Machenike G5 Pro V2
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序
ゲームパッドはGameSir T4 Kaleidで満足していたのだが、AliExpressで小物を買うとき、送料無料に到達できず、特に買いたい小物が見つからなかったことから、G5ProV2を購入した。
概要
G5ProV2はMachenikeのゲームパッドであり、6000〜10000円程度の製品となっている。
主な特徴は次のようなものだ。
- 22°/256段階, 1.2gfの光学センサートリガー
- 2段階トリガーロック
- 4k解像度・ホットスワップ可能なホールセンサースティック
- 1000Hzポーリングレート
- 1msレイテンシー
- 4つのマクロキー
- 有線/2.4GHz/Bluetooth接続
- 1つのレシーバーで2台接続可能
- 0.3mmストローク, 65gの光学マイクロスイッチのボタン
- 6軸モーションセンサー
- PC/NS(Switch)/Phoneモード
- スティック/トリガーキャリブレーション
- 専用モバイルアプリで設定
- RGBイルミネーション
- 充電ドック付属モデルあり
日本ではなかなか入手できない尖った機能・性能を持ったハイスペックモデルだ。
最近、中国ではこうした先鋭的なデバイスが多い。 これは恐らく、チップやスイッチなどの部品が中国メーカーによって供給されていることが多く、部品を入手しやすいことや、それらの部品をアッセンブルして製品として売っているメーカーがそもそも多いことなどによるのだろう。 あとは、単純に人口(=消費者)が多いために気軽にトライしてもそれなりに成功しやすいというのもあるのかもしれない。
こうした規模の小さいメーカーの製品は、セラーによって日本に持ち込まれてAmazonで販売されるようなケースもある(ゲームパッドならGAMESiRやEasySMXのように)が、日本で大々的に展開されるのはeスポーツでスポンサードするようなメーカーに限られる。
Machenikeもまた、日本では入手しづらいデバイスメーカーのひとつだが、世界的(主に中国)に見れば人気のあるメーカーである。
トリガーは光学式センサー。 先代のG5 Proや上位モデルのG6 Proではホールエフェクト磁気センサーを採用しているが、光学センサーのほうがより安定しているということらしい。
スティックセンサーはホットスワップ可能だが、付属はしておらず、1個2000〜4000円と高価であるためあまり現実的でもない。 標準は700gfで、他に320, 540, 880gfがラインナップされる。 個人的には繊細なスティックコントロールが苦手なので重くしたいところなので、標準で重め、さらに重いセンサーがあることは好ましい。
T4 KaleidとWOLVERINE V2と比べてみよう。
G5Pro V2 | T4 Kaleid | WOLVERINE V2 | |
---|---|---|---|
メーカー | Machenike | GameSir | Razer |
スティック | ホットスワップホール効果 | ホール効果 | 記載なし |
トリガー | 光学式 | ホール効果 | 記載なし |
ボタン | 光学マイクロスイッチ | マイクロスイッチ | メカタクタイル |
十字キー | メカタクタイル | マイクロスイッチ | メカタクタイル |
ジャイロセンサー | 6軸 | 6軸 | なし |
トリガーストップ | 2段階 | なし | あり |
Mキー | 4 | 2 | 2 |
ポーリングレート | 1000Hz | 1000Hz | 250Hz |
接続 | 2.4GHz/BT/有線 | 有線 | 有線 |
ライティング | RGB | RGB | なし |
公証寸法 | 記載なし | 150x100.7x60 | 161.5x105.8x65 |
実測重量 | 254g | 216g | 392g |
画像
かなりキレイな白。
半透明のカバーをかける方式で、マグネットで装着される。 つけてないと、スティック部品が簡単にはずれてしまう。
半透明なので、装着するともやっと白っぽくなる。
プレイフィールと比較
先に結論から言うと、機能・性能的な評価としてはT4 Kaleidとほとんど同じであり、テクノロジー的なアドバンテージを体感できない。 ただし、感触自体はかなり違う。
握った感じで言うと、T4 KaleidよりもG5Pro V2のほうが一回り大きく、ボタンも少し遠い。 重量的にも重い。 ただし、WOLVERINEと比べればずっと小さく、また軽い。
基本的な性能、精度などはT4 Kaleidとほとんど同じに感じる。 これはさらなる進展を期待したという観点から言えばがっかりしたとも言えるが、そもそもT4 Kaleid自体が最新鋭の傑作であると言ってよく、現在最先端のトレンドである技術とは異なる技術を採用してそれに伍する結果となっているということで十分に評価できる。
つまり、言い換えれば突出して優れたT4 Kaleidと同等なので、WOLVERINE V2では相手にならない。 実際のプレイフィールでもWOLVERINE V2は他2台と比べて明らかに劣り、良い点を見いだせない。 WOLVERINE V2は高級ゲームパッドであり、別に悪くない製品だとは思うが、それだけT4 KaleidとG5Pro V2が高次元の戦いをしているということである。
T4とG5の感触の違いは大きく、G5のほうがボタンは角ばっており、高さもある。高さがあるだけでなくストロークもG5のほうが長い。さらに、ボタンにクッションが入っているため押し込めるようになっており、さらにストロークが長く感じる。 このことから、全体的にG5のほうがかっちりした印象である。
ただし、スティックに関してはT4のほうが重く、G5のほうがびゅんと動く。スティックはT4のほうが好み。
トリガーはG5は押し込みに応じた抵抗感があり、T4のようにスコンと入るようにはなっていない。 こちらはG5のほうが圧倒的にコントロールしやすく、トリガーストップもあるのでG5のほうが良い。
その他違いを感じる点として、G5は十字キーの斜め入力がしやすい。 これはかなり差があるし、他のどのパッドよりも優れている。
T4は小ささもあって背面キーをどうしても押してしまう。 だからこそデフォルトでは無効になっているのだが、G5はこの問題がない。
G5のバイブレーションは当然だがT4のようなクセがなく、特長であるはずなのに弱点になっているT4のバイブレーション問題は解消される。
全体的に見れば、扱いやすいと感じるのはT4だ。多くのゲームでゲームプレイにより集中することができた。 特定タイトルに限った話になるが、Project Cars 3ではG5はスティックの反応が悪いような感触があり、結果があまり良くなかった。 ただし、感触が良いのはG5のほう。T4は操作するとプラスチックのコンコンという安っぽい音がするし、スコスコしたトリガーとばいんと返るスティックは使いやすいが高級感はない。G5のほうが「いいパッド」である感じがする。
せわしない操作を要求されないタイトル、例えばソフィーのアトリエ2ではG5のほうが精密にスティック操作しやすいと感じたが、同タイトルでは特に精密にスティック操作をしたい理由がない。 しかしこの特長はシューティングゲームであればタイトルによっては有効にら働きそうである。
また、G5はワイヤレス接続が可能。 「ゲームでワイヤレス」というのは割と抵抗ある方なのだが、G5に関しては2.4GHzのほうが良さそうだ。 どういう理由かはわからないが、特にバイブレーションは2.4GHzのほうが応答性がよく、スティックの入り方も少し変わって扱いやすい。 ケーブルに煩わされないため、これはかなり体験を改善する。
総評
T4 Kaleidは日本で普通に買えるゲームパッドの中では出色であると言ってよいが、G5Pro V2はそれに伍する製品である。
だが、光学センサーを採用することによるアドバンテージはそれほど明確なものではなく、ホール効果センサーと同等以上の性能を出せているという公式の説明どおりである。
T4 KaleidがAmazonで普通に買えるのに対し、輸入が必要となるG5Pro V2を使用する積極的な動機はなかなか見つけにくいだろう。
ただ、もし「最高の製品」を追い求めているのであれば、より優れた質感、ワイヤレス対応、精密なコントロールが可能なトリガーなど、G5Pro V2のアドバンテージも存在し、選択する理由はある。