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「ポータブルオーディオ」としてXperia XZ3を導入

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話の流れとしてはポータブルプレイヤーをWalkmanからAndroidににあり、

  • ウォークマンのバッテリーもちが怪しくなってきた
  • もともとウォークマンがVorbis/Opusをサポートしないことを中心に不満を持っていた
  • バッテリー持ちという利点がなければウォークマンを使い続ける積極的動機がない
  • そもそもミュージックライブラリはウォークマン用のAACにしていた
  • これをソースライブラリの形式であるFLACで組み直すことを第一とした
  • 色々コード書いてライブラリを構成し直した
  • FLACのライブラリでも256GBに収まりそうなので、256GBのmicroSDを用意してF-02H(Arrows NX)をプレイヤーにした
  • だが、実際にやってみたらかなり音飛びして使い物にならい
  • Powerampを使えば大丈夫そうだったので、Powerampを買ってArrows NXで音楽を聴くことにした

というところまでがこれまでの話。

今回は、結局音飛びの問題がPowerampを使っても解決しなかったため、結局新しい端末を用意することにした。 それがXperia XZ3である。

Xperia XZ3

概要

Xperia XZ3は2018年11月に発売されたソニーモバイル製のスマートフォン。 OSはAndroid 9〜10。 ドコモ, ソフトバンクモバイル, auの3社でキャリア端末として売られた。

旧時代のソニーモバイルの最終モデルであり、かなり現代化された端末でもある。 ベゼル太めのフラット液晶ディスプレイだったXZ2から、左右ベゼルレスの有機ELエッジディスプレイに変更されている。

歴史的に見れば正直なところ微妙モデルのひとつだ。 そもそも前モデルであるXZ2は2018年5月に発売となっていて、Snapgragon 845を搭載。 性能は確実に上がってはいるし、巨大なベゼルもいくらか小さくなったものの、前モデルのXZ1からあまり変わっていない。 で、そのXZ1は2017年11月に発売されたSnapdragon 835機。

つまり、XZ1からXZ2は角ばった端末から少し丸くなって、835から845になり、ディスプレイがちょっと大きくなった(ついでに3.5mmジャックがなくなった)……くらいの感じで、XZ3はXZ2からディスプレイが変わって丸っこくなったくらいの感じ。 変わり幅が大きかった時期の割にあんまり進化してなくて、XZ1は評価高め、XZ2とXZ3は評価低めになっている。 XZ1は現在もオーディオプレイヤーとして結構人気らしい。

2023年からの視点

4年半くらい前のモデルで、私の手持ちで見るとFind X2 Proは2020年7月発売だからそれよりは古いけど、R17 Proのほうは2018年12月発売、R2 Compactも2019年1月発売でだいたい同時期。

手元の端末と比較するとこんな感じ。 ついでに参考端末として、現行最強端末のOnePlus11と、OPPOの現行最強のFind X2 Proも入れておく。

性能比較
メーカー 機種 SoC メモリ ストレージ メインカメラ
OnePlus OnePlus 11 SD8g2 16 512 50M
OPPO Find X5 Pro SD8g1 12 512 50M
OPPO Find X2 Pro SD865 12 512 48M
SHARP R2 Comapct SD845 4 64 22.6M
OPPO R17 Pro SD710 6 128 20M
Sony Xperia XZ3 SD845 4 64 19.2M
ZTE Axon7 SD820 4 64 20M
Fujitsu Arrows NX SD808 3 32 21.5M
新しさ比較
メーカー 機種 発売 OS サイズ ディスプレイ
OnePlus OnePlus 11 2023-01 13 6.7 3216x1440
OPPO Find X5 Pro 2022-03 12 6.7 3216x1440
OPPO Find X2 Pro 2020-07 10〜11 6.7 3168x1440
SHARP R2 Comapct 2019-01 9〜10 5.2 2280x1080
OPPO R17 Pro 2018-12 9〜10 6.4 2340x1080
Sony Xperia XZ3 2018-11 9〜10 6.0 2880x1440
ZTE Axon7 2016-10 6〜8 5.5 2560x1440
Fujitsu Arrows NX 2015-12 5.1〜7.1 5.4 2560x1440

印象とは結構な違いがある。

ARROWS NXはかなり縦長ボディだけれど、ディスプレイ自体は16:9になっている。XZ1もそんな感じだけれど、エッジディスプレイでベゼルの細いAxon7のほうがXZ1よりも1年前だ。

R17 Proはメインカメラに2眼を採用している。 この時期からカメラは大幅に進化し、インカメラはメインカメラと同等の画素数を持つのが当たり前になっていき、アウトカメラはマルチカメラでものすごく高性能化した。

そうした視点で見ても、日本製端末が代わり映えしなかったという印象が強い。Xperiaは現行型でもあまりものすごいカメラは載せてない(デジカメが売れなくなるからか?) というより、12.2Mpxを3眼載せてて、センサーやレンズはもちろんSonyなのでがんばっているけど、

Find X2→Find X5は2世代分隔てている(X4はない)けれど、こちらも意外と代わり映えしない。 カメラの画素数やディスプレイの画素数はわずかに上がっただけ、に見える。 実際はカメラのソフトウェア周りが変わってて、結構カメラの品質は変わってるらしいのだけど。

日本メーカーは昔からスマホのカメラに対してはかなり消極的で(関税の都合があるとか言われてる)、特に中国製のスマートフォンのカメラへの全力投球っぷり1からするとしょぼく感じてしまう。

また、動画に関しては時代を感じる要素のひとつで、Xperia XZ3はAxon7やR17 Pro同様4k 30fps/FHD 60fpsになっている。 Axon7は「4k動画が撮れる」の先駆け的存在だったのだが、4k 60fpsが撮れるようになるまでは結構時間がかかった。

だから、Xperia XZ3のカメラのしょぼさに時代を感じてしまうけれど、それは今でもあまり変わらないため、Xperiaだけを使ってきている人には今でも通用する素晴らしいカメラに思えるのかもしれない。 ちなみに、同じ状況で撮り比べてみたが、48MPを有効にしなくてもFind X2 Proのほうが圧倒的にキレイに撮れる。

リソースに関しては4GB/64GBだけれど、当時の国産端末としては普通で、R17 Proに負けているのはOPPOがここらへんを盛る性格をしていたためだろう。 ただ、言い方を変えると「4GB/64GBに留まっていた時期があった」とも言え、少し時代を感じる値である。ディスプレイが16:9とか、端子がmicroUSBとかに似てる。

今の基準で言えば4GB/64GBが少ないのは確かだし、今どきのハイエンド端末では考えられない値ではある。 ただ、SoC性能に関しては体感は結構難しい。

性能的にはSD820を搭載していたAxon7は、まだもっさり感がある。 店頭で試したときから、「だいぶよくなったけど、まだ遅いなぁ」と思っていたから間違いない。今触っても遅い。 ただ、SD808のArrows NXはものすごくもっさりしていてとにかく遅いので、そこからすれば「イライラせずに使える」くらいにはなっていた。

対して、同じSD845を搭載するR2 Compactもそうだけれど、性能が高くて操作に対して非常にリニアになっているので、普段使っていて遅いと感じることはない。 ゲームもスマホの普通のゲームくらいなら非常に速い。

というか、そもそもFind X2 Proが端末性能の割にあまり速くない(ゲームでももっさりしやすい)ので、「メインとは……?」となる性能をしている。

最近の端末は高性能すぎる上に価格も非常に高価になっていることから、あまりそそられなくなっている人も多いようだ。 このためにスマートフォンの売上は縮小傾向のようだが、これは言い換えると「性能向上の実感を得づらい」という問題であると言える。 カメラではかなりの格差が生じているが、写真にそこまでの緻密さを求める人も一部なのだろう。

なので、有機ELエッジディスプレイで見た目に古臭さもなく、サクサク動作するXperia XZ3は、超最新ではないにせよ、結構新しい端末に感じられるのだ。

その割に不人気も手伝って価格は安め。 私はイオシスでBグレードauモデルを購入したが、12000円ほどだった。 12000円ほどで、今もパワフルなハイエンド端末として使っている人は普通にいそうなSD845機が買えるというのはやばい時代になってきた。 まだ2020年以降のモデルはあまり安くなっていないが、性能向上の実感が得づらくなっている=古めの端末でもかなり高い満足度が得られるようになっている、なので、現行で高性能端末を使っていない人や、古い端末(iPhone7, 8あたりとか)を使っている人は結構狙い目だったりするのではないだろうか。

少なくともXperia XZ3は普通にメイン端末として使えるだけの能力を持っているため、音楽プレイヤー扱いはなかなか贅沢な話である。

端末の人気としてはXZ1が高いようだが、XZ2とXZ3とを比較してみよう。

XZ1はディスプレイに対する画面がかなり小さい。かつフラットな端末で古臭さを感じるだろう。 XZ2は似たような感じに見えるが、背面はガラスになっていて丸っこい。そのかわりかなり重く、そして分厚い。 XZ1/2は16:9ディスプレイだが、XZ3は縦長ディスプレイで、有機ELのエッジディスプレイ。 ディスプレイは明確に新しくなっていく感じがするが、XZ3はバッテリーもちが犠牲になったほか、XZ2からはボディは持ちにくくなっている。

microSDの対応容量が、なぜかXZ2だけ400GBと少ない。これに意味があるのかは分からない。 また、メモリ容量はXZ2は6GBあったのに、XZ3は4GBに減っている。

プロセッサはXZ1はSD835、XZ2/3がSD845。

Sonyは音楽にものすごく有線を推していて、エフェクト類も有線接続に対してしか効かないのだけど、XZ2から3.5mm端子はなくなった。

OSバージョンはXZ2は(ソフトバンク版以外は)Android 10でXZ2/3間で違いはない。XZ1はAndroid 9止まり。

XZ2にあった顔認証機能がXZ3ではなくなっている。

XZ2とXZ3の差は見た目以外は結構微妙。 XZ3で進化したとも言い切れない変化になっている。

XZ2が酷評された割にXZ3のほうが微妙要素増えてるような気がするけれど、私としては「新しい端末のほうが変なトラブルは少ない」のでXZ3にした。 これは広く一般的な話というより、Arrows NXにあったような「音が飛ぶ」みたいな変な問題が昔のAndroidはいっぱいあって、ある時期からだんだん特に問題がなくなっていった(ので私もスマートフォンメインに移り変わっていった)というのがあるため、基本的には新しい端末のほうが不満を起こしにくいと感じている。

Xperia XZ3レビュー

私が選んだボルドーレッドの色はヒトコトで言えば「光るサツマイモ」。 このボディはなかなかのクセモノで、鏡のようにピカピカで、写真を端末の形がわからなくなるほどぼかしても映り込んでいる像をごまかせないほどくっきり映り込んでしまう。 スクリーンも反射がかなり強いほうだ。

端末サイズはかなり大きく、ふくらんだ形状で厚みもある。 端末の持ちやすさは普通で、丸いため安定しないが、滑りやすさは普通。落としそうとまでは思わないが、気をつけて持たないと落とすだろう。 少なくとも落とさずに持つのが困難なAxon7よりはずっと良いが、安定して持てるわけではない。

カメラボタンはなかなか優れたアイディアだ。横向きで構えたときにちょうどいい位置にボタンが来る。 動画に対しても作用するため、スクリーンが隠れる形でスマートフォンを固定しても撮影ができる。

指紋センサーは割と触りやすい位置にあり、感度・認識力ともに素晴らしい。 ただ、指紋センサーよりカメラの方が触りやすい位置にあり、ついカメラを触ってしまいやすい。

au版は比較的マシなほうだが、プリインストールアプリを削除するのには相当時間がかかった。 Remove-CareerAppはなかなか有用なアプリだ。 前半にいらぬ設定が入っているため、動作環境がUbuntu決め打ちになっているが、前半部分を消せば使える。 これと自前のツールを組み合わせてだいたいを削除した。

SIMカードが入っていないため、「Xperia XZ3の設定を完了します」とかいう通知が消えない。 システムアプリから「Androidの設定」を無効化すればおとなしくなる。

私は買切り版のATOK for Androidを使っているのだが、これがストアから消えていてインストールできない。 Googleの案内する方法、Just Systemsの案内する方法どちらも使えなかった(そんなメニューはない)ため、支払い履歴から探してインストールした。

Xperia XZ3はAndroid 10にアップデートされているが、Android 9から入ったジャスチャーナビゲーションがない。 同時期のXperiaでは使えたりするらしいのだが、Xperiaでは代わりに似たような「サイドセンス」という機能が入っているが、感度が悪くうまく動作しない。 これはかなりネガティブな要素で、ここまで大きくなると画面下部を触るのは難しいため、非常に操作しづらい。 なお、R2 Compactは(アップデートで)ジェスチャーナビゲーションはあるにはあるが動作が非常に不安定、R17 Proは最初から使えるようになっており非常に快適。

期待した音楽アプリは、アルバムアーティストがなく、Walkmanにある和名アーティスト名をソートする機能もないためやや微妙。 他の端末のものと違い普通に使えはするけれど、良いとは言えない。ドライブのファイルを再生するのも邪魔。

オーディオエンハンス系の機能は有線のみ適用で、Bluetoothだと使えない。全体を通してものすごい有線推しである。にも関わらず3.5mm端子がないのはどういうことなのか。 だが私が試した限り、有線でも効かない。純正アダプターでないと機能しないように制限しているのだろうか。 これだからSonyは2

スピーカーは手持ちで聴くとすごく微妙だけど、置いて聴くと悪くない。 ただ、いい音かというととても微妙。MAX音量は大きめで、音量小さめのYouTubeも聴きやすいほう。 Find X2 Proのほうが大きい。

ディスプレイはめちゃくちゃ明るい。

USB PDに対応しており、一般的なUSB PD対応チャージャーとケーブルで急速充電が行える。 そこでバッテリーを11%まで減らして確かめてみたが、およそ8.88V/1.32A程度で安定する。 これは12W程度に過ぎず、microUSB時代の5V/2.1Aを「高速充電」と読んでいたものとほぼ同じだ。 もう少し充電された状態を含めると、8.9V/1.2〜1.28Aというところ。60%に達した段階で8.95V/1.0Aまでぐっと低下し、約9W充電となる。ここから少しずつ電圧が下がっていき、90%では0.4Aほどまで下がるが、電流はやや増加する傾向にあり、90%になる頃には9Vを越えたりする。 なお、最新のXperia 1 IVは有線で33W, 無線で15W充電らしい。

これはとても残念な話で、USB PDは最大で100Wの充電が可能であり、せめて40Wくらいは出して欲しいものだ。 OPPOは専用の充電器とUSBケーブルを用いる仕組みになっていて(本当に専用のケーブルでないと機能しない)、この “SUPER VOOC” による充電はR17 Proで45W、Find X2 Proは60W、Find X5 ProやOnePlus 11では100W(!)3を実現している。 これに慣れているので、「出かける前にバッテリーがないことにきづいて3分だけ充電!」みたいなのができないのは結構痛いと感じる。 バッテリーがあまり大きくない(3200mAh)ため、パーセンテージだけ見ていれば

「ものすごく熱くなる」という話題があるが、正直ゲームなど高負荷で火傷しそうなほど熱くなるのはAxon7やFind X2 Proでも同じようなことなので、半分ネタだと思ってる。もう半分はよくしらないのだろう。高性能スマホはそんなものだということを。 しかし、それらと比べて熱くならないほうだと私は感じている。

試しに音ゲー(かなり負荷が高い「ときめきアイドル」と「DeeMo II」を含む)をインストールして少しプレイしてみた。 どう使っても特に熱くなるということはなく、発熱していることは感じるが「多少あたたかみを感じる」程度に留まる。 あまり重いゲームは、そもそもストレージ容量があまりないためできないが。

バッテリーもちは悪い。 もちろん、新品ではないため100%の性能ではないが、バッテリーステータスは80%(良い)で、3時間程度YouTubeを見て30〜40%減少のペース。ゲームや動画視聴などをしていると、もって8時間という感じなので、1日はもたない感じだ。 ただ、Axon7はゲームなどをしていると3〜4時間で80%程度を使うため、それと比べるとだいぶ良い。音楽プレイヤーとしては外出時間中はもつだろう。

音楽プレイヤー

端末

Androidスマートフォンを音楽プレイヤーにする場合、重要視される要件はmicroSDカードスロット, 3.5mmジャック, Bluetooth接続である。

BluetoothはLHDC, LDAC, aptXなどコーデックの問題もあるため、機種に対する調査が必要になる。 SBCでも音質が悪いわけではないが、データ量が多いため接続性・安定性という意味では厳しい。 Android 8からLDAC, aptX, aptX HDが標準搭載となったため、これらに関しては使えると考えて良い。 特別な理由がなければLDACあるいはaptXで接続することを念頭にリスニング機器を選択したほうが良いだろう。

Bluetoothのバージョンは新しいにこしたことはない。 電力消費という面でも、接続安定性という意味でもだ。

携帯プレイヤーとして有線で聴かないという人は3.5mmはあまり必要ないが、有線で聴く機会があるならあったほうが良い。 Type-Cの3.5mmアダプタを使うだけだと思うかもしれないが、結構接続が微妙で軽く引っ張られるだけで認識を失うようなことが多い。 そもそも3.5mmプラグほどしっかり固定できるわけではなく、力がかかるとUSB端子は折れやすいので、アダプターでの接続は常用するにはかなり不安がある。

microSDカードスロットは、特に容量制限というのは(SDHCの上限=32GBというケースを除けば)気にしないでいいような気がする。 実際に上限が働くケースがあるのだろうか? ただ、古めの端末はmicroSDからだと音が飛ぶという問題が発生しやすい。

Xperiaは音楽に特化した機能を色々と持っているが、XZ3だと実際に機能する部分は「他の端末と比べるとよくできているデフォルト音楽アプリ」くらいしかないため、Xperiaにこだわる動機はやや微妙。

データ

microSDカードはPCでフォーマット(mkfs.exfat)するとうまく認識されないことがあるため、端末上でフォーマットしたほうが良い。 この関係で、音楽データは(専用プレイヤーの場合と違い)1階層下げて配置することになる。基本的には/Musicになるようにするのが望ましい。

Opusはプレイヤー側で対応していないこともあるためややリスクがある。 少し古いAndroid端末では拡張子を.oggあるいは.ogaとすることでシステムから認識されるが、プレイヤーの扱いはまた別である。 Android 12以降は.opusも認識される模様。

OpusとVorbisを比べるとOpusやや優位であるらしいが、実際のところVorbisはジャストなビットレートになりづらいため比較が難しい。どちらかといえば、指定したサイズを逸脱してほしくないならOpusという感覚が強い。

取り扱いの面ではVorbisが圧倒的に楽。 ただし、.m4aなAACを無理に変換する必要はない。これは、MP3(.mp3)の場合も同様である。 ATRACに関しては(AALも)変換したほうが良い。

FLACは取り扱いを苦手とするソフトウェアが時々いるが、それ以外では問題はない。 基本的にはデータサイズの問題で選択して良いだろう。

アプリ

Powerampは1000円ほどの有料アプリだが、使いやすく、安定していて、ファイルの扱いにも長けているので買う価値はある。

ライブラリ型よりファイルベースを好むのであれば、PulserやAIMPが良さげ。 Pulserは結構長く使っていた。

組み込みとの比較

専用の音楽プレイヤーと比較した場合、専用の音楽プレイヤーはいくらかのアドバンテージを持っているのは事実だ。 音質調整機能もそうだし、プレイヤーアプリがAndroidのものよりよく作り込まれていたりもする。

一方、最近のプレイヤーは専用のSoCを持っていることが減っている(低価格なものは音楽プレイヤー用のSoCだけれど、高性能なものはQualcomm製SoCとAndroidの組み合わせであったりする)ことから、ハードウェア的なメリットはあまりない。 というよりも、ハイエンドAndroidスマートフォンに載っているチップは相当に高性能であるため、限られたリソースを前提とした組み込み機器と比べるとかなり性能差がある。

Androidスマートフォンであればより汎用性があるほか、柔軟に取り扱いやすい面も増える。 一方、Androidの場合現在はMTPだが、オーディオプレイヤーであればUSBマスストレージとして扱うことが可能なケースもあり、オーディオプレイヤーのほうが扱いが楽だというケースもある。 オーディオプレイヤーは汎用性がない代わりに余計なことをしないという面もあり、このあたりは好みによるところが大きい。

スマートフォンではプロセッサやディスプレイは重要な要素であるとされるため、基本的にハイエンドモデルを選択する場合スマートフォンのほうが操作感は良い。

有線前提で考える場合、アンプの品質は出力にかなり大きな影響を与える。 スマートフォンに載っているアンプ自体はデジタル部品だが、出力がアナログ信号なので、品質差が出る要素になっているのだ。例えばAxon7やROG Phone 5なんかはQualcommの標準DACではなくESS製のものを使っていたりするのだけど、こういうのは珍しい(XZ3も特別なのは積んでない)ため有線で音質重視だとオーディオプレイヤーを選択する意味はかなり大きくなる。

ただ個人的な意見で言えば、「いいDACを積んでいること」はかなりオプショナルな要素であり、あまり気にしなくて良いと思う。 大きな理由としては、そもそもスマートフォンが出力する音声信号はあまり大きくない。インピーダンスの高いヘッドフォンを鳴らすようなケースと違い、イヤフォンを鳴らす用の小さい信号を出力する場合は差が出にくいのだ。そもそも家の中でのみ可能のような爆音で聴くこともないだろうし。 そして、ポータブルオーディオは聴取環境がそんなに良くないことに加えて、Qualcommはスマートフォンで映画を見たりゲームをしたりといったニーズから音質は商品力強化につながると考えており、継続的にDACの改善をやっている。その関係で特にハイエンド用SoC(8系統)はかなり良い音を出すようになっているため、ハンディサイズのDACで明確な違いを感じるのが難しくなってきている。

だから、新し目の8系統Qualcomm SoCモデルを選択する前提であれば基本的には気にしなくて良い要素だ。 どうしても気になるなら音楽プレイヤーを考えればいい。ポータブルDACを別途使うという選択肢は私は魅力的だとは思わない。

ちなみに、3.5mmジャックがないタイプのスマートフォンの場合、基本的にはUSB Type-C端子からAlternate Modeで音声信号を出力しているため、DACの載ってないパッシブタイプのアダプタを使えば良い。 DACを内蔵したアクティブタイプのアダプタは「音が出ないところから音が出るようにする」というものだから、音質はかなり悪化する。 ただ、DACの載っていないタイプの変換アダプタはあまり売っていなくて、現実的には端子にぐらつきのあるダイソーで売っているやつを使うことになる。端子そのものの品質があまり良くなさそう(Alternate Modeで出すのはアナログの音声信号なので、USB端子側も影響を受ける)で気が進まない。

また、Bluetoothイヤフォンの場合はBluetoothで送るデータは決まっていて、なおかつアンプはイヤフォン側にあるため、Bluetoothの接続安定性といった問題を除けば、DACによって音が良くなるなどということは決してない。 Bluetooth重視ならこれも気にしなくて良い点である。

オーディオ界隈はファンが妄信的に買うという事情もあって、実際のコストとはかけ離れてものすごい高価格になる傾向にある。 オーディオプレイヤーも、安物か超割高かを選択するような部分があるため、スマートフォンのほうが無駄なお金を使わずに良い結果が得やすい。中古も豊富だし。

私は「Snapdragonの8系で新し目で3.5mmジャックとmicroSDカードスロットを持ったスマートフォン」が今の正義だと思った。