ついにワークルームが完成
雑感::mythings
序
2014年に着手してから実に7年、ついてワークルームが完成した。
このワークルームは、「コンピュータ作業」という焦点で ――つまり、プログラミング、執筆、作曲、ゲームなど―― 負担が少なく、持続性が高く、長時間の作業を連日行うことが可能にし、なおかつそのトータルの生産性を可能な限り引き上げる、をテーマにしている。
そのテーマ自体は変わることなく一定だが、その実現方法は試行錯誤が続いた。「こうすれば良い」と思った方法が、結果としては破綻していた、ということが続いたためだ。
ここでは完成したものの解説と、その試行錯誤紆余曲折を残す。
構成
メインデスクトップPC
コンポーネント | 製品 |
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マザーボード | GIGABYTE B550 AORUS ELITE |
CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
メモリ | G.Skill F4-3200C16D-32GFX (16GB 2x) |
ビデオカード | SAPPHIRE NITRO+ RADEON RX 5700 XT 8G GDDR6 |
SSD (Linux) | Crucial P5 250GB |
SSD (Windows) | hp EX920 M.2 1TB |
SSD (キャッシュ) | Samsung 860 QVO 1TB |
電源 | Antec NE750 GOLD |
ケース | SilverStone SETA A1 ローズゴールド |
オーディオ1 | Native Instruments Audio4DJ → DENON DRA-F102DRA-F102DRA-F102 → DENON SC-F103SG |
オーディオ2 | FOCUSLITE Scarlett 2i2 (3Gen) → M-Audio BX3 |
オーディオ3 | RealTek → ELECOM MS-76MA |
キーボード | Razer HUNTSMAN Tournament Edition |
マウス | ナカバヤシ Digio2 MUS-RKF164 |
ディスプレイ1 | Acer ET322QKwmiipx |
ディスプレイ2/3 | Dell S2721QS |
寝室デスクトップPC (追加計算力)
コンポーネント | 製品 |
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ベースモデル | Lenovo ThinkStation P720 |
CPU | 2x Intel Xeon Sliver 4114 |
メモリ | DDR4 ECC Registered 16GB |
ビデオカード | SAPPHIRE NITRO+ RADEON RX 580 8G GDDR5 OC |
SSD (Linux) | Samsung SSD 960 EVO 250GB |
SSD (Windows) | Crucial P1 1TB |
SSD (キャッシュ) | ADATA SU630 960GB |
オーディオ | M-Audio M-Track Duo → BOSE MM-1 |
キーボード | Razer HUNTSMAN MINI |
マウス | EasternTimes Technology T6 |
ディスプレイ1 | TOSHIBA 32A2 |
ディスプレイ2 | LG 22EN33 |
デスクまわり・室内調度品
コンポーネント | 製品 |
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机 (ディスプレイ支持部/天板) | コーナンで買った板 |
机 (ディスプレイ支持部/脚部) | ドウシシャ ルミナスラック |
机 (メイン) | サンワサプライ 100-DESKN003M |
机 (サイド=マウス用) | サンワサプライ 100-DESK094 |
PCラック | ドウシシャ ルミナスラック |
チェア | 関家具 WINCase |
フレグランス | 無印良品 ルームフレグランス グリーン |
デスクライト | AUKEY LT-T10 LED Dimmable Desk Lamp with Light Sensor |
エアコン | DAIKIN AN22XEBKS-W |
サーキュレーター | アイリスオーヤマ PCF-HD15N-B |
ルームライト | 日立 LEC-AHS810K |
掛け時計 | SEIKO RX215B |
関連/周辺機器
コンポーネント | 製品 |
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ヘッドフォン1 | ULTRASONE Pro580i |
ヘッドフォン2 | ULTRASONE Signature Studio |
ヘッドフォン3 | Marantz Pro MPH-2 |
プリンター | hp Photosmart 5520 |
メインコンセプト
- 広大なディスプレイ
- 低負荷・高継続性
- 後傾姿勢
が主な特徴となっている。
3枚の4kディスプレイを置きつつ、それが一度に視界に入るポジションと、実現可能なデスクのサイズの兼ね合いから、割と大きめのディスプレイを選択した(もともとは23-27インチ程度の4kディスプレイを考えていた)。
後傾姿勢は高継続性のためで、どんなにいい椅子でも体重を分散できなければだめだという結論に達したためだが、「後傾姿勢を採用する」とするとそれに伴って様々なことが決まっていく。
後傾姿勢のための傾斜がつけられるデスク、深い姿勢でも負担にならない手を降ろした位置にあるマウスを実現するためのサブテーブル、低い位置でも手首に無理がない適切な角度のついたマウス、重力の関係で弱くなる打鍵で打てるキーボード、など多くのアイテムはこのコンセプトによって選ばれており、また適合するアイテムは相当に少なく、それに合うものを探すのに相当に苦労した(適合するものが発売されたので飛びついた、というようなものもある)。
システムもこのコンセプトを支援しており、Linuxでのマルチディスプレイに適したRadeon、それも広大なディスプレイのために8GBメモリを採用するビデオカードを使用している。
コンピュータ自体は実用上の性能とエクスペリエンス、そして低消費電力を重視している。 機能的・性能的要件を満たしつつ、使い勝手が良く、幅広い場面に対応でき、なおかつエクスペリエンスは極めて良い、といったコンセプトだ。 高いエクスペリエンスは、使い方に対して盛ってあるビデオカードと、ストレージの使い方
大量のデータを扱ったり、非常に高並列な処理をしたりというあまり一般的でない要件もあるが、PC用ハードウェアの性能向上、そしてコア数の多いハイエンドワークステーションを寝室用においておき、いざというときに計算力として使うことができることから、うまく回すことができている。
環境としては、自分がいるスペース(=チェア)を中心として機能的に囲うように作られているのがポイントだ。 正面にはメインとなるコンピュータ環境があるが、少し首を動かすだけで掛け時計やカレンダーを確認できる。 少し椅子を下げて手を伸ばせばよく使う書籍・資料を取ることができ、書き物や事務作業をする場合は椅子を回転させればセットアップされた状態に仕上がっている。 事務作業のための道具(例えば封筒や切手など)は利用頻度が高くないこともあり、立ち上がって取らなければならないが、それでもすぐ取れる場所にある。一方、ストレージやケーブル類などはコンピュータを向いたままでも取り出すことができる。
現在、チェアを覆うように配置されたデスク(ラボーロ)はあまり適切ではないと感じており、いずれより良いデスクに変更されるだろう。 (奥行き60cm、幅100cmでワゴンが左のデスクが望ましい。) そもそもこのような配置にする予定がなかった段階で入れたデスクである関係もあり、このように置いていると使いにくい上に隣室との物の出し入れ等が難しい。なんといっても間口は55cmしかない。 ここにラップトップを置いて使うことも想定していなかったので、もっとスタンダードなオフィスデスクのほうが良いだろう。すでにある程度見繕ってある。
紆余曲折と失敗
コンセプト・計算機
基本的に私は研究内容の関係上、「CPU重視の多コア環境」を求めてきた。
とにかく生成するプロセス数が非常に多く、それぞれが重い。これは「PCがフリーズする」という問題として表れることが多く、コア数が多くないとパフォーマンスも出ないし、デスクトップとして使うにも支障があった。 だから、基本的にはXeon指向である(Itaniumの経験はない)。Phenomも魅力的なCPUだと思っていた。
ビデオカードに求めていたのはビデオアクセラレーションだ。 データ解析でビデオ変換処理がかなり多く、CPUで行うのは無理があった。
Xeon/Quadro環境はまさに私の使い方を象徴するものであった。
だが、GeForce Pascalはただただ速く、速いがためにQuadroを凌ぐものであり、ここでQuadroを使う理由がなくなった。そして、Ryzenの登場で、もはやXeonを使う必要もなくなった。
P720は2x Xeon Silver 4114(20コア)とQuadro P400という構成でスタートしたが、「Ryzenがどれほど優れていようと、コア数の力には叶わない」という考えがあったことが大きい。 結局、これは「ワッパ」という問題の前に夢破れることになる。この形態が重大な意味を持つ「最後の世代」であり、「LinuxにおいてもそれでもNvidia」という主張の限界になったところでもある。
そして、Ryzen/RADEONという構成が圧倒的な力を見せるようになり、さらに「高性能ビデオカードのエクスペリエンスは非常に素晴らしい」と結論したこともあって、B550/3700Xというマシンは私のPCの使い方も、PCに求めることも、それを実現するハードウェアも大きく変化したことを示すものになった。
コンセプト・環境
コンセプトは、「いかに集中するか」と「いかに継続性を確保するか」で揺れた。
集中できる環境を作ったことで効果が発揮される一方、ThinkPadを持ってカフェで作業したほうが(到底快適とはいえないポジション、デスク、チェアなのに)進捗する、といったこともあり、「本当に良い環境」の定義があっちいったりこっち行ったりしたのだ。
結局、「カフェで集中できるのは別問題」だという結論に達するまでにかなりの試行錯誤があった。
- 環境による効果は非常に大きく、環境バフによって進捗する場合、それが短時間であっても非常に大きな成果を出せる。
- ただし、環境によってあまり左右されないような作業、例えば調べものをするとか、淡々と作業するようなものに関しては普通に家でやったほうが快適だし、進捗もする。調べながらやるプログラミングなどでも同じで、このような場合はネットワークやディスプレイ、コンピュータリソース、データなど様々な面で制限されることが非常に響く
- 環境バフによって大きく進捗が出る場合は、家でそれを再現しようとしても効果は薄いため、ふたつの環境を使いわけるほうが良い
- 個人的には適度な環境ノイズがあったほうが進捗する傾向にある。一方、音楽やラジオ、ビデオを流すことは進捗を妨げる傾向がある。操作不要であればそうでもないが、「次の曲に飛ばす」「プレイリストを選ぶ」「次の動画を選択する」といった動きがはさまると効率はガタ落ちになる
といった結論に達し、このことから
“家に集中でき、かつスタイルの選択の余地がある潤沢なリソースを活かす環境があり、集中力が重要になる局面で家ではうまく進捗しないときは早々にカフェ作業に切り替える”
というのが良いという結論に達し、継続性重視となった。
だが、そうなる前はそもそも高いパフォーマンスを発揮する、ということにフォーカスしていたのであり、長時間・長期間に渡る作業を安定するという方向ではなかった。 さらに前傾姿勢から後傾姿勢へと転換したこともあり、コンセプトから機材まで全面的な刷新を要した。
なお、寝室はリモ2に32インチのテレビをディスプレイにしている環境で、チェアもオフィスチェア(エクサージュ)なので、どちらかというと前傾・集中型のセッティングに近く、なおかつエッセンシャルな環境になっている分だけ視野を絞り込む方向であり、結果的に異なる作業スタイルを部屋移動によって使い分けられるようになった。
コンセプト・使い分け
引っ越すまでは1部屋の中に全ての機能がつまっている、つまりサーバールームでもあり、計算用ワークステーションを動かす場所でもあり、仕事場でもあり、楽器演奏場所でもあり、寝室でもある、であったため、あまり考える余地がなかった。どちらというと、なんでもかんでも詰め込んですごくしんどかった。
引っ越した時点で、
- Z400 (通常145W程度、A10より少し高性能)
- A10 (通常80W程度、性能はかなり低いが、機能的には充実)
- P720 (通常80W程度、高性能)
というラインナップであった。
P720は当然、ワークルームにおいて作業用になるわけだが、問題はA10とZ400だ。 置き場所はリビング(ほぼ動画を見るくらいしか使わない)と寝室(少しの作業と、動画などのコンテンツ、そしてゲーム)がある。
当初、Z400が寝室、A10がリビングであった。 これはほぼ単純に、Z400のほうが筐体が小さく、寝室で邪魔にならなかったからだ。ゲームも、実際のところA10でやっていた。これは、リビングにのみエアコンがあったからだ。
しかし、よくよく考えたらこれは適切でないと判断し、逆にした。 A10がS/PDIF入出力を備えており、同じく寝室に置かれたオーディオ機であるVAIO MX2もまたS/PDIF入出力を備えていることから、「VAIO経由で音を出す」並びに「VAIOのMIDI出力を録音する」を狙ったものであった。
ちなみに、このとき事故って盛大にデータを飛ばしてしまう。
寝室に置かれたZ400は、まさにミニマル運用であった。 Manjaro Cinnamonベース(これまで、私はManjaro XFceベースにしていた)で、これで組むと本当に最小限の環境が出来上がる。 これにビデオドライバーやmpvなど最低限のソフトウェアを追加し、最低限のファイルを置いた。 エディタも、XedとVimに限っておき、Code OSSやAtomを入れるのは避けた。ありとあらゆる重いソフトウェアを避けた。
これは、同じことではあるがそれぞれの視点で、
- 作業はワークルームでやるべきであり、作業をするためにワークルームに行くという明確な動機をつくる
- 寝室に作業を持ち込むべきでなく、それによって眠れなくなるようなことを避ける
という意図であった。 つまり、寝室では寝る前のリラックスタイムとして、動画を見たりTwitterをしたりするだけのものだ、という明確な位置づけをとったのだ。
A10のLinux環境はそれなりに息が長いもので、結構重い環境だったのだが、入れ替えを気にこちらもZ400と同じような環境に作り直した。 つまりはミニマルである。
しかし、結果として見ればQoLが明確に下がった。 非常に大きいのは、「私は書き物をするのが好きで、書き物をする時間がとれないとすごくストレスがたまる」ということだ。 そして、忙しくて書き物をする時間がないので、寝る前、お風呂も済ませたリラックスタイムでも、少しでも書いていたかったのだが、それを制限する環境だった。
私はこれを「ワークルームで作業する時間をもっと設けるべきだ」と考えたのだが、これが間違いであったことは、B550が入ったことで明らかになる。
B550がメインマシンになったことで、P720がそのまま寝室に来た。 P720はそれまでメインマシンだったわけで、作業環境が完全に整えられている。 当然、入れ替えのために作業データなどはB550が持つことになり、ファイルは持たない状態になるのだが、作業は(SSHFSなどを使えば)できる。
そして、これによって大きくQoLが上がった。 私にとってはオンオフを切り替えることよりも、そのときしたいことができることが重要だったのだ。
また、Z400にせよA10にせよ、性能がかなり低いため、やり方に制限があった。 例えばブラウザゲームがおもすぎてかっくかくになるという問題もあった(基本的にはブラウザゲームもワークルームでやるものだった)し、Windowsゲームに関しても性能的余裕はなかった。 これが性能的に困ることがなくなり、やりたいことができるようになった、というのはとても大きい。
P720が寝室に来てから、寝室に物が増えた。 本当は寝室は物が少なく、すっきりした場所にして「オフの空間」を作りたかったのだが、基本的にはごちゃごちゃしているのが私の好みなようだ (空間的には、すっきり広々というのも結構好きなのだけど)。
少なくとも、物がそろっていて充実しており、望むことができる、望むものがある、というのが私のQoLを高める空間というわけだ。 私がものすごいお金持ちになって、もっと広い家で好きな機材を揃えられるようになったら、きっと「この瞬間、これだけあればいい」というものだけからなる部屋を作るだろうけども。
必然的にどんな環境でも方向性が似通ってしまう、という問題を抱えているとも言えるが、ワークルームと寝室は、ワークルームがたくさんの機材があり、集中力を分散させつつ長時間継続して取り組む環境であるのに対し、寝室は目の前のことに集中するような環境になっており、また後傾姿勢なのと前傾姿勢なのでも違う。この「スタイルの違い」で使いわけられるようになっているので、両者があることは結構大きな意味がある。
マシン的にはB550はどちらかというと寝室のコンセプトにマッチしているので、より高性能なマシンがメインマシンとして投入され、寝室マシンがB550になる日が楽しみでもある(ただし、メインマシン更新の必要性は全く感じていない)。
デスク
当初、「デスクで両腕を支える前傾姿勢」を考えていた。
これは、経験上「腕を支える」ことが大事だと考え、ごく一般的な構成からの進歩にある。
私にとって原体験といえるのは、(JXは無造作に置かれていただけだから置いといて)学習机の上にWithMeをおいて書き物をしていた、折りたたみローテーブルの上にVAIOのディスプレイとキーボードを置いてチャットをしていた、というあたりにある。
「L字デスクの角を使う」のが良いと考えていたが、実際はビーンズタイプのデスクと他のデスクを組み合わせたほうが良かっただろう。
L字の角、というのは実は発展的な考え方で、もともと書き物をしたり、資料を置いたりするためにサイドデスクがあったほうが良い、という考えがあった。
これに「キーボードの遠さ」などを感じて、背筋を伸ばし、椅子にしっかり座って深いポジションを取るには腕を支える方法としてのL字を考えたわけだ。
ここから、「キーボードを置くためだけのデスクにする」という考えに転じて、キーボードを置ける小さなデスクと、作業を補助する第二のデスクということを考えた。
もともと自作のデスクによるL字であったから、これにニトリのリモ2という組み合わせデスク(何の変哲もないデスク)を追加することで非常に大きなスペースを取る3つのディスプレイの固定との両立を図った。
引っ越し時に、リモ2を置き換える形で、サブデスクを兼ねるということでラボーロを選択した。ラボーロのポイントは、サブ部分は通常より低いため、これを正面にすれば適切なポジションが取れるということだ。
だが、ラボーロは「キーボードを置くには狭い」という問題があった。足が入らず、チェアの足とも干渉する。
また、その後「後傾姿勢」というものが出てきて、そうなるとデスクは角度がつけられることが望ましいとなった。 サンワサプライで角度をつけることができ、なおかつ高さも調整できるという理想的なデスクが出たことで、このスタイルは実現に近づいた。
また、自作机はもともとクリアボックスで重量を支える設計だったが、クリアボックスが重量に耐えられない、というよりもアイリスオーヤマのチェストESは4段重ねるとチェスト自体の重さによって歪むようなものなので、壁と板で支えるような構造をとっていた。
引っ越したことでデスクを支える壁がなくなったため、板に釘を打って固定したが、これがぐっらぐらして非常に怖いものだった。 結局、ルミナスラックを足にすることで全くぐらつかず、かつ多少の移動が可能な形に変更した。
チェア
チェアは次のように変遷した。
- Bauhutte Rondine
- ニトリ デュオレハ
- コクヨ エクサージュ
- オカムラ バロン (ウレタン, ローバック, アームレストなし)
- WINCase
これはほぼ単純に、「想定が甘かった」で済ませられる。
Rondineは座り心地が悪く、大きすぎて体が安定せず、あらゆる意味で辛かった。 そこで、もっと「体に合う、良いチェア」を求めたわけだ。
ここでのポイントは、バックレストが使えないとチェアは辛いということ、チェアは前後長が大事で、膝裏がチェアに当たるようだと負担がとても大きいということなどだ。もっとも、そもそもRondineは座り心地があまり良くなかった。当初からアウルサポート(車椅子用のエクスジェルクッション)に頼っていたので、あまり座り心地に期待していたわけでもないが、アウルサポート込みでも十分な座り心地ではなかった。 つまり、「クッションが優れている」ことは解決にならないのではないか、という懸念も残した。
チェアには3万円も出せばだいぶだろうと思い、その中で色々と検討した上でデュオレハイにした。これは、実に2年も検討した結果だったから、さすがに満足できるだろう、と思っていた。が、現実は違った。 体勢に十分な自由度がなく、首が痛かった。しかも、数ヶ月でボルトが折れてバックレストが脱落してしまった。
また、このときに分かったこととして、Rondineのように平らである程度しっかりしたチェアであれば、追加のクッションによってある程度補正が効く、ということである。
これは、Rondineにおける懸念点、つまり「クッションが良いことは解決にならず、体を支えることが大事である」ということ、そして下手に体にフィットするチェアはアウトサポートが使えないためクッション性は落ちるということが、そのまま出てしまったということだ。 フィット性を重視して選択したデュオレハイだが、皮肉にもフィット性に乏しさが問題をひどくした。はっきり言って、「何も良くなかった」。
壊れてしまってと座れない、という事情で急遽中古で買ったのがコクヨのエクサージュ、そしてオカムラのバロンだ。(Rondineが壊れたので、寝室と合わせて2脚必要になった) これは、チェアとしては相当に高いクオリティのものである。
だが、この時点で「後傾が良い」と結論していたし、望ましいチェアはNoblechairs EPICであると考えていた。 エクサージュは十分ではなかったし、バロンはさすがに年季が入りすぎて快適ではなかった。
一応、両者について言及すると、エクサージュの座り心地は電車に椅子によく似ている。長時間でも割と耐えるが、体重が一点に集中するととても痛くなる。 背もたれはしなるもので、後傾すると不安定でならない。だが、深く腰掛ける程度であれば非常に快適で、寝室においてはこれ以上ないチェアだと思っている。
一方、バロンは経年劣化のためか、座るとかなりフレームを感じる。また、ローバックなのだが、背もたれに体を預けるとフレームが当たってかなり痛い。 作りはバロンのほうがしっかりしているので、エクサージュよりも良いチェアであることを感じることができるのだが、私の感想としては、「そんなに良くない」である。このバロンがどれくらい使ったものなのかはわからないが、相当年季が入っている。 バロンを買う人に言いたいのは、「エクストラハイバックにしておけ」ということである。 また、エクサージュより明確に前傾向けのチェアなので、エンジニアなどリラックス姿勢が適したPC作業にはそんなに向いてない。事務作業向きだ。
そもそもだが、エクサージュやバロンのような快適なチェアであっても、お尻に集中した体重を支えれば痛くなり、長時間は座れないものだ(私は神経が浅いのでなおさら)。 だから、ベッドに寝ているときのように、背中で広く体重を支えるのが快適な作業のコツであるということがわかった。
後傾姿勢という発想は、バウヒュッテのマーケティングから得たものだが、実際にEPICで後傾したところ、負担がなく非常によかったことから、これが行くべきところだと分かったのだ。 最終的にEPICでなく(より高価な)WINcaseにしたが、これはコンティークスを見に行ったときにEPICよりも良いと感じることができたためである。 (なんだか、バウヒュッテもノーブルチェアも着想を得ていながら買わずに申し訳ないが、知人がノーブルチェアを買っていたので許してたもれ)
キーボード
キーボードの迷走度合いは高く、非常に複雑なので簡潔に
- 元々はJXから始まるが、キーボードの記憶はワープロから
- WithMeはカチッとしたタッチ、文豪はふわっとしたタッチで、「文豪のタッチは最悪」と思っていた
- VAIO MXのふわふわキーボードは不快だった。だいたいの時間シリコンカバーをつけていたので数倍不快だった
- 剣を購入。ここで初めて「キーボードを買う」という経験をする。カチッとしたタッチが素晴らしいと感動する
- 剣が壊れたのでCherry MX 青軸のOwltechのキーボードを買う。しかし、返りが悪くものすごくもたつくので嫌になる
- 「返りが速い」ことを求めて、よりキーが重い緑軸のキーボードとリニアグレー軸のキーボードを買う。手を空中から叩きつけるタイピングには合っていたが、快適性は低い
- 色んな、本当に色んなキーボードを試す
- パンミア氏のアドバイスを受けてUnicompキーボードを購入。これまでのキーボードの中では理想に近いが、キー自体が打ちにくいことに満足できない
- この頃からあまり叩きつけるようなタイピングではなく、キーの上を滑らせるような打ち方に変わってくる
- ThinkPadキーボードを購入。むしろこっちのほうが良いかもしれない、と考え出す
- EDGE 201を購入。高速入力できるキーボードではあるが、そんなに打ちやすくはない
- Libertouch(旧モデル)を購入。今までのキーボードで最も快適で、理想的なキーボードであると感じた。これでキーボード購入が一段落する
- 後傾姿勢へと歩みはじめると「Libertouch(45g)が重い」と感じるようになる。これまでふにゃついて好きではなかったRealForceだが、おとなしい打ち方になって気にならなくなったので、RealForce R2 (45g)を買う
- おおよそ満足していたが、実際に後傾姿勢を完成させると「やっぱり重い」と不満を感じるようになり、赤軸など軽いキーボードをチェックし始める
- アウトレット品を見つけたので、気になっていたHUNTSMAN MINIを購入する。あまりにも素晴らしい打ち心地に感動して、HUNTSMAN Tournament Editionを買う
- HUNTSMAN Tournament EditionがHUNTSMAN MINIとあまりにフィーリングが違うので「あれっ」となったが、すごく軽くて敏感なキーボードなので、結果的に「RealForceが重い」という悩みが解決され、完成する
ディスプレイ
- 当初、「FHD 6枚ディスプレイ」を目指していた
- とりあえず枚数を確保するため、安い21.5インチ FHD 2枚から始める
- 色がおかしい上に視野角が狭すぎて(特に22EN33は正面から見てもどうやっても画面全体がちゃんと見えない)「さすがにこれはなかったな」と思う
- 壊れたので修理を依頼するが、LGの対応の悪さに「二度とLGのディスプレイは買わない」と決意する
- スペースを増やすためにサムスンの21.5インチ FHDを追加する。リサイクルショップで3000円だった。同じような安物なのに、ちゃんと普通の角度から見れば問題なく見られるし、色もおかしくないことに感動する
- トリプルディスプレイにした結果、「デュアルは2枚見ていたけど、トリプルは真ん中しか見ないのでむしろ得られる情報量は下がった」と気づく
- 「枚数を増やす」という道が間違いだと結論し、「4kデュアルにサブディスプレイ」という構成をよしと考える
- アウトレットの31.5インチ 4kディスプレイを手に入れる。VAディスプレイで、色もちゃんとしていて、機能もしっかり、視野角も広い
- 傷が入ってしまった22EN43を除外してトリプルで運用。「サブディスプレイはむしろ邪魔だが、4kディスプレイ単体はそんなに効率がよくない」という問題に悩む
- 右側のサブディスプレイを縦にしてみたところ、存在価値がだいぶ増えた。縦長の画像や漫画などがより大画面で見られること、PDFなど縦長のペーパーのドキュメントが大きいサイズでちゃんと表示できることなど、縦液晶はかなり良い
- だが、サブディスプレイが邪魔すぎるので、「それなりにしっかりした」4kディスプレイを求めるようになる
- 機会をうかがっていたが、機会がこないので素直に27インチのIPS 4kを2枚買う
- 従来のディスプレイとあまりにも色温度が違い、さすがに見づらいので合わせようとするが、色表現力にものすごく差があることを感じてIPSにこだわる人の気持ちがちょっとわかる
- 右サイド(縦ポジション)に31.5インチをもってくるとことで一応の解決を図るが、このディスプレイがかなり重いため縦向きに耐えられず、「これ、あかんのでは…?」となる
27インチのディスプレイをもう一枚買って、31.5インチを寝室に持ってくれば全ては解決するのだが、寝室で使っている32インチは(1366x760なディスプレイではあるものの、コンソールゲームをプレイできる)TVであり、なおかつ思い入れのあるものであるためこれを放棄するのも嫌で、それをやってしまうとこのTVの行き場がなくなってしまうため、パーフェクトな解決策を見いだせないままだ。
ここに至る道
スピーカー (2003/06)
MS-76MAは2003年にThinkPad用に購入したもの。
5000円程度のスピーカーだが、非常に疲れない音をしており、なおかつコンパクトであるため、メインスピーカーとしてずっと活躍している。 これに代わるスピーカーがなくて少し困っている。BX3は同じポジションを狙って導入したものだ。
オーディオインターフェイス (2015/09)
リサイクルショップで見つけたのがAudio4DJで、DJ向けの構成のためあまり使いやすいものではないものの、音質はなかなか良く、レイテンシも詰めやすい。Linuxで使える再生用インターフェイスとしては非常に良い。
オーディオシステム (2015/10)
DENONのコンポもリサイクルショップで見つけたもの。 そこそこ高価なコンポであり、太い魅力的な音を鳴らすためかなり良い。 ラジオ再生も可能だ。
オーディオソースとしてはFM/AMラジオがアンプと一体になっており、加えてCDプレイヤーのDCD-F102を含むシステムであるため、CD(MP3/WMAのデータCDにも対応)も利用可能。 だが、どちらも現代的にはあまり使いやすいオーディオソースではない。
しかし、DRA-F102はリヤにシリーズに接続相手のいないAUX(RCAジャック)をもっており、これがPCからつながる。 また、フロントにPORTABLE INという3.5mm TRSがあり、2006年当時に勢いを持っていたiPodにも対応している形だ。
これにより、かなり良い音を鳴らすアンプ&スピーカーとして使うことができる。ミニコンポだが、音質はかなり良く、またミニコンポであるがために使い勝手が良い。RCA入力なのでオーディオインターフェースを使うくらいの構成で使うものになるが、通常のPCシステムに接続するオーディオとしては最良に近い構成となる。
ちなみに、2006年の製品だが、他のシステムはなんとMDとカセットである。
ワークステーション (2017/10)
新しいメインワークステーションとしてZ400に代えて投入されたのがThinkStation P720。
一時期は8160TとQuadro5000という構成になっていたが、発熱量・消費電力と処理能力の兼ね合いからもとの4114とRX580という構成に落ち着いている。
高性能、と感じるシーンは少ないが、コア数が多いため高負荷環境でもフリーズしにくく消費電力も少ない、xzなど並列処理が物を言う局面では3700Xより高速、と局所的に力を発揮している。
寝室で使うには向いていないとも思っているけれど。
ヘッドフォン (2018/08)
MPH-2とCB-1は、「長時間快適につけられるヘッドフォンが欲しい」と考えて購入したものだ。
今見ると、MPH-2は6430円、CB-1は4999円で買っている。 音質・快適性ともMPH-2のほうが優れており、そもそもCB-1は3ヶ月ほどで壊れてしまった。 CB-1は今はだいぶ高くなっているので、CB-1を買うくらいならMPH-2を買ったほうが良いだろう。
ただ、MPH-2もケーブルが断線しやすく、取り扱いがIN MUSIC Japanなので(平日日中の電話受付しかない)すごい困る。幸い、Cable Creationの3.5mmケーブルが適合することを確認できてなんとかなっている(3.5mmケーブルでつっかえないものでも、簡単にはずれてしまうものが多い。微妙な違いなのだろう)。
さて、「快適につけていられる」を求めて購入したのだが、MPH-2の快適度は非常に高い。装着感も疲れず、圧迫感もなく、音も適度に低解像で、非常に疲れにくい。のっぺりしていて定位もはっきりしないので、ゲームにはまともに使えないけれど。
音質面ではULTRASONEのヘッドフォンにまるでかなわないが、ただヘッドフォンをつける用途には良いため、現在でも活躍している。これは、MS-76MAが今でも代えがきかないのと似ている。
ディスプレイ (2019/11)
ビックカメラでアウトレット品のET322QKwmiipxを購入。
2台のディスプレイが不調で非常に見づらいという問題があり、限界を感じたため導入した。 作業効率は少し上がったが、ディスプレイまでの距離が以前より伸びていることから十分な広さを活用することができなかった。 「4kでもマルチディスプレイ」という結論に達する。
デスク (2020/08)
サンワサプライのデスク2種を導入し、ラボーロをサブデスクに転換した。
100-DESKN003Mは天板に角度をつけることができ、後傾姿勢においても無理ないポジションを取ることができる。 100-DESK094のほうは大きさがちょうど良く、高さを変えやすいのがポイント。ゴリラ腕にならずにマウスを操作できる。
マウス (2020/08)
Digio MUS-RKF164を導入。ほどよい角度がついており、後傾姿勢でマウスを操作する場合に、再度に配置すれば自然と手をおろしたときにフィットするようになった。
デスクトップPC (2020/09)
FM2マシンが故障したように見えたため、デスクトップPCを新調した。
マウスパッド (2020/09)
SteelSeries QcKとASUS Kerberosを導入。
デスクでややマウスの反応が悪いという問題を解消した。 しかし、MUS-RKF164とKerberosだと妙に反応が悪く、飛ぶことがある。
チェア (2020/12)
WINcaseを導入。いよいよ後傾姿勢が可能になった。
これで事実上、最高峰の椅子を導入することになった。
オーディオ周り (2021/02)
Scarlett 2i2とBX3を導入。合わせていくつかの機器を購入した。
Scarlett 2i2が入荷せず、現時点では組み込めていない。
ヘッドフォン (2021/03)
ULTRASONEのPro580iとSignature Studioを導入した。 Pro580iはリスニング用、Signature Studioは仕事用。
詳細は別サイトで。
キーボード (2021/04)
HUNTSMAN Miniの導入に続いてHUNTSMAN Tournament Editionを導入。 後傾姿勢ではRealForceが重い、という問題を解消した。
詳細は別記事にて。
ディスプレイ (2021/04)
そもそもET322QKwmiipxを導入したのはディスプレイがだめになったからだが、結局ダメになったディスプレイをサブディスプレイとして使用していた。
これがかなりストレスであったため、S2721QSを2台導入した。
色温度にかなりの差があり、合わせるのに苦労したが、非常に快適な作業環境が仕上がった。
メガネ (2021/04)
現在使える状態にあるメガネで最も古いのはフレームが2007年、レンズが2011年のもの。だが、これは少し度が合っていない。 セットのままになっているもので最も古いのは2014年のもので、これはずっとメインで使ってきたゼログラだ。
このゼログラは非常に具合がよくずっと使っている。度の変更をせずにこんなに長く使えるのは初めてだし、フレームも傷はあるがしっかりしており(一回歪んでしまって直してもらったが)、非常に良い。
だが、このメガネは「バイクありき」で作ったということが重要だ。 最低限1.2が出るようにしており、遠くで、速く動くものを短時間で認識できるということを重視していて、できる限り視力を出す調整をしている。
つまり、負担の大きい眼鏡だ。
2016年に作ったものは事業用に作ったものだが、さらに視力を上げようとしたもの。 しかし、これはかなり負担が大きく、ピント合わせが大変なため、失敗したと言える。
2017年にはスポーツサングラスを導入したが、これはレンズは2014年ゼログラと同じもの。
2019年には外出用のおしゃれ重視のメガネ(2007年のフレームのポジション)を刷新した。 これは、2014年のゼログラがもうダメージが深くなってきたことからゼログラでやっていけなくなってきたというのもある。 レンズは2014年ゼログラと同じ。 2020年にももう一本、外出用(サングラス兼用)を追加しているが、こちらも同じレンズ。これはJIN’Sで作ったもので、より日常的な外出用である。
そして、ここで新規に作ったのは「室内用」のメガネだ。
いつものように眼鏡市場で作ったのだが、ゼログラとフリーフィットの2本を作った。 ゼログラは2014年ゼログラを置き換えるかけ心地のよいもの、フリーフィットは集中して作業するためのPC用。 これに合わせて、ゼログラは焦点距離数メートル程度を焦点として少し弱い度となっており(視力1.0)、フリーフィットは焦点距離1メートルに特化しており、乱視矯正も弱くしている(視力0.9)。ちなみに、現状2014ゼログラは1.5出ている。
寝室はどんな感じ
標準サイズのデスクに32インチのテレビがどーん、である。 少し古めのテレビなので厚みもあるし、サイズは結構でかい。それでいてFHDではなくHDである。
P720はトラスコの平台車に乗せている。 CPUスタンドとくらべずっとガッチリしており、耐荷重もはるかに高く、30kgまで耐えるCPUスタンドと比べればずっと安い。移動もスムーズだ。
ディスプレイとの焦点距離が近く、集中型の環境だ。椅子も前傾可能なエクサージュであるため、「普通」に近い。 キーボードに関しては複雑な運用で、使い分けている。マウスはセンサー重視でETのマウスを使っている。太めの有線ケーブルであるため、マウスバンジー併用。
正面には(大部分ディスプレイに隠れているが)エロゲーのタペストリーを配置していて、テイストの違いを演出している。 ちなみに、Sugar Style Music&Hapiness packのタペストリーで、色合いがきれいで雰囲気がよく、非常に幸せ感あるものであり、配置に工夫を凝らしていることもありセンスが良いと割と好評だ。
ポジション的には部屋の角を使ってセッティングしており、寝具とタンスが主役といった感じが強い部屋であり、その片隅にちょっと狭苦しくデスクが置かれている感じだ。 タンスがあるためそれっぽさに欠けるがイメージ的には、「学生の私室」を意識している。 そこに必要なのは「ベッドとデスク」であり、そのひと部屋で完結するような生活感ある部屋を目指したものであり、実際他の部屋と違って整頓されきっていないのも特徴だ。
私の場合、常にきっちりとスイッチ切り替えるタイプではないため、多様性をカバーするという側面があり、また気を張らなくてよい、ハッピーな空間を演出してもいる。 心理効果をかなり重視しているのだ。寝室ではアロマも使っていたのだが、ディフューザーが壊れたので使わなくなってしまった。
オーディオはVAIO MX2を使っており、ちゃんとしたスピーカースタンドで配置している。 このスピーカーはデスクポジションに対するものではなく、ベッドに対するもの。
Finally
私がコンピュータ、というものについて考えるようになったのは1996年のことだ。 Windows 3.1の入ったAptivaを触り、そこにOS/2を入れたことによって、「リソースの足りないマシンは、何をするにしても価値がない」ということを感じた。
私がMX2を買ったときに主に頭にあったのは、「ゲームをするための性能」であることは否めない。もちろん、第一には音楽制作作業のことを考えていたが、「計算性能」について考えるときの基準はゲームだった。
それは、このあと性能の低いコンピュータ(ThinkPad G40)を使うことを強いられたことでより強く思うようになる。 そして、もうこのときには私にとってコンピュータは研究のための道具だった。研究のためには、途方もない計算力や空間が必要だった。 当時の私は「スーパーコンピューターを求める人の気持ちがわかる」と思っていたくらいだ。
当時はマルチコアCPUなんてなかったし、考えられるのはマルチCPUだった。 私は「並列計算が必要だ」と思っていた。OpteronならSMPで動作させられる、というのはかなり魅力的に思えた。 だが、HDDの容量は明らかに不足していた。研究に必要なだけのデータを集めるインターネット速度もなかった(インターネット上の情報リソースは十分に多くなりつつあった)。 画像は研究するには解像度が不足していた。動画はとても実用にならなかった。
つまり、何もかもが足りなかった。DTMの仕事をするときさえ、コンピュータはもっと圧倒的に速くなるべきであり、そうでなければこの生産性の低さlostmizukiと苦痛からは逃れられない、と毎日考えていた(それは、コンピュータが嫌いになる理由のひとつでもあった)。
私は、目の前にある、XGA解像度、40GBハードディスク、1GBメモリ、アプリの立ち上げにすらいつまでも待たされる、そんなコンピュータを前にしながらいつも思っていた。
「もしも、そのとき表示すべき情報が切り替えることなくすべて表示され、世界中のデータが手元にあり、それを解析する時間はそれが集積される時間よりも速く、メモリの解放を気にすることなく読み込み、ディスクアクセスを待つことなく、データ損失に怯えることもない、そんなことができたならば、どれだけのストレスから私は解放されるのだろうか」
やがて、私は真剣に考え始めた。
快適な作業には何が必要か?
私の目的を実現するにはどれだけの計算力が必要か?
何の進化を待てばいいか?
それが実現するのはいつの日か?
コンピュータの性能はいつまでも足りなかった。 ついに着手した2014年、プロセッサのコア数は4コア8スレッド、というのが一般用では上限であった。まだまだ足りない。プロセッサも遅い。
メモリは64GBが積めるようになっていた。32GBあれば十分であるように思えた。
HDDはいくらあっても足りなかった。 私は、当時もっともコスパの良い3TBのハードディスクを8台集めることにした(実際は4台からスタートしている)。
ディスプレイはFHD 6枚を目指した。 4kはまだ高すぎるし、技術もこなれていなかった。 ちょっと前にEyefinity 6というのが話題になっていて、Radeonは6枚出力を可能にしていた。
キーボードやマウスは重要なデバイスだと認識していた。妥協なく選ぶべきだと思った。
快適なデスク、チェアはコンピュータの性能以上に重要だと思っていた。 「必要十分なもの」を選ぼうとした。
これは、いわば夢だった。 いつかそんな快適で、目的が達成できる、そんな環境がほしかった。 そして、その環境で私のなすべきことを形にしたかった。
十分な資金がなくて、スタートダッシュを決められなかった。A10の性能は、私に強い不満を抱かせた。 それでも「少しずつ充実させていこう」そう思った。
そのとき思い描いた通りなら、どんどん必要なものを追加すれば、あるいは置き換えていけばゴールにたどり着くはずだった。 だが、本当に必要なものは、正しく認識できていなかった。
思った以上に試行錯誤が必要だった。必ずしもゴールに近づいてもいなかった。 それでも、私はその環境におけるベストを尽くしていた。どれだけ優れたコンピュータがあっても、それを活かす力がなくては意味がない。 それに、仕事がうまくいっていなければ、研究を語る以前の問題だ。
2018年から、「私が本当に必要だと思っているもの」に着手しはじめた。 P720だって、デュオレハイだってそうだ。
だが、実際はそれはゴールではなかった。 8160Tの2機の電力消費は、私がイメージした「快適」とは全く異なるものだった。 デュオレハイは何も「十分」ではなかった。 狭いL字型のデスクは、私に快適をもたらさなかった。
試行錯誤を繰り返し、「本当によい環境」に少しずつ近づいた。2018年以前のものは、ほとんど理想的な環境には残らなかった。なんとか活かしたくて流用したものがある程度だ。 そしてここまでようやくたどり着き、求めてきた理想の環境がついに仕上がった。
さらなる理想への道
防音化
なんといっても防音化だろう。 もうこれは、一軒家ありきで、なおかつ大掛かりな話になるが。
時間を気にすることなく、音楽を聴いたり、ゲームをしたりできる環境だといいな、と思う。まぁ、最近は基本一般的な勤務時間で動いているから、そこまで重要ではないかもしれないけど、足音とか物音とか気にしてしまうので、音に対して神経質にならずに済む空間だと効果は大きいだろう。
ルームレイアウト
標準的な6畳の部屋で、ルームレイアウトは完璧に近い。
ただ、理想的に言えばもう少し幅がほしい。 多分、6畳の部屋は長辺側1辺だけが全面壁で、あとは窓なりドアなり収納なりあるのが一般的なレイアウトだろうし、実際この部屋もそうなっている。 本棚を置かないで済むのなら向きを変えることで実現可能だが、残念ながら今の家ではワークルームから本棚を外すことはできないし、そもそもワークルームに本棚がひとつもないのは普通に困るので、なかなか実現は難しい。さすがに今の広さからさらにひと部屋増やすと、「頭おかしい」と思われるの必至なくらいの広さなので、スクエアに近い8畳の部屋だともっと理想的なポジションがとれると考えられる。
スピーカースタンド
現状、安いアルミラックにMDF板を置き、その上に防振ゲルをはさんでスピーカーを乗せている(下側はスピーカーとMDF板の間に挟んでいるわけではなく、2枚の板の間には参加でいる)。 本当はもっと質感の高いラックを用意すべきなのだろうが、うまく配置できるサイズで、かつコードを通せるラックがあまりないし、チープだが軽い分、デスクを動かす必要があるときなど動かす必要がある場合の扱いも楽。
未到着のアイテム
Scarlett 2i2及びBX3は、注文しているが現時点で届いていないため、配備されていない。
未装着のアイテム
ウェブカムとマイクの配信セットはつけていない状態にしている。 これらはつけていると視界に入って邪魔なので、使わないときは外している。
ウェブカムはC270nを使っている。従来のC270と比べ、もゃっとした画質なのがあまり気に入っていない。 だが、現時点で良いウェブカムを使う動機がないため、改善予定はない。今欲しいモデルもないし、もっと根本的な問題として、今スマートフォンのカメラの品質が非常に良いため、ウェブカムは相当見劣りしてしまう。 このあたりはこだわろうにも難しいところだ。
マイクは6000円ほどの中華製コンデンサーマイクを使っている。 もっと良いコンデンサーマイクがあるのに中華製のものを使っているのは、もちろんコンデンサーマイクを出しっぱなしセットしっぱなしにするなんて言語道断だが、配信向けのコンデンサーマイクは割と丈夫に作られていたりするのでそこまで気にならないし、たとえ壊れてもあまり痛くない値段だからだ。さすがに10万くらいするマイクをそんな扱いして壊したら泣ける。
だが、マイクに関しては配信用の良いマイクを使いたい気持ちはある。 今は通話をすることすらないので、実際にその予定はないが。
あと、JS-1 TUBEも欲しい。声録り用に。
オーディオ
MM-1を寝室に移したため、基本的にはDRA-F102を使用する。 音質は悪くない(むしろこの手のシステムとしては最上に近い)が、低音ブーストしているとこもったように聞こえてしまう場合もある(エンハンサーとイコライザをオフにするのは一瞬でできる)。
オーディオ自体が音楽ファイルを扱えるようになればリモコンが使えて快適かもしれないが、実際のところHUNTSMANはオーディオコントロールのファンクションキーを持っているので、利便性は悪くない。
これより良いシステムは簡単には構成しづらい。 いや、単純に音の良さだけで考えればBX5あたりをつか吸えば使えば良いのだが、すくらスタジオモニターとしては鳴りやすいとはいえ、70Wのスピーカーをまともに鳴らすと苦情は避けられない。そこらへんはまず一軒家を建てるところから始まるだろう。
徹底的に理想を追求すればまた違った構成も考えられるだろうが、実際の作業空間としては手を入れる必要性を感じない。まぁ、STAXヘッドフォンくらいはほしい。
照明とエアコン
照明は日立の10畳用。6畳の部屋に対して相当オーバースペックに感じられるが、私の目は割と暗めに見えるほうなので、ちゃんと見る必要があるときはかなり明るくする必要があるし、かといって目は弱いほうなので常に明るければ良いわけでもない。
この照明はベストだと言える。ちなみに、この日立の10畳用、ものすごくでかい。驚くほどでかい。
エアコンはダイキンのシンプルなもの。 ビックカメラの限定コラボモデルで、おでかけ運転と静音運転の機能が追加されている。
フィルタクリーニング機能はないが、内部クリーニング機能もあり、タフな室外機もついている。ベーシックモデルとしては高めのお値段だが、基本性能が高く、不満はない。
とはいえ、寝室ではちょっと良いエアコンを使っており、その高機能さは結構感動的なので、お値段気にせずこだわりを詰め込んだらもっと快適かもしれない。
コンピュータ
VP9の処理能力が全く足りてないので、もっともっとコンピュータのパワーが欲しい。 このあとAV1で悩まされることになるだろうけど。
あるいは、ビデオエンコーディングを走らせる用にもう一台とか、ゲーム用にもう一台とか、そんな感じで増やしたい気持ちもある。 うまく構成を噛み合うようにできないので、もう一世代はずらす必要があるだろう。
また、ストレージが3000MB/s read, 1500MB/s writeクラスのストレージなので、PCIe4クラスのストレージを入れるとだいぶ変わるだろうし、B550もWindowsを入れている関係でPCIeストレージを振り分ける使い方はできていないから、それを可能なようにするとまただいぶ変わるだろう。
今に特に目立った不満があるわけではないが(やや不安定な面があるのは気になっている)、さらなるエクスペリエンスの向上はやってみたい。
Wi-Fiルーター
ワークルームとリビングにルーターが置かれているが、中央にどーんと防音室が置かれている構造上、寝室ではあまり電波強度がない。50%を切る程度だ。
寝室にはWi-Fi6ルーターを置きたい。実用上困ってないので順延だが。
インターネット回線
もっともっと高速なインターネット回線が欲しい。今の家だとどうがんばってもあまり速度が出ないのだけど。
今のダウンロード感だと、実効速度で100MB/sくらい出てくれると嬉しい。