Chienomi

寝室のスピーカーをM-AUDIO BX4に

製品・サービス::supply

寝室のスピーカーはもともとBOSE MM-1を使っていたが、BOSE MM-1が不調となったことでワークルームにあったM-AUDIO BX3を寝室に移設し、ワークルームのスピーカーはJBL 305P MkIIに変更した。

BX3は2020年末に登場したM-AUDIOの3.5インチスピーカーだ。

それまでM-AUDIOは5インチのBX5 D2をフラッグシップにいただき、3インチのAV32と4インチのAV42をエントリーモデルとしてラインナップしていた。 BX5は1本売りのスピーカー、AV32/42はペアスピーカーなので、シリーズとは言い難い違いがあった。

M-AUDIOは低価格で買いやすい製品を主力にしているメーカーだが、このラインナップはBX5の評価が高く、AV32/42は値段なりのスピーカーという評価であった。このシリーズの発売は2016年。 ちなみに、その前はDX5 Carbon, AV30/40というラインナップ(2014年発売)で、第2世代のラインナップはそのままアップグレードモデルになっていた。

実はこの第2世代になるにあたり、6インチのBX6と8インチのBX8がなくなっている。 そして次なるモデルチェンジでは、5インチ以上に使われていたBXの名を冠し、3.5インチのBX3と4.5インチのBX4となり、BX5が消滅した。

私はリサイクルショップに置かれていたBX5 Carbonをタッチの差で買い逃したということがあり、その記憶もあってBX3を購入した。 BX4にしなかったのは、スペース的に当時厳しかったからだ。

単に名前だけの話ではなく、AV時代はその名前からも感じられるようにどちらかというとデスクトップスピーカーであったのが、BXの名を冠するだけあってモニタースピーカーとして使えるクオリティになった、と言われていたのも理由のひとつだ。

だがそのBX3は、割と早い段階で不調になった。 音が出なくなることがあり、入力を切ってボリュームをいじると直るのだが、頻度が高いときもあって鬱陶しい。 そこで、思い切ってBX4に買い替えた。

なぜBX4か

BX3が早々に不調になった以上、BX4にも同じ懸念はある。 だが、これは「他を検討したが、他に良い選択肢はなかったから」だ。

BX3は12000円程度、BX4は15000円程度の製品である。 BX3の価格で同じようなモニタースピーカーを探すことは難しく、BX4のほうでようやく低価格のモニタースピーカーが候補に入ってくる。

寝室がモニタースピーカーである必要はないのだが、15000円以下で変えるものとなるとサウンドバーか、もしくはデスクトップスピーカーが現実的。 パッシブスピーカーも買えなくはないが、インターフェイスであるM-AUDIO M-TRACK DUOの出力がTRSバランスで、パッシブスピーカーを使う場合はFOSTEX AP05で接続するのが現実的なところになるのだけど、AP05は出力が小さいのでちょっと微妙。

BX3は

  • 3.5mm PHONE OUT
  • 3.5mm AUX IN
  • 無段階ゲインノブ

という特徴があり、ここらへんかなりちゃんと使っているので、失われると結構痛い。構成や使用方法も考え直す必要がある。 これらを失うのは結構な損失だ。

また、BX3には簡易EQ、LR反転、バランスTRS/アンバランスRCA入力という機能があり、これらもかなり良い。

さらに質の面でもかなり良い。BX3のサウンドはクラスを越えた良さがあるし、非常に特徴的なこととして「真ん中から音が聞こえる」というのがある。

デスク上に中心90cm間隔でやや内側に向けて配置して動画を再生すると、サウンドが極めてナローに聞こえて、音源の位置が全く読めなくなる。 簡単に言えば「モニターの真ん中あたりから聞こえているように感じる」。 実際、何が音を鳴らしているのか分からなくて触って確認したりすることもあるくらいだ。

この感覚は実際にセンターに置くタイプのスピーカーでも得られないもので、非常に特徴的。

しかし不思議なことに音楽を聴いているとちゃんとスピーカーから鳴っている感覚になり、音場の狭さは感じない。

私はこの特性を極めて気に入っており、かなり捨てがたいと考えていることからも「結局BX3から変えたい理由はないのではないか?」と思っていた。

なお、音は前から聴こえる感じが非常に強く、音に包まれる感じは全くない。

もともとBX3を導入したとき、私は過剰設備だと考えていた。 寝室のPCは寝る前にちょっと動画を観たりゲームしたりするためのものであり、本格的に音楽を聴いたりするわけではない。 だからデスクトップスピーカーで良いと考えていたし、それ故にMM-1は結構満足していた。

MM-1が不調となったとき、代わりにOVOを設置していたことがある。 OVOは異様な高評価を得ているが、ぶっちゃけ「とても良いラップトップの内蔵スピーカー」みたいな音であると言ってよく、並のデスクトップスピーカーには負けない音が出ているが、そんなに良いわけでもない。

OVOは動作安定性が低すぎるという問題があるが、正直な感想として「これはちょっとなぁ……」という感じであった。たとえYouTubeを見るだけでも結構不満があるのだ。

BX3が不調になったとき、改めてOVOを使ってみたが、感想は変わらなかった。 つまりこれは、低価格のデスクトップスピーカーで「とりあえず音が鳴るからいいでしょう」とすると強い不満を抱えるという意味であり、ET322Qはスピーカーを内蔵しているのでそこから鳴らす方法もあるのだが、いずれにせよそのグレードまで落とすことは不満を抱えるように感じた。

実は、MM-1を戻すという案もあってそれも試したのだが、MM-1のサウンドにもちょっと不満を感じたので、BX3からグレードを落とすことは現実的でないように思えたのだ。

BX3と比較して

BX4はBX3より一回り大きい。 BX3ならデスク上で問題なさそうだが、BX4になるとデスク上に置くのはちょっと考えてしまうかもしれない。

100cmのデスクの場合、中心に32インチのディスプレイがあると、その左右にちょっとデスクをはみ出す形でBX3を設置することができる。 私は防振ゲルパッドを下に敷いているため、軽く内側に向けてもあまり問題がない。

ところが、BX4になるとまっすぐ向けたとしても左右1/3程度ははみ出すため、ちょっと難しい。120cmのデスクなら軽く内側に向けても成立すると思うが、100cmでは厳しい状態だ。

結局、ディスプレイをスタンドごと前に出して、ディスプレイの背後に設置することにした。 これでデスクからはみだすかどうかぐらいの配置で、ツィータードームにぎりぎりディスプレイがかからない位置にできる。

私はBX3を買ったときにBX4にすべきだったかなと思ったが、これはBX3は少し音の厚みが足りないと感じたためだ。 やはりスピーカーは5インチが望ましく、小さくなると音がどうしても薄くなる。AV32は正直ぺらっぺらな音で、AV42も薄いけど32と違って普通に聴けるレベルだった。 その違いを考えると、BX4ならかなり良い音になるだろうと感じたのだ。

実際BX4のサウンドを体験すると、5インチに対して5インチというクラスを越えたサウンドを期待する場合は別として、「5インチより小さいことに対する不満」を感じることはまぁなさそうだ。 完全にブラインドでこのサウンドを聞かせてスピーカーサイズを答えさせたら、多くの人は5インチだと答えるだろう。

だが、5インチや5.5インチと比べるとまだ低音の押しが弱い。 これは言い換えると、机や床に振動をあまり感じないということで、マンション住まいの場合5インチクラスのスピーカーは低音がしっかり鳴りすぎて小さな音でも階下に結構響いてしまうということがあったりするが、そういった意味では5インチのスピーカーよりはずっとマシ。 ただ、BX3がほとんど気にならなかったのに比べると、BX4は若干振動を感じるので、ちょっと心配にはなる。

こうした点で手軽さはBX3のほうが優れているが、5インチクラスのサウンドと4インチらしい取り回しの良さを兼ね備えているグッドバランスなスピーカーだと思う。

また、BX3と比べてアンプにパワーを感じる。 M-TRACK DUOのアンプはちょっと弱めで、M-TRACK DUOからの入力だとBX3はそれなりにボリュームを大きくしなければならないケースがあり(特にYouTubeなどでゲインが全体的に不足している場合)、「本当に120Wもあるか?」となっていたのだが、BX4はM-TRACK DUOのゲインレベルを5あたりにしていても、BX4側のゲインはかなり小さい位置で使うことになる。 これは基本的には良いことだが、実用上のボリュームコントロールという点ではBX3と比べ使いにくい。

サウンド面は前述のとおりBX3より厚みがあり、BX3は音楽鑑賞用にはやや物足りないが、BX4は音楽鑑賞用として全然イケるという感じがする。

まとめ

  • めっちゃ良いスピーカーである
  • 5インチと4インチのいいとこ取り
  • 「まるで5インチじゃないか!」と思うところと「やっぱり4インチだな」と思うところがある
  • 機能が大変に便利で使いやすい
  • 動画、ゲーム、音楽制作、音楽鑑賞なんでもイケる
  • デスクトップモニターらしい、すごくニアなサウンド
  • 動画視聴時は「ディスプレイの真ん中あたりから音が聴こえる」と感じる
  • かなりパワーがある
  • これで15000円は相当なお買い得
  • 5インチ以上のクラスで厳選したいような人の要望には応えない
  • 「音が良い」だけで言えば305P MkIIのほうがさすがに良いが、性格が違う
  • でかいのでデスクは120cm欲しい