なんとか改善したいと考えた。
コンパクト環境への道
理想的にはThinkPadキーボードのように、必要なキーは揃っていながらポインティングデバイスをコンパクトに備えた、ラップトップのようなキーボードだ。
ThinkPadキーボードはイケていないが、いいキーボードがある。 それが金井電器産業のキーボードだ。
古臭いが実直な作り。 ストローク3mm、キー荷重55gのパンタグラフキーボードは、きっと古いラップトップのような堅実なうち心地だろう。 ちょっと奥行きは大きいのは気になるけれど。
これは素晴らしい製品にしか見えない。なくなってしまう前に1本買っておくべきだろうと思う。 だが……高い! えらい高級化してしまったBluetooth版ThinkPadキーボードより高い。 リビングのキーボードとかほとんどタイピングしない上に、食事しながら使うというリスクを考えるとちょっとピンとこない。
実際探してみると分かるのだけど、USキーボード、あるいはUKキーボードだと選択肢がものすごく豊富で、JIS配列に絞ってしまうとこういうちょっと特殊なキーボードは驚くほどモノが少ない。 それどころか、60%キーボードすらだいぶ少ない。
サンワサプライにはトラックボールつきのキーボードやタッチパッドつきのキーボードがあったりするけれど、割とお高め。 定番どころだとロジクールのK400pもあるけど、こちらはキーサイズ自体が小さいタイプで、キータッチもふにゃふにゃなので打つのはだいぶしんどい。
ここらへんで妥協するしかないかなぁ、と思っていたところへ、Amazon Vineでトラックボールを手に入れることができた。
実は私は親指トラックボールはそこそこ経験があり、リビングでも以前はナカバヤシの親指トラックボールを使っていた。 ただ、ナカバヤシの親指トラックボールそのものがあんまりよくなかったのと、合わせるキーボードがなかったので、お蔵になっている。
このSEENDAのトラックボールは、ロジクールのMX Ergoほどよいわけではないが、ナカバヤシのものよりはずっとよく、だいぶ実用的に使える。 そして、トラックボールとの組み合わせなら30cmのテーブルでも小さいキーボードなら乗る。
というわけで、「小さいキーボード」にターゲットを使っていた切り替えて探し始めた。
意外と難しい小さいキーボード
小さいキーボードというだけならそれなりに色々あるのだけど、極小サイズのキーボードはさすがにストレスなので避けたい。
手元にあるものでいうと、サンワサプライのSKB-SL18はほぼ60%キーボードのサイズで極小である。 ちなみに、これも寝室で食事をするときに気にならず邪魔にならないのを目指して買ったもの。
このキーボード、軽くて小さくて割と普通に打てるので結構いいぞ。
ただ、有線なのでちょっと邪魔。リビングPC周りはスペースを都合しないといけないことが多い上に、キーボードも片付けないといけないから、有線はあんまり向いてない。
ちなみに、有線だとサンワサプライには普通のキーボードのままキーをみっちみちに詰めたキーボードというのも存在する。
しかしこれで無線、かつBluetoothではなく2.4GHzという条件にすると、本当に見つからない。 US配列なら別に60%キーボードとかでいいので、割とよくある話(中国メーカーからも色々出てる)なのだけど、日本語配列だと1万円超えになってしまう感じだ。
しかし、条件を絞った検索(“ワイヤレス”, “2.4GHz”, “60”, “コンパクト”)では引っかからないが、単に「キーボード」だけで検索して探すと見つかるのが、Arteck製品。
日本で結構勢力的に製品を出しているメーカーらしく、日本ローカライズされた製品も出しているため、怪しげなセラーやOEMメーカーではなく、「メーカー」であることが分かる。メーカーサイトは見つからないが、公式サイト跡地は中国CDN使ってるっぽいので、まぁ中国のメーカーだろう。 Amazonでのサンプルレビュー時代から中国メーカー/セラーと付き合いの長い私の経験を元にすると、こういうメーカーは「まぁまぁ信用できる」。
商売が中国流だったりするので少し慣れは必要かもしれないが、ポイントを押さえればいい相手だ。 ローカライズ製品まで出していると撤退コストが大きく、信用を失うようなことはしたくない。そのため、製品に問題があった場合に連絡すると、かなり丁寧かつ迅速に対応してもらえることが多い。 なお、製品に不良があった場合の対応は大抵超絶速い。そもそも中国流の商売が廉価多売のスタイルだったりするため、歩留まり抑制や検品が若干甘く、その代わり問題があれば即座に交換するというのが一般的なので、中国メーカーと直接やりとりできるタイプの場合は製品の不良はあまり恐れる必要はない。 まぁ、招待が明らかでない悪質なセラーには注意したほうがいいけど。
Arteckの日本語配列無線キーボードで一番安いのがHW098。 本当に最小限で、2299円(私が見たときは1954円)。
その上にあるのがHK305。 キートップがくぼんでいる特徴的なキーボードで、このスタイルはArteckとしては自信があるのか、バリエーションがあったりする。 バッテリーが内蔵になっているのが大きいが、その分当然ながら重い。 HK098が217gに対して、341g。パナソニックのアルカリ乾電池は単3形で23gだそうなので、重さを感じるようになっているのは確か。 ただ、HK098はキーボード自体がぺなぺならしいので、軽ければいいというものでもない。 お値段は2799円(私が見たときは2599円)。
そして私が購入したのがHK086。 ステンレスボディでだいぶおしゃれかつ実用的な感じに仕上がっている。重量は310gとHK305より軽め。バッテリーは内蔵。 お値段は3599円とだいぶ上がるが、私が見たときは20%オフクーポンがあり、差は小さくなっていた。
なお、私が日本語配列にこだわるのは、私がJISかな打ちであること(別にローマ字でも打てることは打てる)と、LUKSパスフレーズが記号を含む複雑なものなのでUSキーボードでのタイピングが厳しいことから。 そんな私でもUSキーボードを買うことを真剣に検討したくらいなので、普通にローマ字打ちしている人は「USキーボードも打てる」というスタイルになっておくのも悪くはない。
Arteck HW086レビュー
かなり高級感があり、質感はとても良く、軽い。 また、非常にコンパクトだ。
コンパクトではあるが、内容的にはラップトップと同じようなキーボードなので、使い勝手の面では全く問題ない。
タッチに関してはやや硬めで、しっかりしたパンタグラフキーボードという感じ。 15インチクラスの「比較的キーボードが打ちやすいラップトップ」くらいだろうか。 ちょっと昔のThinkPadに似ている。
ペタペタキーボードではなく、ちゃんとタッチのあるキーボードだが、アイソレーションキーボードになって以降の世代のキーボード感がある。 2016年ころのThinkPadに似てるな、と思ったけれど、ThinkPadよりも「クリックでタッチを稼ぐ」感じが強い。
右端の一部キーが狭いが、正直そんなに困らない。 私の場合は「む」と「゜」のキーはエンターキーの位置を基準に探っているため、ちゃんと打てる。エンターを基準にすると位置関係はずれていないため、「へ」も普通に打てる。
慣れがなくても、普通にタッチタイピング可能なキーホードである。
金属は「巻いてあるだけでは?」という感じだけど、普通に剛性はあって、軽く手で曲げようとしても曲がらないくらいには硬いし、人差し指で普通に押してもたわまない。親指でぐいぐいするとたわむけど。
ただ、とても軽いため足の上で使うのには向いていない。 「重いほうが向いてないのでは?」と思うかもしれないが、重量が軽いと足のお肉がほとんど沈まない。 結果、タイピングの圧でお肉が変型し、ぽいんぽいんしてしまうので大変打ちにくい。 足の上で使うなら1kgくらいほしい。
サイズとしては、30x30cmのテーブルに非常にいい感じに収まる。左右方向は少し余裕がある。 トラックボールと組み合わせれば、十分30x30cmのテーブルで運用可能だ。
所有していることをすっかり忘れていたSL18と比べて見ると、幅はSL18の場合少しはみ出す。 写真だとそれなりにはみ出しているように見えるが、これは高さがあるためであり、実際はほとんどぴったり。
横に長いのは右端のキーまでフルサイズで確保されているためだが、面積のほとんどすべてがキーで占められているキーボードなので、縦方向はほんとに短い。 30cmというテーブルへのフィッティングという意味ではこちらのほうが良い。
が、実際のところ使いやすさという点ではいまいち。 まず本体から離れた位置にぽんと置かれたテーブルにあるキーボードにケーブルが伸びているのは思った以上に邪魔。
SL18自体はLet’s Noteのようにキーストロークを上手く活かしていてフィーリングは悪くないのだが、キーがみちみちに詰まっているためかなり打ちにくい。 打てなくはないが、慎重に打つか、もしくは見ながら打つかしないとミスタイプしまくる。
日本語配列であるという意味でも、カーソルのあるコンパクトキーボードという意味でも、無線コンパクトキーボードという意味でも、Arteckの製品はめちゃくちゃ価値がある。
ちなみに、かなり気に入ったため、フルキーボード版も買った。 会社の仕事はラップトップでやっているのだけど、Dynabookのキーボードはできれば使いたくないくらいのフィーリングだし、かといってHUNTSMAN MINIを引っ張り出す価値があるほど集中してコードをかける時間はほとんどないのが現実。
軽量だし、ぱぱっと作業したいときに便利。「片付けやすい」のは大きい。
ついでにスピーカーも壊れた
壊れるときは色々続くもので、寝室のM-TRACK DUO + DX3の組み合わせが出力が安定しなくなってしまい、オーディオインターフェイスをScarlett 2i2に変更して問題切り分け中なのだが、そんなタイミングでリビングで使っていたCreativeのゲームスピーカーがものすごく不安定になって使い物にならなくなった。
まぁ、これは最初からハムノイズがすごくて調子悪かったし、安物だから仕方ないではある。 しかし、DX3のだめなのだとしたら、スピーカー不足が進んでしまう。
一旦、不調によりストック行きしていたBOSEのスピーカーをに引っ張り出してきた。 不調で片付けたものなので、当然ながら調子は悪い。ハムノイズがしたり、出力が不安定になったりする。
リビングは受難のたまり場である。
おまけ: Linuxで日本語キーボードと英語キーボードを併用する
Windowsだとキーボードレイアウトを「ショート変更」した上で再起動しないといけない、らしい。
マジで?
Linuxだともうちょっとやり方がある。 Cinnamonの場合、設定→ハードウェア→キーボード→レイアウトでキーボードレイアウトを「追加」できる。
で、「追加」してどうするのか、という話なのだけど、本番はここから。 「オプション」から “Switching to another layout” を開くと、レイアウト切り替えに使うキーを選択できる。
これでキー一発で切り替えられるので、異なるレイアウトのキーボード併用が可能。
ただ、Gnomeだと切り替えるレイアウトが出るけど、Cinnamonは黙って切り替える。 ここはちょっと不便。
さぁ、みんなもLinuxに乗り換えよう。 私はJISかな打ちするから、USキーボードは使えないけどね!