竹書房がCloudflareを提訴、その問題点
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前提
私は本件について 一切支持しない 。
その上で、問題点を述べたいと思う。
なお、私は著作権侵害を行うコンテンツ、あるいはウェブサイトに対する肯定的な意思は全くなく、それとは関係なしにこれは「著作権侵害よりも重大な問題である」と考えているわけである。
問題点
要は、CDNが著作権侵害でページを削除するように求めたのに削除しなかったから訴えたというのだが、 とんでもない話だ 。
CDNはプロバイダであり、プラットフォームである。 プラットフォームに対してウェブサイトをはじき出すことを求めるのが有効だとしたら、かなりとんでもないことになる。
「こいつは権利を侵害しているからこいつのページを削除しろ」と言って(その真偽に関係なく)成立するならば、ある特定の発言を弾圧することが簡単にできる。 どれだけ重要な情報であれ、その情報が望ましくない人が、望ましくないという理由でその情報を公開することができないようにすることができたならばどうなるかなどというのはあまりにも想像に易いだろう。
もちろん、同様のロジックで、ウェブサービスを提供している会社があるとして、そのウェブサービスをホストしているサービスに対して「あのサービスは権利侵害しているから公開停止にしろ」と言うのが成立したらどんな地獄絵図かというのもまさかわからないはずもあるまい。
ここで重要なのは、プラットフォーマーはコンテンツを持っているわけではないということだ。 CDNの場合は間接的にコンテンツを持っているから話は少し複雑になるが、それでもCDNがプラットフォームに過ぎないことには変わりない。
コンテンツであれば(DCMAなどを含めて)問題のあるコンテンツを削除する義務がサービスプロバイダにはある。 だが、プラットフォームにすぎない者がコンテンツを理由にはじき出すというのは弾圧であり、人権侵害なのだ。(もちろん、言論の自由も侵害している)
自らが運営するウェブサイトでの発言というのは、それが犯罪を幇助する内容であれ、自殺を幇助する内容であれ、テロを呼びかけるものであれ、その内容自体が犯罪であれ、止めることはできない。その行為そのものが犯罪になることを含めその責任は発信者にあるが、それはあくまで法的な問題であり、法律に基づいて処罰される可能性があるという話である。 「発言そのものを封じ込める」などという超法規的な弾圧を加えることが許されるわけではない。
つまり、これはブロッキング以上に「ヤバイ話」だ。 より強力な検閲と弾圧を可能にする話だから。
この理屈が通るようだと、強烈な思想弾圧と言論弾圧を行うことができるようになり、社会的に不利な気に入らない相手の存在を消しても構わないということになる。 もちろん、例えばそのような人を不当に逮捕したり、あるいは殺害したりしたとしても、それを発信することはその人を封じ込める人にとっては不利益な情報であるから、同様に公開されないように封殺することが可能であるということになるのだから!