おことわり
前提について
この記事の内容はHarukamy Piecesで書いたOPPO Find X6 Pro レビュー!とついに発売されたFind X9 Ultraのスペックの話を下地にしている。
なので、これらの記事を読んでいない場合内容が意味不明になる可能性がある。
また本記事は中国のスマートフォン事情をある程度理解していることを前提にしているため、その意味でもこれらの記事を読んでいないと意味がわからないかもしれない。
画像について
Find X6 Proの記事のときには50MPの画像が開けなかった。だがどうも、これはCloudFalreの制限らしい。 ChienomiはCloudFlareを経由していないので、この問題は発生しない……はずだ。
とはいえ、200MPの画像をそのまま載せるのはさすがに問題があるだろうということで、この記事で使われている画像は50MPまでだ。200MPの作例はクロップしたものに限っている。
今回からlightboxによる表示がある画像は水色のフチがつくようになった。 また、lightboxによる表示がある画像であっても横500pxにするようにした。
画像が非常に多いのでlazyロードにしている。
loading="lazy"に対応していないブラウザでアクセスすると、多分レートリミットにひっかかる。
lightboxでロードされる画像はかなり巨大な画像なので注意してほしい。
本記事について
本記事は単純なレビュー記事というよりは、読み物仕立てであり、解説記事である。 そして、判を押したようなような内容は書かないようにしている。
なので、よくあるレビュー記事を読みたい人は、よく知られたそのようなメディアの記事を読んだほうが良い。
読み物部分を省略したい人はFind X9 Ultraのスペックから読み始めるといいかもしれない。
真の超級の到来
OPPOのFindシリーズは、初代はちょっと変わったものだったが、2代目となるX2からは割と普通のスマートフォンだった。
Findシリーズの基本的な方向性は、強みとしたい部分に尖ったものを持ちつつも全体的には優等生としてまとまったハイエンドであった。
ちなみに、Find X2やX3では、Proモデルと標準モデルがあったが、標準モデルも比較的高いグレードのモデル、Proモデルはフラッグシップという位置づけだった。 このあたりの話は日本で無印Find X8が「ハイエンド」として売られているのが納得できない話で詳しくしている。
OPPOは全体的にモデル構成が迷走していて、Find X9の世代だとFind X9無印の下がスッカスカ。 Find X9/ProのポジションはRenoと競合している。
つまり、X7の世代、X8の世代、X9の世代とだんだん無印とProが下に下がっている……というか、Proが特に下がっていっている形だ。 X8も割と無印とProの違いが怪しかったのだけど、X9はグレード差としては相当小さい。なんなら、ほぼ一緒といってもだいたい合ってる。
それもあって、X8 ProからX9 Proはかなりダウングレードした感がある。
Findの特徴はカメラとディスプレイだ。 カメラはRenoにあんまり変わらないのがある時期もあったりしたのだが、ディスプレイに関しては明確に上のグレードが用意された。 しかしX9 ProはカメラがX8 Proからだいぶ引き下げられてしまったため、カメラが強みとも言えなくなってしまった。 さらに言えば、X8無印はカメラ構成的には全く必要がないにも関わらず上位グレードとの統一感のために中央にカメラを配置していた。 Findは無印とProもフレームもボディも違うので、同じレイアウトにすることによるコストダウンの恩恵はないのにだ。 対して、X9ではカメラはよくある隅への配置になった。 これは無印のカメラとしては妥当なところではあるが、Proも特に強力なカメラを搭載しなくなったので、Proも隅に配置してもそんなに困らなくなった。
さらに言うならこのレイアウトがiPhoneっぽいのだ。 これは私を大いに落胆させた。
中国では数年前までiPhoneが正義だった。 だから、iPhoneの仕様にならうのが一般的だった時期がある。 しかし、過熱する性能競争と要求があって、今やiPhone風であることはむしろ足をひっぱる要素となった。
中国人がスマホに対して異様なまでの性能要求をすることは、決してスペック厨だからという意味にとどまらない。 ライブコマースや映像作品制作など、カメラ、特に動画性能が直接的な収益になる。そしてそれらはビデオカメラやシネマカメラではなく、スマートフォンを使うのが一般的だ。 これは、最初はそれが手軽で始めやすかったからであるらしいが、現在は激しい競争の中で「スピード」への要求が凄まじいインフレをしてしまい、時短のためにスマートフォンにすべてを求めるようになった、というのが背景だ。
つまり、今や普通の人には絶対必要ないようなカメラがなければハイエンドとしては成立しないのだ。 ハイエンドを求めるのは、単なる金持ちでないならば、ハイエンド機が生活のリターンになる層だからだ。
対してX9 Proはその方向に逆行した。 X8 Proは「普通の人のハイエンド」のようなモデルだった。スマートフォンで収益を生み出すわけではなく、プロフェッショナルクオリティの写真を撮りたいわけでもない、そういう人にとって性能を求めるちょうどいい端末だったのだ。 しかしX9 Proは「高性能端末が欲しい」という人にとってはかなり物足りないもので、特にカメラに対しては妥協が積み重なっているので受け入れがたいものだった。 しかも見た目はiPhone風。
X7 Ultra, X8 Ultraは基本的に無印やProを高性能化したモデルだった。 X9 UltraもX9の方向性を継承すると考えるのが自然だった。つまり、相当期待できない予感だ。
実際、リーク情報ではカメラは2つの2億画素センサーを投入しつつも、システムとしては簡略化するような方向のものが出回っていた。
私はFindの魅力がカメラだけではないことを知っているが、それでもカメラがその中心にあるのは間違いない。 2億画素というだけで肯定的に騒ぐ人たちもいたが、X8 Ultraの「カメラシステムとしての完成度」を考えると、そのような一点豪華主義は興味を失うのに十分な話だった。
さらに日本発売という話。 グローバル版の話が出たときに私は日本発売の可能性は低いと考えていた。 無印を「ハイエンド」として売っている以上、その上を出して無印がハイエンドではないことを示すのはマーケティング上の矛盾になるからだ。
しかし日本版が発売されるという。 私は日本のスマホに関する、ものすごく変な観点のあれやこれやの話がものすごく嫌いなのだ。 そんなノイズに巻き込まれたくない。変なレッテルも貼られたくない。 そんなバカげたノイズはオーディオの話でお腹いっぱいなのだ。本当に関わり合いになりたくない。
この時点で見送りは確定的だった。「不完全なハードウェア」と「日本版というノイズ」が2本柱だが、ColorOS 16がAI強制でプライバシーを軽視していて、プライバシーポリシーへの不同意が選択しづらくなったという問題もある。これはX6 Proが既にColorOS 16になっているので買うかどうかへの影響は小さいのだけど……
しかし実際に出てきたものは一部センサーの一点豪華主義どころか、ありとあらゆる面で隙のない最強だった。
本来Ultraとはそういうものだ。すべてにおいて今ありうる最強、中国における「超級」はそういう意味を期待されている。
では「すべてが最強」になったことで平たくなったのかというとそんなことはなく、強みだったディスプレイやカメラは狂気のレベルになった。 そのすごさはちょっと語りきれない。割と「一体どうなっているんだ」の世界である。
そしてこれにより「ハードウェアがかなり不満なものになりそうだ」というものが一気に逆転、見送る理由が相対的にかなり薄くなった。
物語を始めよう
私はスマートフォンをあまり使わない人間だ。 まずほとんどの場合、スマートフォンを持って外出することはない。 クルマを出すか、でなければそれなりにちゃんとした外出をするときだけだ。
大きな理由は、スマートフォンの衛生状態を保つのが非常に面倒なこと。 Findは一応防水性はあるのだが、Xperiaみたいにハンドソープで洗って大丈夫なタイプではない。 薬品で拭くのはそれなりに慎重さを求められるので、外に持っていくのが結構面倒なのだ。
そして家にいるならばスマートフォンは基本触らない。 最近は強制的にスマートフォンを使う場合があるが1、「常に人はスマートフォンを手元に置いている」という前提は馬鹿げているので直ちにやめるべきだと思う。
じゃあスマートフォンは何に使っているかというと、最大の用途は記録用の写真。 そして通知端末であり、PCやサーバーのリモート操作端末でもある。 また、PCの拡張デバイスという側面もある。
他にも色々やらせてはいる。が、だいたいは一般的な人にはあまり馴染みのない使い方である。
逆にやらないことは、SNSや、長時間のゲームだ。 動画をスマートフォンで見ることも少ない。
だからスマートフォンに触れている時間は非常に短い。スマホ依存症とは無縁だ。
でもなんだかんだで私のスマホに対する性能要求は極限まで厳しいらしい。 まぁ、X6 Proの性能に対してそれなりに不満を持っているからそうなのかもしれない。
そんな私にとってスマートフォンの買い替えの動機は強いかというと…… 「まぁ、弱くはない」くらい。理由としては
- Find X6 Proの処理性能にやや不満を持ち始めている (主にウェブで)
- Find X6 Proのメインカメラはピントがシビアすぎて日常遣いが難しい
- 3倍ズームとの切り替え点は2.7倍。センサー切り替えがしんどい
- 3倍ズームのセンサーはIMX890なので、切り替えてしまえば使いやすくはある
- AF性能が特にメインカメラだと結構微妙。キーボード動画の撮影には使えない
- 画面がかなり弱く、既に傷や欠けだらけ。それをカバーするハイドロゲルフィルムももう良質なものを提供しているセラーがいない
- ハイドロゲルフィルムの交換ペースがちょっとしんどい
- KALPAは十分に安定していない (これは9割以上KALPAが悪い)
- エッジディスプレイが操作しにくいし見づらい
- 音ゲーでエッジディスプレイの操作性が終わってる
という感じ。 ただこれらはどれも「マイナーな不満」であり、私が完全な合理主義者であればFind X6 Proを続投させるだろう。 アップデートもまだ来ているし、まだ使える端末ではある。
だが、Find X6 Proに対する不満と、Find X9 Ultraの魅力を天秤にかけたときに、買い替えるという選択は(Find X9 Ultraの値段に目を瞑れば)割とアリに見える。 日本版が出ることについては……日本版にない色でも買って溜飲を下げることにしよう。
しかし、しかしだ。 「哈苏大师套装」のことを考える。
「哈苏大师套装」(ハッセルブラッド・マスターセット, 大地冒険家限定版)は事前リークでは「マスターエディション」とか呼ばれていたもの。 詳しくは後述するが、その中心は300mm / F2.2という化け物テレコンバーター(テレコンバーター??)であり、そのテレコンを取り付けるための物理シャッターつきスマホケース(思わずカメラケースといいたくなる)である。
このスマホケース、かなりしっかりとしたカメラグリップと物理シャッターを備えているため、単純にこのケースを取り付けるだけで、コンパクトなミラーレスのような感覚で撮影できるようになるようだ。
300mmという望遠を必要とする機会は、「一度もない」という可能性もある。
だが、これはいい機会なのかもしれない。
前述のとおり、私はスマホとの接触時間が短い。スマホを信用していないから使用を最小にしているという面もあるが、もう少し有効活用したい気持ちもある。 だが、現在の生活の中でスマホを使うことでより良くなる部分は非常に小さい。
そして、スマホに触れる機会が少ない理由のひとつに、外出の少なさもある。 これはコロナ以降の習慣の問題もあるが、それ以上に体をさらに弱くしたために外出が非常に制限されている面がより大きい。 もちろん、これは体の問題だから、外出しないことに関する意思の関与はだいぶ小さい。
だが、私は思う。 哈苏大师套装があれば、私はもっとお出かけしたいと思うだろう。 体的にも時間的にもそれを実現するのは非常に難しいが、それは外出する動機、あるいは外出できるようになるための取り組みをする動機になるのではないか。
だからFind X9 Ultraは、そして哈苏大师套装は単なる「スマートフォンの買い替え」というレベルを飛び越えて、物語を始める鍵になりうるのではないか。 スマートフォンとして考えるとなかなかの論外な値段をしているけれど、それが人生を変えるものならアリなんじゃないのか。
Find X9 Ultraのスペック
性能そのものの見どころはついに発売されたFind X9 Ultraのスペックの話参照のこと。
システム
| チップセット | Qualcomm SM8850-AC Snapdragon 8 Elite Gen 5 |
| CPU | 2x 4.6GHz Oryon V3 Phoenix L (超大核) + 6x 3.6GHz Oryon V3 Phoenix M (大核) |
| GPU | Adreno 840 @1200MHz |
| メモリ | 12GB+256GB, 12GB+512GB, 16GB+512GB, 16GB+1TB |
カメラ
| カメラ1 (1x) | 200MP f/1.5, 23mm, 1/1.12inch, PDAF, OIS (LYT-901) |
| カメラ2 (3x) | 200MP f/2.2, 70mm, 1/1.28inch, Periscope Telephoto, PDAF, IOS (OV52A) |
| カメラ3 (10x) | 50MP f/3.5, 230mm, 1/2.75inch, Periscope Telephoto, PDAF, OIS (JN5) |
| カメラ4 (0.6x) | 50MP f/2.0, 14mm, 120˚, 1/1.95inch , PDAF (LYT-600) |
| インカメラ | 50MP f/2.4, 21mm, 1/2.75″, PDAF |
| リヤ撮影モード | 照片, 视频, 人像, 夜景, 全景, 慢动作, 长曝光, 多景录像, 延时摄影, 萌拍, XPAN, 哈苏超清, 水下相机, 大师, AI 证件照, 超级文本, 扫一扫, 专业视频, 哈苏增距 |
| フロント撮影モード | 照片, 视频, 人像, 哈苏超清, 夜景, 全景, 多景录像, 延时摄影, 萌拍, AI 证件照, 专业视频 |
通信とメディア
| SIM | Nano-SIM, Nano-SIM (通常) / Nano-SIM, Nano-SIM, eSIM (16GB+1TB衛星通信版) |
| 通信チップ | AI通信チップ R100B |
| 2G GSM | 850/900/1800MHz |
| 3G WCDMA | 1/2/4/5/6/8/19 |
| 4G LTE FDD | 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/25/26/28/66 |
| 4G LTE TDD | 34/38/39/40/41/42/43/48 |
| 5G NR | n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n18/n20/n25/n26/n28/n38/n40/n41/n48/n66/n77/n78/n79/n80/n81/n83/n84/n89 |
| WLAN | Wi-Fi 7 (802.11be), Wi-Fi 6(802.11ax), Wi-Fi 5(802.11ac), 802.11a/b/g/n, Wi-Fi Display, WLAN 网络分享, Wi-Fi 2.4GHz 2×2+Wi-Fi 5GHz 2×2 并发, Wi-Fi 5GHz 160MHz, 2×2 MIMO |
| オーディオコーデック | SBC, AAC, LDAC, aptX, aptX HD, aptX Adaptive, LHDC 5.0 |
| USBヘッドホン | USB-Type Cデジタルヘッドホン (Type-C アナログヘッドホンには非対応) |
| NFC | NFCカード13.56MHz, NFC-SIM (SIM1スロットのみ), HCE決済, eSE |
ディスプレイ
| ディスプレイタイプ | LTPO AMOLED |
| ディスプレイサイズ | 6.82inch |
| ディスプレイ解像度 | QHD+ 3168×1440 |
| ディスプレイ保護 | Gorilla Glass Victus 2 |
| 画面比率 | 94.6% |
| 輝度 | デフォルト800nit, 最大1800nit |
| 色域 | 全モード 100% DCI-P3 |
| カラー | 10bit |
| ピクセル密度 | 510 PPI |
| タッチスキャンレート | デフォルト120Hz, 最大300Hz |
| リフレッシュレート | 1-120Hz可変, 一部最大144Hz |
筐体とサイズとセンサー
| サイズ | 163.16x79.67x9.10mm (大地苔原), 163.16x79.67x8.65mm (极地冰川, 绒砂峡谷) |
| 重量 | 236g (大地苔原), 235g (极地冰川, 绒砂峡谷) |
| 防水・防塵 | IP66/IP68/IP69 |
| 生体認証 | 画面内指紋認証, 超音波指紋認証, 顔認証 |
| センサー | 近接, 環境光, 色温度, 電子コンパス, 加速度, ジャイロ, 画面内超音波指紋センサー, ホールセンサー (磁気式アクセサリ用), 圧力, レーザーオートフォーカス, 分光, 赤外線リモコン |
| 衛星測位 | 北斗(B1I+B1C+B2a)、GPS(L1+L5)、GLONASS(G1)、Galileo(E1+E5a)、QZSS(L1+L5), A-GNSS補助測位、Wi-Fi測位、セルラーネットワーク測位 |
バッテリー
| バッテリー容量 | 7050mAh/26.23Wh(典型値), 6890mAh/25.64Wh(定格値) |
| 急速充電 | 100W SuperVOOC, 100W UFCS, 80W SuperVOOC, 50W SuperVOOC, 33W SuperVOOC, 44W UFCS, 18W PD, 18W QC, 55W PPS |
| ワイヤレス充電 | 最大50W |
ビデオ
リヤカメラ
| 8k 基本 | 30fps |
| 4k 基本 | 120fps, 60fps, 30fps |
| 1080p 基本 | 120fps, 60fps, 30fps |
| 720p基本 | 30fps |
| 4k 手ブレ補正 | 60fps, 30fps |
| 1080p 手ブレ補正 | 60fps, 30fps |
| 4k スロー | 120fps |
| 1080p スロー | 240fps, 120fps |
| 720p スロー | 480fps, 240fps |
| 4k タイムラプス | 30fps |
| 1080p タイムラプス | 30fps |
| 4k ドルビービジョン | 120fps, 60fps, 30fps |
| 1080p ドルビービジョン | 120fps, 60fps, 30fps |
- プロ仕様の動画撮影に対応
- マルチシーン動画撮影に対応
- HDR動画撮影に対応
- 動画ズーム撮影に対応:最大10倍の光学ズーム、最大30倍のデジタルズームに対応
フロントカメラ
| 4k 基本 | 60fps, 30fps |
| 1080p 基本 | 60fps, 30fps |
| 720p 基本 | 30fps |
| 4k 手ブレ補正 | 30fps |
| 1080p 手ブレ補正 | 30fps |
| 4k タイムラプス | 30fps |
| 1080p タイムラプス | 30fps |
- マルチシーン動画撮影に対応
- HDR動画撮影に対応
- 動画ズーム撮影に対応
- プロ仕様の動画撮影に対応
スペックについて簡単にまとめると……
- カメラばかりが目立つがそれ以外もまさに超級
- ほとんど触れられないインカメラも50MPのAFつき
- 超高性能なプロセッサによってとんでもない機能をパワーでねじ伏せる方式
- 超音波式オンスクリーン指紋認証センサー!
- ありとあらゆる全部入り
- 7050mAh(定格6890mAh)という巨大バッテリーを積んでいながらサイズと重量はフラッグシップとして普通
- ディスプレイもタッチスキャンレート300Hz、100% DCI-P3とまさに映画制作に使えるモニター
- そしてやはりカメラが狂気のバケモノ
開封して眺める
購入したのは1TB+16GB(+衛星通信)モデル。 衛星通信つきモデルのみeSIMに対応しており、計3回線載せることが可能っぽいが、特にその予定はない。 金額は計27万円程度だ。スマートフォンとしては割と馬鹿げた値段だが、iPhoneもこれくらいするものもあるらしい。
箱がでかい。そしてやたら重い。 ただ中身は結構普通。
充電器は100WのSUPERVOOC。これはX6 Pro世代のものと同じやつ。
なかなか美しいフォルムをしているけれど、普通といえば普通。 ただ、オレンジの挿し色がいままでと違う特別感を出している。
色は极地冰川(Polar Gracier)を選択。 どうもかなりの不人気色のようだけど、グローバル版は大地苔原と绒砂峡谷ということなので、日本版も同じラインナップだろうと踏んだ。 色は绒砂峡谷が好みだけど、どうやら人気色のようで、哈苏大师套装が大地苔原のみにも関わらず一番よく見るのは绒砂峡谷だ。
Findシリーズは今までボリュームが左側面にあるデザインだったが、ファンクションボタンが2つ増えたことで右に集約された。 右側のオレンジのボタンはカメラ起動用。左側のボタンはAI機能呼び出し用だがカスタマイズ可能。 といっても、左側のボタンのカスタマイズ余地は結構低いので、AI機能使わない人には邪魔になりやすい。「何もしない」に設定することは可能。
名称は「クイックボタン」。 iPhoneにあるやつとほとんど同じもの。
カメラ起動中に押すとシャッターとして機能する。 また、なぞることでズームコントロールもできる。 操作性はそんなに良くなくて、ダブルクリックでのカメラ起動とシャッターは便利だけど、それ以外の操作にはちょっと使わないかなという感じ。 ただし、設定で「軽く押してフォーカスをロック」を有効にすると、ファンショットではできないAF/AEロック操作が可能になる。
すごく気になっていた、「极地冰川に波紋柄があるか」だが、ある。 ただ、「写真に写りにくい」とかいうレベルではなく、実物でも特定の角度でだけよく見たら感じられるというもの。 写真では、元写真を1倍にしてよーく見れば分かるのだけど、まぁリサイズしてAVIFに圧縮しているので無理だろう。
Find X6 Proと比べてそんなにすごく重くなったわけではないが、重量感は結構ある。特に画面を下にした状態から持ち上げるときに感じる。
付属のケースは見た目はそんなによくないけれど、質はだいぶ高くなった。 X2 Proのときはとりあえず覆うだけのもので実用的ではなかったし、X6 Proのときは実用することはできるようになったものの相当チープだった。 それと比べると、「市販の安いケース」くらいにはなった。 ちなみに、OPPOはX9 Ultra向けの公式アクセサリーとしてアミラドのケースを出しているが、そちらはかなり高価。
アクセサリ
ケース類
Find X6 Proでの経験をもとにケースは多めに確保しておいた。
ケースで見るとわかりやすいが、X6 Proと比べ幅は少し増加、高さは少し減少している。 厚みも少し増加。
ちなみに、X8 Ultraのケースと比べるとサイズはほぼ同じだ。
基本的には「家で普段つけておく用」「外で幅広く使う用」「クルマでの外出時に使う用」に分かれると思う。なので全部で5つあるけど、ベンチ入りになるのが2つ出るかもしれない。 通常の外出時のメインは明らかにNILLKINのものになるので、室内用を赤の2つ、クルマ用を黒とライラックのやつで競う形。
NILLKINのこれは値段的にも結構高い。 その分圧倒的にしっかりしている。ちゃんとMagSafeと両立させているのもいい。
厚みがあるので放熱性は厳しそう。 カメラを完全にカバーしてしまうのは、取り扱いは圧倒的に楽になるが、撮影時に開けるのを忘れがち。
唯一、クイックボタンを覆う構造をしている。押す操作は問題ないが、スライドさせる動作はかなりやりづらくなる。
シープスキンのものは商品画像だと非常に薄いかのようだが、実際はむしろ厚め。 ケースは全体的にかなり硬質で、背面は厚みもある。カメラ側の厚みは不明。スクリーン側は1mmの高さがある。 内側はディンプル加工されている。 シンプルな剛性あるケースという感じ。PC+TPU製。
カメラを完全に覆う開閉可能なフラップがついているタイプ。 全体的にはペラペラ。角はバンパー構造になっている。通気性があるみたいな書き方をしているけれど、特にそういう効果はなさそうで、しかもPUレザーが貼ってあるので放熱性はかなり低いと思われる。 MagSafeの配置は困難。リングだけなら取り付け可能。 カメラを覆っておけるのは普段遣いには結構メリットかも。
フラップのおかげでカメラの心配がなく扱いやすいので、家での普段遣いによさそう。
Find X6 Proで使ってきたものに似た、背面が半透明のPC素材になっているもの。 MagSafeリングは埋め込まれてはいるものの、ケースの内側にむき出しでついている。 スクリーン側、カメラ側ともに1.0mm厚の高さがあり、カメラはさらに0.5mm高いリングに囲まれている。TPU素材部分はやわらかく、クッション性がありそう。角はエアバッグ構造になっている。
カラーラインナップの多いシリコン製。折り込んである部分はかなり硬い。 MagSafeリングはケースの外側についていて、スタンドにもなるタイプ。回転も可能。
MagSafeリングは外側についているのだが、内張りがある。放熱性はかなり低そうだ。 カメラ側は1.0mm厚、スクリーン側は1.3mm厚の高さがある。
グリップ (PopSockets)
私はグリップにPopSocketsを使用している。 将来的にも使い続けるかはちょっと怪しい。 というのも、PS・ONEが取り扱っているものは変わらない値段をしているのだけど、本家のほうはものすごく値上がりしていて、初代MagSafeグリップは4000円くらいだったのだけど、2代目MagSafeグリップは4500円で登場、現在は7400円になっている。
通常モデルはPS・ONE扱いが1250円、本家は3200円する。
ベースがあるならPS・ONEで買えばいいじゃん、と思うかもしれないけれど、PS・ONEのやつは印刷品質が低くて、すぐ褪せたり剥げたりするのだ……
以前はまともな価格で出てたのに…… というのは、PopSockets Japanが撤退してしまったことと関連しているようだ。
まぁとにかく、PopSocketsはやたら高くなったし、カスタマイズ性は下がった。 将来的に使い続けるかどうかはともかく、乗り換える選択肢を含めて考えてもMagSafeにしておけば取り扱いやすい。 一応、私が持っている初代MagSafeグリップはMagSafeの下のところにもくっつく方式で、Find X9 Ultraのケースだとこのサイズのベースをとりつけるとはみ出してしまうので、国内在庫として出回っているラウンド型グリップを調達した。 これでFind X9 UltraでもMagSafeリングさえあれば今の手持ちのトップが使える。
そして、印刷品質への不安を確認する意味でも、PS・ONEオリジナルのPopSockets風グリップであるp-grip G MagSafeも1個注文しておいた。
PopSocketsは第二世代モデルはPopTopという名前でトップ部分が交換できるようになっている。MagSafeベースがめちゃくちゃ高くても許されている要素のひとつ。 旧モデルはベースもカスタマイズ可能だったが、現行モデルはベースは色の選択しかできない。
PopSocketsのMagSafeモデルはMagSafe側のつくりがかなり雑で、旧モデルはほとんど使っていないのにボロボロだ。新モデルも特に改善された感じはしない。
p-gripはPopSocketsと比べてトップが大きいのでカスタムグリップの絵が映える。 表面はテカテカしていて、保護層がある感じだ。PS・ONEで一番の難点である「すぐ剥げる」はある程度緩和されていそう。 ただ絵にはつぶつぶ感があるので、線数は少なそう。また、保護層の下にゴミが入っていて、印刷品質は微妙だ。
PopSocketsは単純な蛇腹なのに対し、p-gripは上と下が畳まれ、下が上の中に収まる形。ふにふにしていて心地よい。PopSocketsは狭いのであまりしっかり指が入らないが、p-gripは私でもしっかりホールドできる。 最後に畳むときはかなり強く押す必要がある。
MagSafe面もきれいなので、印刷クオリティを除けばPopSocketsよりも良いと思う。
で、それを踏まえてケースはMagSafeリングを持っているものを中心に。持っていないものについてはリングを貼り付ける運用。 なお、MagSafeリングは地味に高くて、Amazon.co.jpだとUgreenのものが2枚入りで1259円。 なのでこちらもAliExpressで購入して安く上げた。
ただ、TELESIN製品などいくつかのアイテムに同梱されていた上に、そもそもケースに貼る必要はない揃え方にしてしまったため、結果的には不要だった。
とはいえ、スマートフォン以外も「MagSafe化」の余地があるので無駄にはならない。
ちなみに、付属しているものは「切り落とした薄い鉄に保護シールを貼ってあるだけ(青いのがそう)」というものが多い。購入したのも塗装はされているけれど似たような感じだった。 ファンショット付属のものだけ厚みがあって角が落とされ、粉体塗装されている。
MagSafeのアームも調達したんだけど、これは撮影が大変なので商品写真で。
しかしPopSocketsなのだけれど、MagSafeだとスタンドとしてはFind X9 Ultraは支えることは不可能で、グリップとしても高さが指がちゃんと入らない程度(女性なら入るかも?)なので引っ張る方向に力がかかり、これにより引き剥がされてしまって落下しそうになることが多発した。 これはPopSocketsのMagSafeのマグネットが貧弱なのもある。
実際使ってて感じるのが、PopSocketsはもう時代遅れかもしれないということ。 そもそもPopSocketsはスマートフォンが4~5インチ、110~140gくらいの時期に張り付けて使うことを想定して誕生したものだ。 これをそのままMagSafeベースに取り付ける方式にしていることにも無理があると思うし、そもそもPopSocketsの設計自体が現代の重いスマートフォンを想定しないままになっているという問題もある。
PopSocketsは製品の改善よりも大きなIPとのコラボにご執心。 ディズニー代を全ユーザーに負担させるような値段設定は機能的なアイテムとして使いたいユーザーにとっては納得のいかないものかもしれない。
Find X9 Ultraと組み合わせた上で、PopSocketsはもう厳しいということを強く感じた。
スクリーン保護ガラス
スクリーン保護ガラス。
ここはかなり重要なポイント。 Find X2 ProはGorilla Glass 6を採用していた。 対してFind X6 ProはGorilla Glass Victim 2を採用している。
この差により、Find X6 Proは猛烈に画面が傷つきやすく、欠けやすい。 どうやら割れにくくするために傷つくことは許容する、という方向らしい。
だが、それは当然ながらとても困る。 そこで画面保護が必要になるのだが、Find X6 Proは強いカーブを描くエッジディスプレイが採用されていた。 エッジディスプレイの端末で保護ガラス使ったことがある人は分かると思うが、使っていると浮いてくる上に圧がかかって割れるので使い物にならない。 なので、エッジディスプレイに対する最適解はハイドロゲルフィルムになるのだが…… その結果は既に述べた通りだ。
Find X9 UltraはFind X6 Pro同様、Gorilla Glass Victim 2を採用している。 それじゃあ同じ欠点を抱えているのでは……と思うかもしれないが、Find X8 Ultraからフラットディスプレイになったというのが決定的に違う。 つまり、スクリーン保護ガラスを採用できるようになった。
国内販売されることのメリットは、国内ブランドのスクリーン保護ガラスが手に入るようになることかもしれない。 R2 Compactのときの経験から言えば国内ブランドのガラスが高品質とは限らないのだけど。
「早期に出ていた、安物の(本体より確実に先に届くであろう)ガラス」「本体と同タイミングぐらいで届きそうなタイミングで出た、もうちょっといいガラス」「さらにもう少し後に出た、NILLIN製のガラス」の3段階で購入。 ここはちょっと無駄な出費をしたかもしれない。
撮影アクセサリ
そして、最も目玉となるアクセサリがこちらだ。
私は哈苏大师套装がカメラグリップとして機能し、これが写真を撮るために外出するモチベーションになるという話をした。 哈苏大师套装の入手は困難だったわけだが、私は見つけてしまったのだ。そういうグリップがあることを。
TELESINはカメラアクセサリを販売しているメーカーで、本製品はMagSafeで接続するグリップと、Bluetooth接続のシャッターボタンが一体になっている。 シャッターボタン部分は取り外すことができ、リモートシャッターとしても使える。
ズーム操作やフォーカス操作にも物理ボタンが割り当てられることになるため、撮影体験がかなり向上しそうだ。 哈苏大师套装のケースはUSB接続であるようなので、プロフェッショナルなレスポンスに応えるという意味でさすがに哈苏大师套装のケースには敵わないだろうが、私の用途だと哈苏大师套装がいらなくなる可能性すらある。
半押しでフォーカスではあるが、カメラのように半押しのままでフォーカスを維持する、みたいなことはできなかった。
さらにTELESINには別のアクセサリとして、MagSafeでくっつけるフォトライトもある。 フォトライトとして使えるだけでなく、鏡がついていてそれ単体でお化粧用に使えたり、スタンドとして機能したりとなかなか多機能。
ファンショットマグネティックグリップがMagSafeで接続するのだけど、グリップにもMagSafeのアクセサリが接続できるようになっていて、このフォトライトがファンショットの拡張アイテムになる。
こちらは動作にスマートフォンを必要としないので、MagSafeリングを設置すればリングライトとして使えるという取り回しの良さが魅力。
ただ実際に試したところ、Find X9 Ultraを支えることは不可能だった。
このほかにもサイズがいい加減厳しいので、スマートフォンポーチを新調したりした。
全体の印象
音がすごいよくなった。 割とすぐ気づく部分で、かなりしっかり低音が鳴る。 そして、X6 ProではYouTubeなど音が小さめのソースでは物足りなかった最大音量も大幅に改善された。 普通に鳴らすと爆音すぎて使いどころがないのだが、YouTubeは本当に最大音量にしても聞こえない動画や配信が多かったから……2
指紋認証は異次元に改善された。 Findシリーズのオンスクリーンの指紋認証は精度が割と微妙でストレスのたまる部分だった。これが、「指を置けばその瞬間に百発百中」になったので、精度という概念そのものが消し飛んだ。 ただし、翌日には指紋など残りもしないレベルで指ががっさがさになってしまい、さすがにその状態では認識精度はかなり下がった。ちなみに、X2やX6は指紋を認識すること自体を拒否してきた。
また、精度が微妙な指紋認証の代わりに主力となっていた顔認証だが、こちらも精度が大幅アップ、反応も非常によくなった。
ユーザー分けとは別のレイヤーでアプリや設定を独立させることができる「システムクローン」が追加された。 このシステムクローンはColorOS 16の機能で、Find X6 Proでもアプデすると追加される。
また、アプリのプロファイルを使いわけるのに役立つ「アプリクローン」は、各アプリ5つまで(本体含め6つまで)作れるようになった。こちらはFind X6 ProのColorOS 16にはない機能。 これでブラウザ使い分けのために色んなブラウザをインストールする必要は相当減った。カスタムアプリアイコンのサポートが待たれる。
YouTubeは他に類を見ないほど最悪のアプリケーションで、高性能なコンピュータをもってしても非常に大きなラグは避けられない。 Firefoxを用いて実際にやってみたところ、おおよそ非常にスムーズに動作する。PC版サイト表示であってもだ。この体験は、ディスプレイサイズが異なるため負荷も違うが、Zen3よりも上、Zen5並と言っていいだろう。 ただし、スクロール中にタップ判定が発生することはある。
DMMブックスはネットワークとアニメーションが時間を費やすため性能が影響する要素は少なそうに思えるが、実際に試してみるとページ送りが明らかにスムーズだ。 ちなみにDMMブックス、信じられないほどバッテリーを消費するので、恐らくかなり重いアプリである。
Find X6 Proと比べるとかなり明確に速い。 というか、Find X6 Proはバッテリーマイレージのため、もしくは発熱抑制のために相当性能を抑え込んでいる印象で、Antutuベンチマークのスコアほど速い印象を受けない端末だ。 Find X9 Ultraにそういう癖があるのかは不明だけれど、そういう印象を与えないくらいには速い。
充電中はかなり熱くなる。 仕様が同じFind X6 Proよりもだ。 充電時はできればケースは外したほうがいいかもしれない。
ウェブブラウザはFind X6 ProではOPPOの機能から呼ばれる場合常に「浏览器」が呼ばれていたが、デフォルトブラウザを起動するようになった。 特にQRコード読込み時に恩恵が大きい。QRコードリーダーはデフォルト無効で、カメラの設定から「写真→テキストとQRコードのスキャン→QRコードのスキャン」で設定可能。
USBからアナログオーディオを出さなくなったことについては、個人的には折りよく……というか、そもそもそれを予期してちょうど準備したところであったことからあまり気にならなかった。 TANCHJIM Space Pro AT, TANCHJIM Luna AT, iBasso Macaronという3つのDACを用意しており、さらに手元で最高のイヤフォンであるTANCHJIM FOLAはイヤフォン自体がUSB接続を持っている。 これらは家の中で使うためのものであり、外出時に使うにはいささか邪魔ではあるものの、外出時は基本的にAnker SoundLiberty4やTANCHJIM Mino AT, TRUEFREE O1といったBluetoothイヤフォンを使うことがもとから多いため、気になる場面がそもそも少ない状態になっていた。
アナログオーディオの切り捨て自体はスマートフォンとしては非常に合理的な判断ではある。個人的な感傷や不満を除けば納得すべきものではあるだろうと思う。 私は「すぐなくすし、一個を探すのが面倒」という理由でアナログアダプタを10個くらい持っており、同様の運用をデジタルアダプタでやるのは現実的ではないといったことはあったりするが、ある程度のサイズがあるMacaronを持っていることでそこも解消できている。もちろん音質面の問題もだ。
唯一表面化する問題はドラム演奏をするときだ。 ドラム演奏するときはインイヤーモニターを持っていくわけだが、インイヤーモニターに加え各種ケーブル類を持って出るわけで、それとは別にBluetoothイヤフォンを持って出る気にならないというのがあったりする。 が、これに関しても私は現状は外で音楽聴くのは別端末(Xperia 10 II)に分けている上に、CX31993あたりを搭載したアダプタを買えばいいだけの話だ。 ここまで進化した端末を持つのであれば、アクセサリの更新もある程度は必要だろう。
通知は案の定、非常に厳しい。 自動起動オン、関連起動オン、バックグラウンド動作オンにしていてもTelegramの通知が普通にこない…… どころか、アプリが完全に死んでいて、開いてからちょっと待たないと更新が降ってこないなんてことが普通にある。 スマホで通知を受け取るようにするのは諦めたほうがいいかもしれない。
基本的な性能
Antutuのスコアはもう色んな人がやっているから計測しない。あんまり参考にならない感じだし。 V11で400万を越える程度らしい。
それよりは、ということでChromiteでAntutu HTML5ベンチマークを回してみる。 ケースはつけずに行った。また、100%まで充電し、ケーブルを外して少し待ってから実施している。
| 機種 | SoC | スコア |
|---|---|---|
| Find X9 Ultra | SD 8 Gen5 Elite | 44377 |
| Find X6 Pro | SD 8 Gen2 | 20679 |
| Find X2 Pro | SD 865 | 16945 |
体感的に「A10-7870Kよりも遅い」のはありえないのはわかるので、PCとスマートフォンでの比較はできないようだ。
Speedometer3.1。
| 機種 | スコア |
|---|---|
| Find X9 Ultra | 21.9 |
| Find X6 Pro | 7.38 |
| Find X2 Pro | 8.04 |
X6 Proの「本気を出していない感じ」が可視化されてしまった。 実際にベンチマークを回していると、X6 Proは最初は速いけれどすぐにガクッと速度が低下する。
ゲーム
KALPA
KALPAは最近の更新で打鍵音がまったく同期しなくなった。 これはソフトウェア側の問題でどうすることもできないため、打鍵音はOFFにしてプレイする。
X6 Proよりも圧倒的に安定しているが、打鍵音がないことでそもそも判定ズレが発生していても気づきづらいという問題がある。動画で撮ってコマ送りすれば判定ズレしたのかどうか分かるのだが。
全体的にスムーズで、プレイフィールは非常によかった。 だがある程度プレイしていると「ほんまか?」と思うようなGoodが出ることがある。 X6 Proより良いのは間違いないが、完璧ではないようだ。KALPAが悪いのだと思われるが、熱によって処理しきれなくなっている面もあるのかもしれない。 発熱はそれほど感じないが。
VOEZ
タイミング調整は+110と大きい。
だいぶ不安定になってしまっているゲームだが、判定の感覚としてはX6 Proと同程度だろうか。 若干のプレイしづらさを感じるが、プレイ自体は問題なく可能。
また、エッジディスプレイでなくなったことで、一時停止の暴発がなくなり、まともにプレイできるようになった。
Muse Dash
無理。
このゲームは手持ちプレイは極めて困難なゲームなので置きプレイすることになるのだけど、置くにはカメラが邪魔すぎる。
ときめきアイドル
更新終了して久しい元ソシャゲな音ゲー。 こちらは動作に問題があった。
Find X6 Proだと、通常画面では30fps、楽曲プレイ時はMVモードを含めて60fpsで固定される。 ところが、Find X9 Ultraでは常に50fps前後をふらふらし、ノーツが降ってくるとさらに劇的にfpsが低下する。(2Dモードでも。)
判定タイミングがブレたりはしないのでプレイは可能だが、かなりプレイしづらい。
リフレッシュレートを標準(〜60Hz)にするとfps低下は軽減されるものの、今度は楽曲再生速度が一定でなくなってしまい、まともにプレイできない。
カメラの仕様
カメラは非常に多彩なモードを備えているが、従来の「Pro」を名乗るカメラモードと比べると随分とpracticalな仕様になっている。
通常の写真モードは標準と高解像度の2種類があり、標準は12MP(4080x3064px)、高解像度は28MP(6120x4596px)となっている。 高解像度のほうが標準。1枚10MB程度で、良いバランスだ。従来、50MPか12.5MPかという仕様だったのと比べると「ちょうどいい」が狙いやすくなっている。 設定からフォーマットを選ばないといけないので、切り替えはしづらい。
なお、「12MPより28MPのほうが良い」ではないということに注意してほしい。ピクセルビニングにより光学的な利点が変わるからだ。 12MPは200MPの16in1ピクセルビニングであり、光学的な強い利点を持っている。 一方、28MPは50MPの3/4であり、4in1ピクセルビニングのリサイズだ。 光学的には12MPのほうを推したいところではあるが、28MPの取り回しの利点が本当に大きいので、どちらを使うか非常に悩ましいところだ。
マスターモードはJPG, JPGmax, RAW, RAWmaxの4種類のフォーマットが選べる。 JPGとRAWは12MP(4080x3064px)、JPGmax, RAWmaxは49MP(8160x6120px)になる。 こちらは撮影画面から2タップで切り替えやすい。 12MPは16in1で、49MPは4in1から8pxを切り捨てての4:3。
Hasselbrad高解像モードは、50MP(8160x6128px)と200MP(16320x12256px)のJPEGでの撮影が可能。49MPと50MPはほんのわずかにサイズが違う。
センサー切り替わりの倍率は3.0。 X6 Proと違いぴったりで切り替わるので簡単な上に、ダイヤルを回しているとそこで止まる。そして、X6 Proは切り替わると切り替わったことをはっきりと感じるが、X9 Ultraでは注意深く見ないと気づかない。
AF/AEロック機能が可能。これはX6 Proにもある機能。 また、ProモードではAFとAEのスポットを引き離すことができる。
カメラ性能
Find X6 Proのときはメインカメラのみでの比較だった(というか、カメラが1つしかないXperia XZ3を含んでいた)けれど、今回はFind X6 ProとFind X9 Ultraの3倍ズームも比較していく。
本当は前回同様「色の違い」を焦点にしたかったのだけど、撮影条件的に有効な比較にならなかった。
比較対象機種はFind X2 Pro, Find X6 Pro, Find X9 Ultraの3台。
- 標準モードの12MP (Find X2 Pro 写真モード 高解像度オフ, Find X6 Pro 写真モード 50MPオフ, Find X9 Ultra 写真モード フォーマット標準)
- 50MP (Find X2 Pro 写真モード 高解像度オン, Find X6 Pro 写真モード 50MPオン, Find X9 Ultra Hasselblad高解像度 200MPオフ)
- 最高解像度 (Find X2 Pro 写真モード 高解像度オン, Find X6 Pro 写真モード 50MPオン, Find X9 Ultra Hasselblad高解像度 200MPオン)
の3パターンを用いる。
鮮やかな花
Find X2 Proは不自然に鮮やかな画作りで、そこからFind X8 Ultraまで少しずつナチュラルな色になっていった。果たしてFind X9 Ultraはどうか。
ここで残念なお知らせ。 撮影できたのがもう日が暮れそうなタイミングで、しかも直前までかなり雨が降っていた状態なので、光が安定せず、X9→X6→X2の順で撮影したが、どんどん光が弱くなっていっている。このため、色の比較をやるが、あまり参考になるデータではない。
光の加減があまりにも支配的な写真になってしまったが、まず非常に目立つのはX6のピントのシビアさ。 かなりボケ味の強い写真になっていて、これが良いというケースもあるのだろうけれど、スマートフォンのカメラとしては常用はなかなか厳しい感じが出ている。
一方で、X6は際立ってコントラストが深い。ボケ味の強い写真であることも相まって、1倍で撮った場合X6は結構アートな感じに仕上がる。
X2は鮮やかというより淡い色合いになっているが、深みがないという特徴は相変わらず。 撮影難易度が低いというメリットはあるのだが、被写体が持っている特徴を打ち消してしまう感じでもある。
X9は最も夕陽が照らしているときに撮ったのでかなり鮮やかだが、カラーコントラストが非常に綺麗に出ているのが分かる。 また、X6のようにピントがシビアではなく、結構広い範囲で鮮明だ。
「ボケ味の調整」はスマートフォンには難しい部分だなと思うけれど、基本的に私は弱めのほうが扱いやすいと感じる。特に広角は。
X6は3倍にIMX890を、X9は3倍にOV52Aを搭載している。 当時フラッグシップ機の採用例の多かった名機と、2億画素の特注品。どちらもメインカメラに負けない素晴らしいセンサーだ。
難点の多いIMX989と違い、IMX890は非常に扱いやすく、落ち着いた綺麗な写真だ。 焦点が広く合っているので、記録的な写真に対する圧倒的な適性を感じる。 逆にOV52Aはピントが狭くボケ味が強い。実はOV52A、「ボケる」という特徴を持っており、X6とは逆にX9はボカシたいときは3倍だ。
アンカーの質感もX6のほうが表現できているように見える。 綺麗、記録的という意味ではX6に軍配を上げたいところなのだけど、X9はなんだか柔らかくてやたら雰囲気がある。 色々撮ってみて分かったのは、OV52A、そういうセンサーだ。本当にポートレート特化。被写体を雰囲気ある感じで撮り、いい感じのボケ味を出してくる。
それにしても改めてIMX890はいいセンサーだと思う。 2.7倍のめんどくささからあまり使ってこなかったけど、もっと活用すればよかったかもしれない。 この写真に関して言えば、個人的にはX6 (IMX890)のほうが好みだ。
ネオンと夜景
ネオンの夜景は美しく撮れるようにしてあるものだが、「ネオンと夜景」になると難しい。 今回は暗い手前の木にフォーカスし、光が白飛びしたりしないかを確かめた。 こちらは1倍、50MPでのテスト。
で、この比較も実は割と微妙だった。 というのも、私としては真っ暗ではないながら結構暗いところから撮ったつもりだったのだが、全然足りなかった。そして、スマートフォンのカメラの強力なHDR合成により、普通に暗い部分も明るく撮れてしまうのだ。
しかし別の意味でこれはなかなか重要な情報が得られた。
X2は全体的にはしゃっきりしているのだが、部分的にディティールが甘く、強い光は潰れてしまっている。
X6は非常に鮮明で、色も深みがある。 IMX989は非常にピントがシビアなのだが、このケースでは全体的にシャープで雲のディティールもよく出ている。
X9はHasselblad高解像度の50MPで撮影したが、全体的に非常に明るい。 ボケ味が強く、木に強くフォーカスが当たっている……かのように見えるが、実は違う。 木も拡大するとディティールが溶けていておかしい。そしてほかものっぺりしている。
撮影ミスも疑ったが、200MPで撮影したものも含めてX9の写真は全体的にこの傾向であった。
実はこの問題、写真モードだと発生していない。 また、日中に花をHasselblad高解像度で撮影したものに関しては、なんとなく全体がボケているような不鮮明さはあるものの「溶けている」という様子は見えない。
Hasselblad高解像度モードは選択時に「静止肖像写真、風景、明るい環境でのオブジェクトの撮影に適しています」と表示される。 恐らくだが、Hasselblad高解像度は通常より強いAI処理が加えられていて、それが噛み合っていないのではないか。
現状、Hasselblad高解像度は使いどころがかなり限られるように感じているが、これはアップデートで改善しうる問題なので、今後に期待したい。
壁紙
非常にシンプルに部屋の壁紙。画角の調整はせずに位置固定で撮影するため、画角によって若干の有利不利が出る。
倍率1倍、端末が持っている最高解像度で撮影し、各辺1/10で切り抜く。 このため、画像サイズはそれぞれ異なる。
X2はかなりモアレが目立ち、格子模様なのはわかるが、だいぶ溶けている。
X6はそれと比べかなり細かい模様であるように見える。 これは倍率の問題ではなく、X2は溶けた結果大きな模様に変換されてしまっているだけだ。 しかしX6はディティールは死んでいて、過度に複雑な格子柄であるかのように見える。 また、ここは比較的模様のわかるところを選んで切り抜いており、ちょっとでも外れると完全に溶けて模様があることすら分からなくなる。ピントのシビアさが出た形だ。 また分かりづらいが、全体にV字のモアレがあり、なんとなく黄色っぽくなっている。
X9は圧倒的だ。 溶けている感じはほとんどなく、鮮明ではないながらもちゃんと正しい模様が表現されている。鮮明なところと不鮮明なところが入り乱れている感じではあるが、X2, X6と違い「ちゃんと撮影できている」のが分かる。 難点の見えたHasselblad高解像度モードだが、このようにちゃんと強みが出るケースもある。
参考までに古いデジタル一眼レフカメラであるNikon D3200で撮影したものも出してみる。
26mmで撮影。ぱっきりしていて紛れがない。 こうしてみると、やはりX9でも微妙に嘘が紛れ込んでいるのが分かる。
Find X9 Ultra 作例
OV52Aは少し画素数が多いため、標準で4096x3072pxになる。 「雰囲気がある写真が撮れる」という3倍モードの特徴。
パノラマとはまた違う、横長写真の撮れるXPANモード。 ハッセルブラッドっぽさの演出ではあるけど、公式が「シネマティック」と言うように、なんとなく物語性を感じさせる写真が撮れることが多い。
XPANの白黒、「太字白黒」は多分Bold Monochromeとかなんだと思う。 こちらはさらに雰囲気がある写真が撮れる。
カメラ任せの写真モードは強力なHDRも相まってミスのない写真が簡単に撮れる。
ボケてないわけではないんだけど、あんまり気にならない程度。 毎日のごはんなど、記録的な写真にも全然使えると思う。 ただ、その用途では以前X2や、X6(IMX890)のほうが強力ではありそう。
X6にある、「1倍でさっと物撮りができない」という不満が解消される、という感じが大きい。 あと、この写真は映り込みを気にして1.5倍で撮っているからという面もある。
マクロはX6と比べて格段に扱いやすい。 1倍のマクロはLYT-600での撮影になる。
3倍以上のマクロはLYT-901での撮影。 ただ、3倍になるとマクロモードに非常に入りにくい。
0.6倍は被写界深度が浅いので、物撮りに適している。 近づいてもマクロにはならないので、光さえ確保できるのならかなり近づきやすい。
マスターモードのAuto/12MPで撮影。 シャッタースピードは1/50s、ISO 1000。
マスターモードになるとそもそもHDR合成をしなくなるようで、「全体的にとても明るく撮れる」という特性はなくなる。
解像度が足りていないレンガ部分の造形がちょっと怪しいので、AIの問題はないわけではないけれど、大幅に軽減されているのは間違いない。
所感
総合的には「あまりにも出来すぎている」だろうか。
まず、写真モードとマスターモードの落差がすごい。 写真モードはかなり明るく撮れる上にフォーカス合わせも簡単。 普通のスマートフォンのカメラの感覚で撮れるし、28MPはクロップにも結構耐えるから撮りたいものを逃さない。
一方、マスターモードはAutoの素撮りでは撮りたいものを表現してくれない。 Autoの場合、「どのような仕上がりを求めているか」をちゃんと設定する必要がある。 Proの場合は各カメラパラメータを設定することになるが、Autoで必須になっている撮ろうとしている写真の設定がオプショナルになる面があり、必ずしもProのほうが難しいというわけではない。
RAWのほうが本格的、と思うかもしれないが、RAWのほうがパラメータ調整の怠惰をいくらかカバーできるので、こっちのほうがまだ手軽かもしれない。 いずれにせよ、マスターモードはその名の通りの「追い込んでナンボ」なモードになっている。
「Hasselblad高解像度」は大きな問題点が見つかってしまったが、方向性としてはお手軽撮影で高解像度、かつアート志向な写真が撮れるモードだと思う。 従来の高解像度ボタンにもうひと味加わっている感じ。今回の撮影ではそのひと味が悪い方向に働いてしまったが、今後のアプデに期待したい。
X-PANも単なるクロップではない、非常に雰囲気のある写真が撮れる。
その上で1倍と3倍がある。 1倍は驚くほど明るく、綺麗に撮れる。 3倍は雰囲気があり、ほどよいボケ味を得やすい。
そしてさらに、4つのカラーモード(ノーマル, ステージ, シルエット, 打ち上げ花火)とフィルター、細かく調整可能なビューティーモードがある。
このため撮影可能な写真の幅があまりにも広く、「Find X9 Ultraらしい写真」を定義するのがとても難しい。
その中でキャラクターとして感じたのは、Find X9 Ultra任せに写真を撮るとかなり明るい写真になるということ。 Find X6 Proほどコントラストの強い写真にはならず、どちらかというとFind X2 Proに近い。ただ、Find X2 Proと比べれば嘘っぽさが少なく、自然な写真に見える。
また、1倍が明るくて扱いやすく、3倍がボケ味が強く雰囲気が出る、というのも基本的なキャラクターだと考えて良い。 これはFind X6 Proとは逆の設定であり、Find X8 Ultraと比べても逆だ。 どちらが良いかは一概には言えないが、ポートレートカメラが雰囲気のあるアートな写真が撮れるというのは正しいと思うし、1倍が扱いやすいのは日常的には取り扱いやすいものになると私は考える。
特定の被写体(小動物等)を記録したいときは3倍を使う、という面もあるが、そういうシャッターチャンスの厳しい被写体を3倍で追うのは私には無理。技術がまるで足りない。 1倍で明るいというのは、シャッターチャンスを逃しにくいという意味で私には大きなメリットがある。28MPにしておけば、小さな被写体を慌てて撮ったときでもその姿を捉えやすいだろう。
Find X9 Ultraのカメラに不満を感じる部分は、意外にもというか案の定というか、AIだ。 「こちらの意図を汲み取った写真を撮ってくれる」という面では良いし、それは私の技術的な不足を補ってくれるので素晴らしいのだけど、ディティールが「それは嘘だろう」ということになりやすくなってしまった。 目立って感じるのはHasselblad高解像度モードだが、でかいモニターで1倍にしてじーっとディティールを見ていくと写真モードの12MPでも感じることがある。
AF性能に関しては、少なくともFind X2 Pro並。環境によっては明らかに速いと感じられる。 つまりは、私の手持ちの中では最速。 暗い環境でのオートフォーカス性能はだいぶ異次元。
「スマートフォンのカメラ」という概念を考える
なぜこんなにもスマートフォンのカメラが強化されてきたのか。 それは強力なカメラを搭載するプラットフォームとしてのスマートフォンに、明確な長所と短所があることを背景にしている。
もちろん、スマートフォンはもともとカメラを搭載してきた。 写メール以来3携帯電話にはカメラがついているものになった。 通信機にカメラがあることのメリットは、万人に広く知られたところではある。
しかし初期のスマートフォンのカメラは、当時のコンパクトデジタルカメラと比べて明確に貧弱であった。 例えばW-Zero3のカメラは1.33Mpxの1/3サイズのセンサーで、「撮れる」以上のものを求めるのは難しかった。 iPhone4のカメラは5Mpxで、W-Zero3と比べると5年間の進化もあるが、もうちょっと撮れる。だがそれでもコンパクトデジタルカメラとの差は大きい。
iPhone4くらいの性能があると、記録的に撮るのにはあまり困らない。 が、作品的な意味でいうとそこそこ辛い。カメラ性能の向上はマーケティング上の十分なアピールポイントになる程度にユーザーニーズがあった。
振り返って、Find X9 Ultraは2つの200Mpxのセンサーを持ち、技術の粋などという言葉では足りないほどのカメラを備えている。 いまやすっかりスマートフォンに市場を奪われてしまったコンパクトデジタルカメラだが、コンパクトデジタルカメラならではの強みは依然として存在するとは言え、ある面ではコンパクトデジタルカメラが到底追いつけないような写真をスマートフォンが生み出せるようになってしまった。
そしてFind X9 Ultraのカメラは、もはやvsコンパクトデジタルカメラの世界ではなく、プロ仕様一眼カメラやシネマカメラと戦うものである。
もちろん、スマートフォンは小さく、非常に薄いものであり、携行性も重視される。 だから、巨大なセンサーを搭載したり、幅広い倍率をカバーする光学ズームを搭載したりすることにはある程度の制限がある。 放熱の問題もあるし、そもそも小さく薄い筐体はメカニクスの搭載という観点では非常に不利だ。
一方でスマートフォンは超高性能なプロセッサを搭載し、大きなディスプレイを持ち、さらに通信機能を持つものだ。 これらをカメラに搭載することは不可能ではないが、スマートフォンなら搭載するのは自然なことになる。 そして、こうしたハードウェアを備えていることを「下地として」強力なカメラを搭載しているのだ。
つまり、コンパクトで完結したシステムになるということを強みとしている。 かつてはそれは「手軽さ」という武器だったが、現代では「速さ」という武器になった。 クリエイティブのクオリティを高めながらのスピードアップは、競争の激しい中国では特に切望されている部分だ。 これが、スマートフォンのカメラを一眼カメラよりも、シネマカメラよりも強力な「武器」にしたいという要求となり、果てしない強化を続けてきた。
ではクリエイティブで換金しない人にとってのFind X9 Ultraのカメラは一体なんだろうか。
Find X9 Ultraは、カメラを除いても超強力なスマートフォンだ。 Ultraの名に相応しい。 手元にあるスマートフォンが超強力なカメラを持っていることは歓迎できるだろう。 普通に使うにはあまりにも過剰な性能ではあるが、それで困るということもあまりないだろう。
そしてもちろん、あまりにも強力なカメラであるからこそ、「カメラとして」このスマートフォンを持ち歩くという動機も十分に成立するだろう。 しかし、もはや一体何を撮ればいいのか……と困ってしまう面もある。 明確に何かを撮る動機があるならいいのだが、そうでないと「スマートフォンの付加価値としてのカメラ」扱いするにはあまりにも強大すぎるものに感じられてしまう。
これは、フルサイズの一眼レフを持ち歩いているときに似た感覚だ。 目的を持ってカメラを使う分にはいいのだが、「ぶらりと出歩いてなくとなくスナップ」みたいなことにはとても構えられないような気持ちになってしまう。 機能的にはFind X6 Proと比べて圧倒的に普段遣いしやすく、気軽に撮れるようになったにも関わらず、心理的には「構えるのに相応しい場」という秤に載せてしまう。
だが、フルサイズの高性能カメラを持ち歩くのは、大きくて重くてかさばるものだから、「目的にマッチしていないなら過剰」という判断が効く。「過剰なので持ち歩けない、構えられない」は物理的に合理的な側面を持っている。 対してスマートフォンは普通に持ち歩いているものだから、どんなに手に負えないほどあまりにも強力なカメラを搭載していようが、それは「持ち歩いているものに付属しているもの」になる。
さらに、取り回しが悪く使いどころの限られるプロ仕様の一眼レフやシネマカメラは、値段的な意味でもよほどの好事家でなければ手出ししないものだ。 しかし、Find X9 Ultraの22〜30万円という価格は、スマートフォンとしてはかなり高価ではあるものの、そもそも「高価なスマートフォン」ということ自体は受け入れられやすいことを背景として、「+5〜10万円くらいでこんなカメラモンスターが!」というのは例えプロ仕様のカメラへの明確な要求がなかったとしても、それなりに受け入れる余地があるレベルに収まっている。
結果、プロフェッショナルの明確かつ切実な要求に応えて誕生したモンスタースペックのカメラが、日常的に使うスマートフォンに収まっているという事態になる。
Find X9 Ultraのカメラ性能は、もはや普通の人の要求を完全に飛び越えている。 にも関わらず、普通の人がその素晴らしさを享受できる。
スマートフォンのカメラにおいて、この構図は当面変化しないだろう。 プロフェッショナルによるさらなる要求に応えるよう進化し、一般のユーザーもその片鱗を享受する。 現状でもこのようなモンスターカメラを搭載するモデルはごく一部に限られているが、ハイエンドスマートフォンのカメラがプロフェッショナル仕様のカメラは一般ユーザーには不要としてカメラグレードに差があるものを用意するかというと、それはちょっと考えにくい。4ミドルハイではそうしたダウングレードがなされていたりするし、多くのメーカーはハイエンドに最高のカメラを搭載してはいないが、ひとつのUltraモデルの中でその違いを持っているケースは非常に稀だ。
こうしてお手持ちのスマートフォンに手に負えないほど高性能なカメラが備わっている状況が生まれるわけだが、一般ユーザーがもしそのカメラをもってしても不足だと感じることがあったとしたらどうだろうか。
スマートフォンのカメラはまだまだ進化し続けるだろうが、「フルサイズの一眼レフ(あるいは中判カメラ)やシネマカメラ/シネマ撮影システムを飲み込もうとしている」という時点で概念的には行き着くところまで行き着いてしまっている。
そんなカメラでも足りないというのであれば、求めているものはスマートフォンでは物理的に実現できないものなのかもしれない。 どんなに進化してもスマートフォンのカメラにはスマートフォンの大きさという制約から逃れられない。 だから、その要求はスマートフォンカメラの進化が解決するのではなく、物理的な余裕があるカメラを必要としている可能性がある。5
だがしかし、だ。 スマートフォンのカメラは、物理的ハンデを乗り越えてプロフェッショナルのカメラに対してアドバンテージを出せるように作られているわけで、少しでも「スマートフォンに頼りたい」という要素があるのであれば、結局大きいカメラよりもスマートフォンで撮るほうが良い写真・動画が撮れる可能性は相当高いと思う。
ミラーレスや一眼レフカメラは依然として純粋な光学的記録機器という側面が強く、プロフェッショナル仕様のものは特にそこを曲げないようにする傾向である。 対して、スマートフォンのカメラはコンピュテーショナルフォトグラフィとしての側面を持っており、近年はAIの力も駆使して「ユーザーが望む理想的な出力を生成するデバイス」になりつつある。 かつては「不自然」とされることが多かったコンピュテーショナルフォトグラフィだが、近年のハイエンドスマートフォンは撮影に対する要求を下げ、理想的な出力を短時間で生み出せるというメリットを獲得しているのだ。
そして相対的に、本格的な専用機での撮影を、「苦労して時間をかけて撮影したのに、理想的な出力には遠い」という事態を発生させうる存在にしている。 「私はそこにある光と向き合いたいのだ。余計な手を出すな」と思っていた私でも、「撮ろうとしたものが撮れる」という魅力を前に今やすっかりスマートフォン派だ。6
物理法則の壁は、「スマートフォンのカメラだから仕方ない」で妥協されていたうちはごく当たり前のものとして受け止められていたのに、今や解決不能な矛盾として立ち塞がり、「スマートフォンのカメラ」という概念を哲学にしてしまった。
だが、それでも今私はこう考えている。 きっと次にスマートフォンを買い替えるときの理由の中心にカメラはなくて、そのかわりに小さなミラーレスを購入するだろう、と。
そう、Find X9 Ultraの優れたカメラは、満足ではなく、写真撮影に対する熱を与えた。 長く代わり映えのしない景色にとどまり、それを記録する機会さえあまりなかった。しかしFind X9 Ultraによって積極的に写真を撮りたいと思うようになったおかげで、Find X9 Ultraでは撮れない写真を感じて、カメラにも興味を取り戻した。
だが、かつてのように高性能なカメラを求める気持ちはない。 それよりは持ち運びやすいコンパクトなものが欲しい。 スマートフォンのカメラの性能が上がった結果、必ずしもスマートフォンよりもカメラのほうが上であるとは限らず、結果としてカメラの性能がスマートフォンを上回っている必然性はなく、性能的には下であったとしてもカメラ専用機は棲み分けが可能だということだ。
まとめ
従来のFindシリーズはカメラ一点豪華主義の傾向であり、他のフラッグシップと比べたときに羨ましい要素は結構あった。 今回スペック面からはこの傾向を捨て、徹底的に性能を鍛え上げた「超級」であることはうかがえたが、実際に使ってみても隙のない非常に高性能な仕上がりであることが感じられた。
特にFind X6 ProがSoCの性能に見合わない抑え込まれたものに感じられていたが、Find X9 Ultraと大きな差が開いたことで実際に抑え込まれたあったことが判明した。そして、だからこそなおさらFind X9 Ultraに圧倒的な高性能を感じることとなった。
認証回りの高性能化は体感的な恩恵が非常に大きい。 徹底的にストレスが取り除かれた感じがする。 同じColorOS 16であってもFind X6 Proとはそれなりに違いがある。テーマ面でも、中国HeyTapアカウントがなくても選択肢がある程度存在するのも改善点であり、アプリクローンが5つまで可能になったのは非常に大きな改善点だ。
もちろん、フラットディスプレイの恩恵は絶大であり、私にとってはFind X2以来の最大の不満が解消された形である。
カメラに関しては「凄まじいがパーフェクトではない」という位置になった。 だが「嘘の交じる写真」という、コンピュテーショナルフォトグラフィの宿命の部分になるため、スマートフォンのカメラでは解決不可能な領域に踏み込んでいるようにも思う。 これが嫌ならもはやミラーレスを用意すべきで、スマートフォンのカメラの評価としては妥当なものにならないようにも思う。一方、「AIの調整不足」という批判は成立し、なおかつそれはアップデートにより解消しうる問題でもある。
1倍2億画素と3倍2億画素は非常に優れたカメラとなっており、0.6倍も記録的用途に非常に適している。 ここまでくると無限に「満足しない」を言い続けていいものか非常に悩ましい。
ただ間違いないのは、今まで考えもしなかったようなことを考えざるを得ないほどに圧倒的な異次元を突きつけてくるカメラをしているということだ。
これは必要としない人に適したモデルではない。 全方位の高性能の代償である価格だけではなく、それなりに重量のあるボディ、背面に手を回せば確実に触れるサイズをしているカメラは、「高性能の代償」として受け入れられない人には厳しいものがある。
個人的にはアナログオーディオの切り捨て、「ときめきアイドル」の動作不良などのレガシーとの非互換要素には時代の更新を感じた。
ボタンの変更は少し戸惑ったが、最終的に「便利だ」と結論することができた。 スクリーンショットを端末をつかんでできないのが一番の戸惑いだが、左のボタンをスクリーンショットに割り当てておけばむしろ便利になる。 クイックボタンは誤操作しやすいが、ダブルクリックでカメラ起動が可能なのが便利過ぎるし、シャッター操作のしやすさも考えると多少の誤操作は気にならない。 そもそも、ダブルクリックでないと起動しないので、振動フィードバックが気になる程度。どうしても気になるならフィードバックを切ればいい。 ボリューム操作だけは、まだちょっと戸惑っているけれど。
総じて言えば、スペック表から読み取れる期待通りの超級スマートフォンだった。 これはかつてないことだ。フラッグシップスマートフォンも、スペックの割に不満はちょいちょいあるものなのだから。
そして、私は「哈苏大师套装」の購入をやめて、カメラを購入することを考えている。 クイックボタンのおかげであんまり必要性を感じなかったというのもあるが、カメラ熱を呼び覚ますようなカメラをFind X9 Ultraは備えていたのだ。
私の中のスマートフォンの概念が書き換わった。 それくらいの存在感を示した逸品だ。
認証とか。↩︎
ただでさえ音量が小さいのに、YouTube側がさらに音量小さく調整するので聞こえないのだ。↩︎
実は写メール以前にも携帯電話にカメラというものはあった。例えば京セラのTrevaだが、これはPHSの外付けのカメラユニットである。また、Visual Phone VP-210は0.11Mpxのカメラを内蔵した世界初のPHSである。↩︎
そういう立ち位置にあるのがFind X8 Pro, Find X9 Proである気がするが、これらはプロセッサ性能は無印に準じたものになっているので、「カメラは高性能程度でいいが処理性能は超高性能であって欲しい」みたいなニーズには応えられていない。↩︎
個人的にはLUMIX S9の18-40mmレンズキットとかすごい気になる。が、このようなコンパクトで目立たつ携行性が良いタイプであってもバッテリーを維持し、撮影したものを転送し……と考えるとだるくなってしまうものだし、なにより今どきカメラを持ち歩いているとかなり目立つので撮影しづらかったりする。↩︎
感触を確かめたくてD3200を久しぶりに触ったが、これで夜間撮影をやろうという気にはなれなかった。Find X9 Ultraのマスターモードでさえもスマートフォンの「明るく写す」能力がないと撮影は大変だと感じるくらいだから、S9やX-M5あたりを手にしたとしても明確にアートとして撮ろうとするのでない限り夜間撮影はスマートフォンを選択すると思う。↩︎