Zoomだけじゃない! オンライン会議プラットフォーム 2020
製品・サービス::communication
序
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりにより、今現在人々は外に出なくなっている。 我々の仕事もまた、可能な限りリモートワークなど外出しない形態に移行している。
Mimir Yokohamaは家庭教師サービスであり、これは自粛要請の対象外である。 とはいえ、現実的な問題を考えれば自粛要請の有無に関わらず可能な限り控えたほうが良いのは明らかである。
そのため、Mimir Yokohamaでは通常授業サービスを受けられている方に対するリモート授業を開始した。 サービスとしてはリモート授業は元々存在したが、利用された方はいなかったため、初めての試みである。
このため、色々なオンラインミーティングプラットフォームを利用したが、完璧なサービスはなかった。 それぞれの機能を比較しよう。
なお、Microsoft Teamsは利用していないので、比較には含めていない。
また、前提としてLinuxで利用しているため、Linuxの機能として簡単に実現可能なことは機能的に存在しなくてもそれほど重要視していない。 加えて、今回は「相手側に特別な知識や条件を要求しない」ということを重視しているため、本来動作すべきものが動作しないことが確認された時点で、それ以上のワークアラウンドを追求することはしていない。
この記事における検証は甘いかもしれないので、検証材料をコメント等で提供していただければ、この記事はアップデートされるだろう。
一覧
基本的に無料プランを前提としたもの。
機能 | Zoom | Skype | Discord | Jitsi | Whereby | |
---|---|---|---|---|---|---|
Web | 限定的 | 利用可 | 利用可 | 不可 | 利用可 | 利用可 |
PCアプリ | 要求 | 任意 | 要求 | ビデオ時必須 | 任意 | 不在 |
アカウント | 開設者 | 必須 | 必須 | 必須 | なし | 開設者 |
シェア | デスクトップ, ワークスペース, スクリーン, ウィンドウ | スクリーン, ウィンドウ | スクリーン, ウィンドウ | スクリーン, ウィンドウ | スクリーン | スクリーン, ウィンドウ, ブラウザタブ |
ファイル送信 | ✓ | ✓ | ✓ | |||
料金 | プラン | 無料/G Suite | 基本無料 | 無料 | 無料 | プラン |
利用時間 | 60分 | 60分 | - | - | - | - |
チャンネル | 都度生成 | 都度生成 | アカウント単位 | 事前固定 | 都度生成 | 事前固定 |
同時参加 | 100 | 100 | 50 | 25 | 35/75 | 4 |
記録 | できる | できる※ | できる(通知) | できない | できない | できない |
プラットフォーム
Zoom
Zoomは、深刻な脆弱性をいくつも抱えていたり、Facebookに無断で情報を送信するなど問題があった。 これらは、解消されたかのように言われているが、依然としてその振る舞いを見る限り信用することができない。
具体的な問題としては
- MACアドレス、シリアルコードなど明らかに必要なく、見るべきでない情報にアクセスしている
- 画面共有前からウィンドウの描画内容をチェックしている
などがあり、過剰に情報を収集し、通話参加前からかなりのデータをアップロードしている。
さらに、webアクセスすると 問答無用でZoomアプリケーションを起動しようとする 。 それだけではなく、これをキャンセルするとwebゲストアクセスのプロンプトが出るのだが、 出るかどうか、そしてプロンプトが出るタイミングはランダムであり、またFirefoxによるアクセスだとプロンプトは出ない。これについての説明は一切ない。
極めて振る舞いの悪い、いわゆる「ガラの悪いアプリケーションとサービス」である。 (こうした振る舞いはマルウェアで一般的なものだ)
さらに、webインターフェイスを利用する場合、画面が出るのがスピーカーのみであるなど、非常にエクスペリエンスが悪い。 そのような仕様にする、あるいはせざるをえない理由はないため、「アプリケーションを使わせるために意図的に悪いエクスペリエンスを与える」というものだ。
機能的には背景合成、多彩なシェアオプション、アノテーションといった魅力がある。 アプリケーションは、マルウェア的な振る舞いに目をつぶるのであれば使い勝手が比較的よい。
通話品質はそこそこだ。音質が悪く、ビデオが途切れやすいのは問題だろう。 また、帯域をいささか消費しすぎる傾向がある。
チャットもよくない。他のプラットフォームと比べると断然見づらい。 Jitsiよりはマシだが、Jitsiと比べられる状況はかなり屈辱的なのではないだろうか。
独特な問題として、シェア時の画面更新をサボる、というのがある。 スクリーンシェアリングは当然ながら更新が少ないため、同じ画面を表示しつづけることになるのだが、 例えばスライドを表示していて、あるページで長く話したあと、ページをめくり、短い時間でさらにページをめくる、といったことをすると、短い時間表示されていたはずのページが表示されない、という問題が発生するのだ。 帯域を節約するためなのかもしれないが、これで困るケースがかなり多い。
また、他にない問題として、先行待機ができないというのもある。 主催者が入室していない状態だと、リンクを受け取っていても入室することができない、らしい。 (これは確認できていない。実際の条件はもっと複雑なようだ)
Google Meet / Google Hangouts
今回比較する中では最もクセが強く、確認すべき事項が多い。
まず、Google MeetはG Suiteの一部であり、この5月からG Suiteユーザーではない一般のGoogleユーザーにも解放されることになった。 ただし、機能的には制限されるようだ。ビデオ通話もできないのかもしれない。
レコーディングは主催者によって可否をコントロールすることができ、Googleドライブ上に保存される。
ユーザーベースではGoogle Hangoutsの利用も可能だ。
なお、Google Meet, Google Hangoutsともに、Googleアカウントがなくても参加可能であると説明されているソースが見つかるが、実際に招待リンクをクリックするとGoogleへのログインが要求され、これをスキップすることはできなかった。
メール経由であれば利用可能なのかもしれないが、私が試した限りメールアドレスを使って招待しても相手にメールが届くことはなかった。
Googleアカウントを持っている可能性は高く、アカウント取得のハードルがあるわけではないが、現在のGoogleアカウントは個人情報に紐付けなければ取得できないものであり、なおかつそのアクティビティをGoogleに紐付けられることを避けることができない。 Googleに個人情報を渡したくない者にとっては、非常に嫌なことである。 Googleアカウントに電話番号が必要であるため、電話を持っていない子供などのアカウントを取れないという問題もある。
全体的に意図したように動作せず、あまり良いものとは思えなかった。 招待によって参加したことはあるが、品質も特段良いわけではない。 ただし、帯域消費は少なく、接続は安定している。
Skype
ビデオ通話アプリケーションとしてはかなり古参である1Skypeだが、昔の(イスラエル製の)Skypeと現在のSkypeは全くの別物である。
最たるところは、Skypeは元々はリングP2Pアプリケーションだったが、現在はMicrosoftのサーバーに集約されたものになっている。 現在のSkypeは純粋にMicrosoft製であり、元々のSkypeのテクノロジーはほぼ利用されていない。
最近は、コンタクトリストを問答無用でシステムの連絡帳を利用する仕組みにしており、つまりMicrosoftに全ての連絡先を提供しない限りコンタクトリストを有効に機能しない。 また、チャットログも遡って見ることはできず、それどころか一定期間会話していない相手はコンタクトリストからもヒストリからも消える、つまり「連絡先を削除した」のと同じ扱いになってしまう。(再度検索するしかない)
つまり、本質的にコンタクトリストという機能が削除されてしまっているのだ。
Skypeは非常に通話品質、音質が良いというのが特徴だったが、現在は音質も悪く、至って途切れがちである。 一方、ビデオは画質こそ悪いものの、比較的安定している。 帯域消費は依然として非常に少ない。 スクリーンシェアリングの強化や招待制などを含め、どちらかというと会議用ソフトウェアに振り替えている印象だ。
Skypeはリンク招待制を採用し、アカウントなしでも招待できるようになっている。 そして、Googleと違い、アクセスした瞬間にSkypeを起動しようとする非常に無礼な振る舞いはあるものの、これを拒否すればChromiumであればゲスト参加が可能になっている。 Firefoxの場合ゲストとして参加するオプションは出ない。これについての説明は一切ない
しかし、この場合でもチャットには参加できるものの、(少なくともLinuxでは)マイクもカメラもオンにすることはできず、通話に参加することができなかった。
良い点として、背景をぼかすという機能がある。 Zoomの背景合成と違い、ぼかすために変な部分が消されてしまって困るということもなく、またその精度もZoomのものより良い。
モバイルアプリが異様にバッテリーを消費するという問題は軽減されたが、それでも比較的消費が激しいことには変わりない。
Discord
躍進著しいDiscordだが、条件は他と比べてもやや厳しい。 アカウントが必須であり、通話まではwebアプリケーションでもできるが、ビデオ通話のサポートはwebアプリケーションではされておらず、PCでもアプリケーションインストールが必須である。
だが、メールアドレスだけで登録できるDiscordアカウントは個人情報との紐付けが弱いため、心理的ハードルは比較的低い。
問題点として、Discordはアカウントに基づくため、他のサーバーやコンタクトとのやりとりが混ざってしまう、という問題がある。サーバーごとにステートが設定できるわけでもないため、これはかなり厄介な問題である。 特にゲームアクティビティを有効にしていると、仕事関係の人にゲームをしているとそのことを伝えてしまうという問題が発生する。オフにすることはできるが、ゲーム仲間には伝えたいというケースもあるだろう。 ただし、複数のアカウントを切り替えて使用することそのものには制約はない。
これらのハードルがクリアできるのであれば使い勝手はなかなか良い。 複数のチャンネルを切り替えられるので、テキストを分離することもできる。
通話品質は非常に良く、音も明瞭、映像も遅延が少なくクリアに送信される。帯域消費も少ない。 だが、私は経験したことがないものの、Discordでは音声がブツブツに切れてしまう、という報告があがっている。 音声検出の閾値を0にすれば常に接続状態になるはずだが、それでも切れてしまい、PPT方式で押しっぱなしにすれば聴こえるという。
また、音声検出の都合でどうしても話し始めが切れやすいという問題がある。 このことから、どちらかといえばわいわいと話すような状況よりは、発言者がはっきりしているタイプのものに向く。 ゲームとか、会議とか。
Jitsi
Jitsiはこの中ではもっとも安心して利用できるプラットフォームだ。
Jitsiそのものは長くXMPPクライアントソフトウェアであり、ここで述べるものはWebRTCミーティングであるJitsi meetのほうである。 元々はJitsiでJingle ICEというXMPPの拡張を使って通話機能を実現する方向だったはずだが、いつの間にか完全にWebRTCプラットフォームに切り替えていた。いつの間にやらJitsiはXMPPクライアントそのものをやめてしまったようだ。
一方、XMPPでなくなったとはいえ、Jitsiは依然としてオープンなプラットフォームであり、自前のJitsi meetサーバーを用意することができる。これはオープンソースソフトウェアだ。
デスクトップアプリケーションもないではないが、基本的にはウェブ上で完結する。 モバイルに関してはアプリケーションを利用する方式だ。
アカウント制度のない完全なオープン型であり、主催者/開設者を含めてなんらかのアカウントを必要とすることはない。 逆に言えば、チャンネル名を専有しておくこともできない。 完全にプライベートな利用をしたい場合は自前でサーバーを用意したほうが良いだろう。
チャンネルへのアクセスコントロールとしてはパスワードをかけることができる。
これだけで言えば非常に良いように思えるが、残念ながら品質や使い勝手はよくない。
接続品質は非常に良く、途切れてしまうようなことはないのだが、音質・画質ともかなり悪く、映像の遅延は大きい。
さらにシェアがスクリーンしかなく、特にマルチスクリーンを使っている場合は全ての画面が共有されることで、元々大きめの帯域消費である上に、非常に大きなコストがかかってしまう。
しかもこれが見づらく、特定のスクリーンをピンする機能もないのが厄介だ。 そこでv4l2loopbackを使って特定領域をダミーカメラにしてシェアするという方法を取るのだが、Jitsiはカメラに対してクロッピングを行う。 つまり、ウィンドウを縦長にしていたりすると、映像を縮小するのではなく左右を切ってしまうため、かなり使いにくい。
マイクの音量が大きいと警告するのだが、これはミュートでも働くため、ヘッドセットを付け直すと警告されたりする。 さらに、ミュート時にマスクが音を拾うことで「ミュートになってるよ」と警告するのだが、拾った音を伝えたくないからミュートにしているわけで、これも適切ではない。 それ自体は大したことないように思えるが、インターフェイスが大変に使いにくい(これらの警告も自動的には消えない)ので結構ストレスになる。
また、アカウントがないためチャットが一切残らないし、チャット自体、チャットしたい人が全員「チャットに」ログインしていないとチャットで発言していることも伝わらない。そして、そのチャットもまた大変見づらい。
このあたりの残念さはXMPPクライアントっぽい。
Whereby
Vivaldiへのサポートサードも開始したWhereby。これにより、VivaldiのスピードダイアルにWherebyが追加された。
3プランで構成されており、フリープランもある。 アカウント登録が必要なのはチャンネル主である。
特徴的なポイントとして、アカウントがパスワードレスになっている。 ログインのたびにPINコードをメールで送りつける方式で、これはよりモダンな認証方式だ。 また、メールの代わりに電話を利用することもできる。
Wherebyの概要については、公式がnoteに記事を公開している。
全体的にルーム数や参加人数の制限が厳しく、ここが課金要素なのだが、課金額が高めで、課金してもなお制限は厳しい。 ただ、実際にルーム数や参加人数の制限は重要な事項ではないケースが多く、サーバー負荷なども考えれば良い塩梅なのかもしれない。
接続品質はかなり安定している。 音質は全体的にあまりよくなく、ビデオも遅延気味だが、接続がロストしてしまう、音が聞こえないといったトラブルは比較的少ない。 さらに、帯域消費が驚異的に少ない。低速な回線でも利用しやすいだろう。
レコーディングはProプランではオプション、Businessプランでは標準で、フリープランには含まれない。
ルーム保護の仕組みもおもしろい。パスワードではなく「ノック」方式なのだ。 ノック必須にした場合、ルーム入室時にノックを行うことになる。 これによって、主催者には「誰が」入室しようとしているのかが伝わる。 これによって関係ない人の乱入を防ぐことができる。
主催者ができるのは、「入れる」「保留する」「拒否する」の3つ。 未入室の人の情報はカメラによってのみ伝わるのだが、ここについて説明がないためわかりにくい。カメラを切られていると名前からしか判断できないし、入室しようとする人は既に映像が見えているということを知らずに恥ずかしい思いをするかもしれない。一言メッセージを伝える方法があったほうが良いような気はする。
ルームがノック必須の場合、主催者が許可しないと入れないので先行入室はできない。 ただし、Zoomと違って待機状態にしておくことはできるので、それほど困らない。カメラを切って待てないのは不便だが。
個人的には、メールでPINを送る認証方式は有望視していて、さらに乱入対策もユーザーを圧迫する認証方式の導入は避けたいと思っているので、私の好みに近いデザインをしているように感じる。
LINE
LINEは、互いにアカウント登録している仲の者だけで構成される場合、意外にも有力な選択肢だ。
だが、その有力さは、あくまでツールとして身近であるということに留まる。
LINEは接続品質はかなり悪い。また、通話品質も非常に悪い。 PCで利用できるのはWindowsのみであり、スクリーンシェアなどもできない。 Google HangoutsやSkypeは応用が効くが、LINEはそうはいかない。
立ちふさがるプライバシー問題
マルウェア的手法でプライバシーを侵害するZoomと、お行儀悪く個人情報を要求するMicrosoft、当たり前のように個人情報に紐づけようとするGoogle、という、プライバシー意識の高い人にとってはものすごく悩まされる状況である。 特にZoomは、個人情報意識の低い人であっても、セキュリティ上問題になる情報をZoomに握られることになるため、深刻な問題になる可能性がある。 また、この三者に関しては、ゲストアクセスしようとした場合、意図した操作が反映されない、アクセスの可否が明確でなく提示もされないといった問題があり、使い勝手は極めて悪いという印象を持った。
その意味では使いやすいのはDiscord, Jitsi, Wherebyである。
品質面では最も優れているのはDiscordだが、Discordにおいて不具合を訴えられるケースが比較的多いのが気がかりだ。
一方、「部屋を映す」という問題があるケースにおいて、ZoomやSkypeに背景を隠す機能があるのは魅力的だ。 特にSkypeはかなり実用的で、ここは大きな魅力と言えるのではないだろうか。
どう選ぶ
Mimir YokohamaではWherebyを採用した。 複数のルームを同時に使うケースがなく、多人数でアクセスすることもないため、Wherebyの欠点が特に気にならなかったためだ。
これらの欠点さえ問題でないのであれば、Wherebyは非常に良い。 URLを送ればブラウザで参加できることを期待できる(モダンな環境なら問題ないはずである)し、接続・通話品質もよく帯域消費も少ない。シェアも使いやすい。
グループ授業ならDiscordを使うことになるだろう。 そもそも、Mimir Yokohamaのリモート授業はDiscordで行うのが基本になっていた。 コードブロックの使える、チャンネル分け可能なチャットとファイル送信はWherebyを使う場合でも併用したいものだ。
裏技として、Discordの音声問題があるのであれば、通話において最も良い品質が出ているTelegramで通話しつつ、画面共有をDiscordで行うという方法もある。 ビデオ面で最も安定しているのはDiscordであるため、これは意外と快適だ。
一般的にどうか、という話をするならば、オンライン飲み会や親しい人との会話を求めているのであれば、任意の既につながっているものを使えば良いと思う。この意味では別にLINEも悪くないし、お互いGMailでやりとりしているような状態ならGoogle Hangoutsを使えばいいし、お互いSkypeを入れていて連絡先にも入っているのならばSkypeを使えばいい。
ビジネスでもアカウント問題がないのであれば同じような話なのだが、これは事前に希望を確認するなどしておかないとパワハラになりかねないので難しい。
匿名のゲスト参加ということを考えるとJitsiかWherebyということになるだろう。
現実的な問題を色々と考えるとWherebyのほうが良いように思える。 Jitsiの場合、チャンネル名がかぶってしまうと厄介だし、それを回避するにはサーバーを立てるということになってしまう。 もっともサーバーを立てたところでpublicな場所におけば誰でもチャンネルを作れるので問題が完全に解決するわけでもない。 アクセスが制限された社内用のオンラインミーティング環境などであれば良いのだが、そうなってくるとSlackでいいじゃん、みたいな感じになる。なにからなにまで微妙だ。
Wherebyの問題は参加人数制限にあるだろう。4人のルームが1つのFree、月9.99ドルで12人のルームが3つのProはまぁまぁ使いどころがあると思うのだが、その上が月59.99ドルで50人のルームが10というのは結構微妙な感じがする。 外部との商談や面談などで使用するには「ルームが少ない」問題に直面するのだ。現実にもある「会議室がいっぱいです」問題だ。
ここらへんを考えると外部向けでは「Wherebyでいけるかどうか」というのがまず考えるところになりそうだ。 内部用だとWherebyのFreeプランは弱い。月9.99ドル課金するならばSlackのスタンダードプランが候補に入るため難しいところである。 専用のPCの支給ができるならばSkypeは良い選択肢であるように思われる。「仕事用のアカウント」が取れるし、そのPCの個人情報は業務上のものに限定することができる。Discordも同様に利用できるだろう。
業務用として考えると、プライベートなアカウントを要求することになるGoogle Hangouts/Google meetはいずれにせよ難しい。 Jitsi meetも微妙な点がつきまとう。
プライベートな通話は、LINE, Google Hangouts, Skype, Discord, Slackどれでも良いと思う (1対1ならSlackのフリープランでできる)。お好みで。 居酒屋に集まるような、半ばオープンなものならばJitsi meetも良い。Jitsi meetは音質や画質は悪いが、接続自体は安定しており、映像も遅延はあるがかくつきにくいので、こういう使い方では結構イケる。
プライベートなビデオ通話に関しては、Telegramが2020年中にセキュアなグループビデオ通話を入れるよと言っているので、それが本命になるのではないだろうか。
そして、ここまで検討してきても、特にZoomを使うべき特段の理由が私には見当たらない。 Zoom派の人は他と比べてどこが優れているのか、ぜひ語ってほしい。
講義がしたい
100人を越えるような聴衆を相手に講義・講演をしたい場合、そもそもネットミーティング系のソフトウェアが適していない。
ネットミーティングは基本的に双方向性が前提だ。おしゃべりか、あるいは会議のようなものである。 だが、100人を越える会議というのはなかなかないのではないか。100人を越える形式は、特定のスピーカーがいるものが多いだろう。
この場合、いわゆるライブ配信のほうが向いている。 フリーチャットになっているライブ配信は私が知る限りなく、チャットのためにはアカウント登録が必要だが、私はYouTubeを推したい。 YouTubeは見るだけであればアカウント登録が不要であり、発言するにしてもだいたいみんな持っているGoogleアカウントで、さらにYouTubeに関しては個人情報を公開するアカウントとは別にブランドアカウントを持つことができるため、プライバシーがやや守られる。招待リンクによる限定公開も可能だ。 配信者にプレミアムアカウントが要求されないのも良い。
複数のスピーカーがいる場合、通話を通じてスピーカーに参加してもらうのも、OBSのようなソフトウェアミキサーがあるため比較的やりやすい。