新世代のゲーム用コントローラ 3種購入
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序
かつて私が子供だった頃はゲーマーだった。 スーパーファミコンとプレイステーションではいくつものコントローラを使い潰したし、特殊コントローラの類もたくさん持っていた。
大人になると時間がなくなり、ゲームをすることもなくなった。
しかしコロナ禍でゲームに復帰。 時間がないのでそこまで本格的にやっているわけではなく、ライトゲーマーだが、「楽しんで」プレイするよう心がけている。
PCゲームはずっとキーマウだったから、PCゲームはキーマウに馴染んでいるが、ゲームプレイ歴としてはやはりパッドに馴染みがある。なんだかんだパッドでプレイしたいゲームもあったりするから、ついにパッド購入に至った。 ちなみに、私がゲームをやめたときはPlayStation2だったから、USBゲームパッドは持っていなかった。
Amazonで安いゲームパッドをいくつか購入したが、どれも一長一短という感じでちゃんと満足に至らなかった。 結局4台買ったあと、「いいのを買うのが話が早い」ということでRazer Wolverine V2を購入した。
Wolverineは高いだけあって、安定して確実な操作ができる良いパッドだ。 レースゲームも普通にプレイできるし、このパッドでGGSTで天上階に到達したりもした。
それ以上追求する気はなかったのだが、どうしても当初から気になっていた点を無視できなくなってきてしまった。
Wolverineはかなり大きく重いパッドで、なかなか手が疲れるのだが、それ以上に「支えている中指が痛くなる」というパッドなのだ。 しっかりしていて良いは良いのだけど、体への負担が大きい。
そんな中、いくつかのタイトルで超絶プレイを見せているプレイヤーがキーボードを使っている傾向に気がついた。 「キーボードプレイってありなんだろうか?」と思ったが、そもそも私はキーボードプレイを試した上で、「キーボードプレイするならパッドだなぁ」と思ってパッドを買っているので、今更やったところで無理なものは無理だったのだ。
そこで探したのが、「キーボードプレイしやすいゲームパッド的なキーボード」で、最終的にそれはHAUTE BOARDによって実現できた。 が、それを探している過程でT4の存在を知り、気になって無視できなくなった。
そしてHAUTE BOARDを使った上でHAUTE PADも導入したのだ。
とってもカジュアルなライトゲーマーの私が無駄にデバイスを集めている感じになってしまっているが、一般的には割と隠れた存在である絶品デバイスを紹介していきたいと思う。
GameSir T4 Kaleid
EasySMXと並んでAmazonでは存在感あるパッドメーカー “GameSir” の最新作がT4。 トランスルーセントデザインにライティングがあって、非常に綺麗、かついかにも新しい感じがする。
価格的には従来のGameSirと変わらない感じだが、新世代のゲームパッドだ。 最大の特徴はスティックとトリガーにホールエフェクトセンサーを用いていること。
これはポジションセンシングの方式の違いだが、センシングのブレが少なく、デッドゾーンを非常に詰められるというのが魅力。 もちろん、精密なスティック操作1ができるのであれば、より正確な入力が可能になる。
ABXYボタンにはマウスに使われるマイクロスイッチを採用していて、カチカチする。
特徴として述べられてはいないが、十字キーやLB/RBに使われているスイッチもなかなかいい感じ。
他にも変わった機能が色々ある。
さらにジャイロセンサーを搭載。 LS/RSのエミュレートが可能なほか、ネイティブ機能を使うとエミュレートが無効化され、Swiitchのジャイロ機能を使うことができる。
最大ポーリングレート1000Hzという性能もなかなかだが、ポーリングレートが可変で設定可能。
トリガーストッパーはないが、代わりにヘアトリガーモードがあり、ちょっと入力しただけで100%になるようにできる。
バイブレーション用のウェイトが左右異なるものが使われている。 これによりリッチな振動を実現しているが、そのせいで立ち上がりが悪く、断続的な振動が与えられるとうまく振動しない。
実際に使って感じるのは、「高品質で、適切なゲームパッド」ということだ。 使い心地はWolverineと比べてもずっと良く、重厚感こそないが非常にプレイしやすい。
また、一般的なパッドではいつもスティック操作で意図せずLS(L3)入力をしてしまうのが悩みだったが、このパッドはLS入力がかなりカチッとしたものになっているため、意図せず押してしまうことは他と比べるとずっと少ない。
今までの中では圧倒的マイフェイバリットである。
HAUTE42 HAUTE BOARD
HAUTE BOARDは相当異色なコントローラだ。
「レバーレスアケコン」と言われているが、見た目は完全に12鍵盤キーボードである。 実際、Cherry MX互換のLEOBOG Graywood V4スイッチの上にCherry MX互換軸向けキーキャップが載っているため、基本的なハードウェアはキーボードで間違っていない。
じゃあキーボードでいいじゃん、とはならないのがその妙。
まず、見ての通り配列がちょっと違う。 パッドでやるタイプのゲームのキーボードプレイもしたことはあるのだけど、個人的にはちょっと無理。 特に右手の指が窮屈でうまく押せない。 これが角度がつき、ちょっとズレてることで非常にうまく押せるようになっている。
次に、コントローラーボードがラズパイになっていて、ちゃんとXinputのゲームパッドとして認識されることだ。 これは一部のゲームではアドバンテージになる。
ちなみに、ギリギリ手持ちも可能なサイズで、写真では手持ちしていたりするが、手持ちプレイは操作性が悪く結構きつい。
また、キーボードとして認識させることも可能。 キーアサインはWebインターフェイスを使って設定可能で、これを利用すると60%キーボードで足りないキーをうまいこと補う補助キーボードとして使うこともできる。 HUNTSMAN MINIのように2キースイッチのために60%を選ばざるをえないようなケースで60%キーボードを選ぶことに対するハードルを下げてくれる。
そのほか左手デバイスとして活用することもできる。 キー設定ができるため、活用の幅はかなり広い。
私がHAUTE BOARDを選んだのは、汎用性という観点から「上キーが上にあるコントローラが欲しかった」から。 一般的なレバーレスアケコンは上キーが特別扱いされているが、これはほとんど格闘ゲーム専用になる。 格闘ゲームに特化してプレイしているわけでもないため、「普通のキーボードっぽい感じで、ゲーム向きのレイアウトになってるのが理想的かなー」と思って探したところ、理想的なものを見つけたわけだ。
実際に使ってみると質感はかなり良くて、キーはCherry MX赤軸的なフィーリングの非常に良いものだった。
そんなわけで爆上がりしていた期待通りの製品だったのだが、ゲームで使うと結構微妙。
まず、意外とRSを要求するゲームが多く、12キーでプレイできるゲームそのものが限られている。 主には3DゲームでのカメラワークにRSを使うからだが、フロンティアハンターに関してもキャラチェンジにRSを必要とするため、プレイできなかった。
BallisticNGに関しては、再マッピングなしにはプレイ困難。 一番大きいのはレイアウトがRTが左、LTが右にあること。 Bボタン押しっぱなしも厳しいので、アクセル反転も必要。 そこまでしたところでキーボードプレイに対して何もアドバンテージを持っていないので、使う理由がない感じになった。
こうしたことから手持ちタイトルでプレイできたのは格闘ゲームだけだった。
しかし格ゲーだと今度は「ジャンプが上」というのがちょっと微妙。 さすがに格ゲーやるのであれば、レバーレスアケコンのレイアウトのほうが良いなと思った。
とはいえ、格ゲーなら結構アリ。 昇龍拳が出しづらいけど、これはレバーレスアケコンでも同じことだろう。 キーピッチが普通のキーボードと同じなので、同時押しするつもりがないところで同時押ししちゃうのは難点。
結果としては、「デバイスはいいけど、手持ちのタイトルにそのデバイスを活かせるものがない」という、なんとも締まらない結果に。 このデバイスを選択する理由だったフロンティアハンターとBallisticNGの両方で使えなかったのがとても残念。 すごく気に入ってはいるのだけど……
HAUTE42 HAUTE PAD M13
HAUTE PADはHAUTE42のレバーレスアケコンだ。 BOARDのほうのなんちゃってと違い、こっちは普通にアケコンである。
HAUTE42のアケコンは4シリーズあり、まずミニ筐体がLEOBOG Graywood V4採用のGシリーズと、Kahli Choc V2採用のSシリーズの2種類。 続いて大型筐体でKahli Choc V2を採用したTシリーズ。 最後にアルミニウム筐体でKahli Choc V2を採用したMシリーズ。
各モデル13キーと16キーがあり、Gシリーズだけ12キーもあるので、ラインナップ全体では9製品ある。
構造としてはラズパイを制御に使い、キースイッチの上に丸いキーキャップが載った、要は自作キーボードの一種だと見ることができるが、実のところレバーレスアケコンはだいたいそんな感じらしい。 Kahli Choc V2はキースイッチとしては非常に薄いので、だいぶアケコンらしさがあると言ってもいいのかもしれない。
HAUTE PADは日本だとだいぶ高めで、安価なGシリーズでも1万円くらい、Tシリーズは1.3万円くらいになっている。 MシリーズはAmazon.co.jpでHAUTE42製品を扱っているJSW-ShopがM16を1.3万円くらいでごく短期間売っていたようだが、私が購入したタイミングではAmazon.co.jpでは2.7万円ほどで売られていた。
アケコンというのは使いどころが少なくて、本当にアーケードゲームでしか使わないようなものだ。 格ゲーなどがあるようなアーケード筐体のゲームにもう長いこと触っていないので、どんなタイトルがあるのかはわからないのだけど、基本的には格ゲー専用と言っていいのではないだろうか。 あとはパズルゲームくらい?
私は格ゲーにそこまでのめりこんでいるわけではないから、「別にそこまで」と思っていたのだが、本当に偶然、HAUTE42のアケコンを調べたときにAliにたどり着き、Aliでセールが終了する直前だったために買ってしまった。 12782円だった。
なお、13キーのM13と、16キーのM16はほぼ価格差がない。 その価格差よりは、透明キーがちょっと安いという差のほうが大きいレベルだ。
しかし、私はM13を選んだ。 理由は「ボタンが多いと押し間違える」からだ。 M16ではLS, RS, マクロ2キーが増えるが、LSやRSを頻繁に押すようなゲームは私はそもそもやらない。 というか、そんな複雑な操作が必要なゲームで、なおかつレバーレスアケコンでできるようなゲームは本当に稀だろう。 また、LS, RSに関しては小さなボタンがあるので、押せなくなるわけでもない。
結果的に日本では非常に珍しいと思われるM13持ちになった。
M13は非常に優れたサイズ感であり、見た目の質感も高く、とてもかっこいい。重量も割とあって安定している。
ボタンのタッチは想像と違う。 アーケード筐体っぽいパチパチしたタッチをイメージしていたが、実際はしっとりしたストローク感があり、薄いキーボードという感じのタッチだ。
格闘ゲームではレバーレスアケコンはHAUTE BOARDと比べると簡単に慣れることができた。対戦の勝率はふるわなかったが、思ったように操作できないとは感じなかった。 コマンドの確実性はパッドや普通のアケコンよりも高い。
今まで触ったレバーレスアケコンの中でも、かなり良いと思うし、気に入った。 というか、よさげなレバーレスアケコンはものすごい値段(4〜 5万円くらい)するので、そういうやつと比べても良い感じでありながら1.3万円というのはかなりバリューが高い。 そもそもそういうレバーレスアケコンが高すぎるから、ラズパイと自作キーボードのパーツで自作してしまおうという流れがあり、それを製品化しているのがHAUTE42だと考えられる。 そのためコスパが良く、Mシリーズに関してはかなりしっかりとした金属筐体が使われているため自作感もない。自作品に関しては、「どうせ作るのなら徹底的にこだわろう」という流れもあるため、HAUTE PAD Mはそのクオリティも高級品と遜色がない。
ボタンのタッチはもっとシャキシャキしているほうが好きという人はいそうだ。個人的にはそんなに気にならない。
ちなみに、デフォルトでM1ボタンは「↑」が入力されるようになっているので、格闘ゲーム以外でも割と普通に使える。また、格闘ゲームでは↓↑コマンド(サマーソルトキックとか)ではM1を使うほうが直感的かもしれない。 が、どちらを使おうがレバー一回転技(要はスクリューパイルドライバー)は難しい……
コントローラでゲームしよう
「ゲームは楽しくやるものだ」が私のポリシーだ。
子供の頃は割と苦行に立ち向かっていたような記憶があるけれど、近年果てしない苦行しかないようなゲームにさらされた結果、「イライラしながらゲームするなんて馬鹿げている」という結論に達した。
だからデバイスだって、一番上手くプレイできるデバイスより、一番楽しくできるデバイスのほうが正義だ。
私はキーマウでプレイできるゲームであれば、基本的にキーマウでプレイしたほうがプレイしやすいし、ほとんどの場合キーマウでプレイする。 スティックさばきが苦手なので、パッドプレイが得意ではないのだ。
それでも、ゲームプレイ全体で見れば私はパッドプレイを好む。 Steamによれば、2023のゲームプレイの94%はパッドだったそうだ。3
子供の頃のようにゲームに時間を費やせなくなった今でも、仕事や作業の延長線上であるキーマウではなく、ゲームパッドを握りしめることには特別な意味がある。 それは、いわば「これからは遊びの時間」という宣言でもあり、少しだけ子供の頃のワクワクを取り戻せる瞬間でもある。
スーパーファミコンやプレイステーションの頃と違い、今やゲーミングデバイスは全体的にかなり高価なものになった。 とはいえ、お気に入りのデバイスを使ってゲームすることは、あのころ純正とは違うちょっと特別なコントローラでプレイを高めようとしたのと同じように、ゲームをすることの楽しさを一段引き上げてくれる。
普通に手元にあるデバイスでプレイしたり、評判のいい定番のデバイスでプレイしたりするのも悪くないけれど、やっぱりこだわりのデバイスで遊ぶのは楽しい。 今改めて、そんなことを言いたい。