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KeepLiNKのマルチギガネットワークスイッチを試す

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RealTekが安価な2.5GbEスイッチングハブ用チップセットを出したことで、一気に安価なマルチギガハブが出てきている。 特徴的なのはSFP+ポートを持っていること。 これはRTL8373-CGが4ポートの2.5GbEと2つの10GbE SFP+ポートを持っているためだ。

これをこのまま使うと4x 2.5GbE + 2x 10GbEになるが、RTL8224-CGというSPF+ 10GbEを4x 2.5GbEにするチップを使うことで、8x 2.5GbE + 1x 10GbEになる。

今回購入したのはKeepLiNKのKP-9000-9HX-X。 この8x 2.5 GbE + 1x 10GbE (SFP+)という構成である。 最近中華製のこの手の安価なハブがいっぱい出てきたけれど、同じチップを使っている関係上どれも中身は基本的に同じ。 せいぜい電源部分と筐体くらいで、ポートの部品もどれも同じようなものだろう。

KeepLiNKは最近Amazonで見かけるようになった中国のブランド。 TP-Linkよりもさらに低価格だが、販売しているのはハブとSFP+モジュール、PoEスプリッタだけ。

導入の動機は、Zen5プロセッサへの準備だ。 今まで使ってきた8ポートハブに空きがなく、追加のハブが必要となった。

2.5GbE対応PCは複数持ってはいるが、今までは直接配線できる距離になかった。 今回新PCを導入すれば、ワークルーム内に2台となり、2.5GbEでの接続に価値が生まれる。 それに今後も増えてくるだろうから、増やすなら2.5GbEハブだろう。

外観

金属製の筐体で結構しっかりしている印象。 奥行きがすごく短く、NETGEARのGbEハブの2/3程度。

底面はマグネットなし、壁掛け穴あり。 モデル名とシリアルナンバーが書かれているが、耐水シールなどではなくただの紙なので、すぐボロボロになってしまうだろう。

LEDライトがポートあたり2つ。 Instructionカードが入っており、そこにこのライトの説明があるのだが、2.5GbEについての記載がなく役に立たない。全モデルに共通のペーパーなのだろうし、ラックマウントの説明なども載っている。 2.5GbEで接続されるとオレンジ色のランプが点灯するようだ。

前面にネットワークポートが9個、裏面に電源ポートがある。 電源は丸プラグ。USアダプタはセンタープラスの12.0V⎓1.5Aとなっている。100-240V⏦50/60Hzで日本でも安心の仕様。 AliExpressだとプラグは選べるが、Amazonで買ったらUSプラグ仕様が届くと思う。

Settings for enp6s0:
    Supported ports: [ TP    MII ]
    Supported link modes:   10baseT/Half 10baseT/Full
                            100baseT/Half 100baseT/Full
                            1000baseT/Full
                            2500baseT/Full
    Supported pause frame use: Symmetric Receive-only
    Supports auto-negotiation: Yes
    Supported FEC modes: Not reported
    Advertised link modes:  10baseT/Half 10baseT/Full
                            100baseT/Half 100baseT/Full
                            1000baseT/Full
                            2500baseT/Full
    Advertised pause frame use: Symmetric Receive-only
    Advertised auto-negotiation: Yes
    Advertised FEC modes: Not reported
    Link partner advertised link modes:  10baseT/Half 10baseT/Full
                                         100baseT/Half 100baseT/Full
                                         1000baseT/Full
                                         2500baseT/Full
    Link partner advertised pause frame use: Symmetric
    Link partner advertised auto-negotiation: Yes
    Link partner advertised FEC modes: Not reported
    Speed: 2500Mb/s
    Duplex: Full
    Auto-negotiation: on
    master-slave cfg: preferred slave
    master-slave status: slave
    Port: Twisted Pair
    PHYAD: 0
    Transceiver: external
    MDI-X: Unknown
    Supports Wake-on: pumbg
    Wake-on: d
    Link detected: yes

バッチリ2.5Gbpsで接続されている。

SFP+

SFP+ 10GbEのデバイスを私は他に持っていないので試せていない。

説明でもアップリンクポートとなっているが、10GbEのルーターなんか一般の人にそうそう手が出るものではないし、ましてインターネットに10Gb回線をひいて、その上で宅内に光回線を敷くというのはハードルがめちゃくちゃ高い。

比較的お手軽にやれそうなところだとNETGEAR Insight 10GがRJ45 10GbとSFP+ 10Gbを持っている。あとはASUS RT-AX89XならWiFi6つき。

現状あまり現実的な話ではない。 だが、この10Gポートをハブ同士で使うのはアリだ。

というのも、例えば8ポート1GbEハブなら、普通は最大16Gbの流量をさばけるようになっている。 だが、このハブをふたつ接続するとハブの間は双方向1Gbでしか転送できない。 そうすると、下流のホストのアクセスが上流で渋滞してしまう。

これを、ハブ同士を10Gbでつなぐと、下流ホストのアクセスが激しい場合でもさばける量が増える。 ネットワークハブの「カスケードできるけどやりたくはない」が多少軽減されるのだ。

そういう使い方では、現状でもSFP+ポートがあるのも価値ある部分だなと思う。

また、あるかどうかは分からないが、将来的にSFP+ 10GbEが普及した場合には下流側ハブになれるというメリットもある。

2.5GbEの価値

これは簡単な話だ。

1000Gbps=125MB/sであり、125MB/sでの連続書き込みはある程度良いSSDなら普通に可能である。このため、データ書き込みのための転送ですらネットワーク速度がボトルネックになっている。

2.5Gbpsであれば312.5MB/sまで向上し、まだ安定した性能を持つSSDの速度に及ばないがだいぶ速くはなる。

4TBのデータ専用ストレージを持つ高性能コンピュータ同士を接続する回線として、1Gbpsは細すぎる。 Zen3 PCのほうは継続800MB/s書けるため、欲を言えば10Gbps欲しいところではあるが、2.5倍になるだけでもかなり違う。

RealTekの時代

RealTekはそのロゴマークに由来して「蟹」と呼ばれている。 安価で粗悪なネットワークチップの代表格のように言われてきており、もともとのイメージはそんなによくない。

しかしマルチギガの現代において、RealTekはなんなら第一人者と言って良いくらいになってきている。 Intelの2.5GbEチップには大きな問題があったりしたし、あえてネットワークチップにIntelでなくRealTekを採用するというケースも見られるほど。

今回買ったモデルもSFP+を持ちながら、従来よりも省電力であり、とてもコンパクト。

すっかりRealTekは現在のネットワークチップの覇者だ。