Chienomi

「記事は著名プラットフォームで書いたほうが読まれやすい」は、多分幻想に近い

製品・サービス::service

最近、Copilotの強い推奨もあってQiitanoteに記事を書いた。

そして、その結論としては、本当に読まれない。

また別のプラットフォームも含めて、私の書いたものを公開した結果から見れば、著名プラットフォームの優位性には相当の疑問があった。

本稿ではそれらのデータからの私の見解を述べる。

データ面

正確に公開するのは難しいが、ざっくりした数字で言うと

  • note: 一週間で13PV。ただし、3「スキ」がスパムアカウントからついており、実効性のあるPVは0かもしれない
  • Qiita: PVを公開していないので読まれた数は不明(これも結構問題)。 ただし、リアクションはChienomiとは比較にならないほど少ない
  • Chienomi: だいたい月間のPV (bot等除外) が30000〜50000くらい。 👍️数はbot等除外した上で30くらい
  • *.harukamy.com: Pieces, はるかのおはなしのおはなし, はるかみーずちゃっとしょーの合計。 CloudFlare表示で週間UU730、月間UUで2470。
  • はるらぼ: 現在2記事しかない。 CloudFlare表示で月間UU2230

といったところ。

またもうひとつの指標として、私は全く同一の小説を1作品、カクヨム、小説家になろう、はるかのおはなしのおはなしの3つのサイトで公開している。 連載はカクヨムでしており、連載当時はある程度読まれていたが、現在ではカクヨムも小説家になろうも0PVであると提示している。 一方、はるかのおはなしのおはなしではある程度読まれている様子がある。

露出とPV

私の経験的に言うと、全く新しいドメインで全く新しいサイトを立ち上げても、投稿していれば初動1ヶ月のPVは100くらいは行くもので、内容次第では1000を越える。

新規ドメインを取るとアクセス数0にするほうが困難で、実際ルートがあいてない状態ですらもアクセスはある程度ある。 ただし、これは人間による善意のアクセスではないため、PVカウント方法の問題が出るが、前述の「月間100PV」はこうしたボットアクセスや不審なアクセス、無効なアクセス等を除外したものだ。

つまり、ドメインをとって内容があるものを投稿すると、全く誰にも読まれないということはまずない、という期待が成立する。

それと比べると著名プラットフォームを利用した場合、PV0というのは普通にある。 そもそもこのPVがどのように算出されているのかも不透明であることが多いが、仮にプラットフォーム側がインセンティブ抑制のためにPVを低く出すようにしているといったことがあったとしても、プラットフォーム側は「全く見られていない」と主張していることには変わらない。

バズ至上主義構文なのでは?

記事の露出、流入という点で言うと、自サイトで展開する場合ほとんどは検索エンジンからの流入に頼ることになり、あとはファンということが多い。 厳密にはシェアからも入ってくるのだけど、シェアからの流入はなんのプラットフォームでも同じなので一旦置いておこう。

一方、著名プラットフォームを利用する場合、検索エンジンからの流入に加えて、プラットフォーム内での表示による流入が発生する。

これだけだと経路が増える分、著名プラットフォーム側が有利であるように見える。

だが、現実は別の側面がある。 Googleはドメインレベルでの評価はあるが、プラットフォーム内でのユーザーの評価というのは、一部のサイト(例えばYouTube)を除けば行わない。 このため、例えばnoteで記事を公開してもnoteの評価に過ぎないため検索エンジンが表示しやすいということは特になく、むしろnote内での競争率が上がってマイナスに作用する。

大して、自サイト自ドメインでやっている場合、積み重ねた投稿がドメインの評価になり、サイトが表示されやすくなっていく。 良い記事、良いサイトを構築していくことが、結果的に著者評価になり、Googleが表示しやすくなっていくという成長が発生する。

そして、プラットフォームに透けて見えるのが、SNS的な「バズ至上主義」だ。

実際のところ、Qiitaもnoteも、「読まれるための記事を書く方法」というような話が多くなされ、公式も記事に対するアドバイスとしてバズるためのワードチョイス、目の引く画像やワードの導入などを勧めている。 そして現実として、プラットフォームのリコメンドとしても「バズるものが多く露出し、バズったものだけが目立つ」の構図であり、Google的にも特定の記事ばかり出す傾向がある。特にnoteはバズるための方法論を以て書かれたものが多く、同じような記事が量産されている。

だが、これは本末転倒だ。 ブログの記事というのは発信したいことがあるから書くものであって、バズるために記事内容を決めるようなものではない。 もはや、記事を書くためにプラットフォームを選択するのではなく、バズるためにプラットフォームで記事を書くになっているのだ。

バズ文法を使ってバズるために書いた内容でバズって、それでなんの意味がある?

だから、投稿を育て、サイトを育て、長期的に活動していきたいのであれば、自サイト・自ドメインでやるほうが良いように思う。 ただ、それには誠実で地道な活動が必要だ。自ドメインは育てるものだ。

だから、一発バズりを狙って活動したいなら著名プラットフォームはブースト効果がある。 だが、継続的な活動にボーナスはつきにくい。 「人数は少なくても誰かに届けばいい」みたいなスタンスであったりとか、あるいは長く活動していってファンを増やしていきたいとかであれば、自サイト・自ドメインのほうが良さそうに見える。

誰でもそうするのが良いわけではないが⋯⋯

これが、「記事を公開するなら自サイト・自ドメインでやったほうがいいよ」とは簡単に言えないものなので、人におすすめするのはちょっと難しい。

まず、自サイト・自ドメインで運営するとなるとコストがかかる。 ちなみに、Chienomi単体で見た場合、VPSとドメイン代でだいたい年間6万円くらいかかっている。 実際はこのホストは他のサイトと共用なので「×サイト数」ではないのだが、ドメイン代はそれぞれにかかってくる。

そして、VPSだろうがレンタルサーバーだろうが、運営・メンテナンスの手間はある程度かかる。 Chienomiを読者ならあまり問題はないだろうが、技術的ハードルも存在する。

このことから、誰にでもおすすめするわけではない。 執筆を辞めたとしても自力で維持しなければ記事は消えてしまうし、そもそも続けていかなければ読まれることもない。 「継続にはボーナスがつくが、始めるハードルが高い」はあまり好まない人が多い印象だ。

だがまぁ、自分の書く記事は人に届ける価値があると信じるなら、自サイト・自ドメインでやるのが良さそうだという所感ではある。 また、もしすでに自分のサイトでやっている人であるならば、著名プラットフォームに移ることはメリットよりデメリットのほうが多いかもしれないということも言える。

自サイトでやる場合サイトをいかにして構築するかという問題もあるが、これは正直WordPressでもいい。 Chienomiは今でこそWordPress時代よりも圧倒的に検索順位が高くなっているが、WordPressからPureBuilder Simplyに移ったときはアクセス数はちょっと落ちている。「読まれるかどうか」観点で言えば、WordPressは十分に強い。

ブログソフトウェア自体はWordPress以外にも色々あるけれど、WordPressはレンタルサーバーでも簡単に導入できるようになっていることが多いのと、php-fpmのようなデーモンプロセス型の実行環境で動作するようになっていたりすることがあるため、CMSの中ではWordPressは結構なアドバンテージがある。 そのため、深い知識やちゃんとした選択を求められることを望まないのなら、「とりあえずWordPress」は悪い選択ではない。

WordPressの欠点は、テーマにもよるがアクセシビリティがあまりよくないこと、記事の保持形式から交換性があまり高くなく将来的に困る場合があること、なるべく軽くしても結構重いことだ。 一方、テーマやプラグインの充実度はアドバンテージと言っていいだろう。

もちろん、PureBuilder Simplyを使うのも良い。 ただ、現状だとPureBuilder Simplyは最低限HTMLとCSSは書ける人向けになってしまっているため、WordPressと比べてハードルは高い。 さらに言うなら、PureBuilder Simplyに含まれているテーマはあまりSEO的優位性を意識したものではないため、「読まれる」という点ではさらなる工夫が求められる。とはいえ、デフォルトテーマもきれいに書いてはあるため、良質な記事を積み重ねれば検索上位になるのは難しいことではないだろう。

実際のところ、「ちゃんと読まれる、長く続くサイトを」と思うのなら、サイトの運営方針を定め、それに合ったHTMLとCSSを書き、良質な記事を積み重ねていくことはとても重要なのだが、実際は難しいだろう。手軽に始められるタイプのサイトの価値は認められるし、WordPressが最初からある環境を提供するレンタルサーバーのような、中間の存在もやっぱり必要だ。

今回の話は、あくまで自サイト・自ドメインで展開できる人にとって著名/大手プラットフォームを使うのがメリットになるとは限らないという話。 そして、自サイト・自ドメインでやる場合にしてもどの程度本格的にやるのか、どういう方法をとるのかというのには幅がある。

だから、私は「VPSでちゃんとサーバー用意して、PureBuilder Simplyでしっかり組むのがいい!」みたいな主張をする気はさらさらない。 それぞれの活動スタイルに合わせてやるのが良いと思う。 ちなみに、PureBuilder Simplyはサーバーサイドには静的ファイルを配信できる環境さえあればいいので、PureBuilder Simplyベースのサイトを展開する場合はVPSよりレンタルサーバーのほうが簡単確実。

あとはバズ志向かどうかとか、なんのために書くのかとかにもよる。