序
Gnome Calendarがすごいことになっている。 使えないわけではないけれど、とんでもなく使いにくい。
使い勝手として最悪な改悪が行われるのは2回目なので、希望はないだろう。 だが、CalDAVのアプリというのはかなり難しい。
というのも、CalDAV対応のGUIアプリケーションというと、私が探した限りでは
- Gnome Calendar
- Evolution
- Pantheon Calendar
- KOrganizer
- Thunderbird
- Vivaldi
しかない。
CalDAVからの同期と、同期されたiCalの読み込み2段階に分けて良いならもう少しある。 が、使い心地はかなり下がる。
なお、厳密にはGnome Calendar / Evolution / Panthen CalendarはGnomeのアカウント管理に依存しているし、KOraganizerはAkonadiに依存しているので、アプリで独立したCalDAVサポートを持っているわけではない。
AndroidではGoogleの意向によりCalDAVのサポートはできない。 端末に同期するのが必須だ。
このあたりはLinux環境でCalDavを使ったカレンダー利用を参照してほしい。
Gnome Calendarの問題
時刻の入力がすごく大変になった。
まず、時間を入れるには新規イベントから「詳細を編集」してダイアログを開き、「時間枠」タブを開く。 実はこれも改悪で、以前はイベントの詳細を表示した時点で時刻は編集でき、かつ直入力からのタブで済んでいたのだが、現在はわざわざ時間枠タブを開く必要があり、入力時もタブでは移動できないのでマウスカーソルでのフォーカスが必要になる。
時間枠を表示すると0:00 (UTC)と出る。
そう、タイムゾーンの概念が追加されたのだが、デフォルトはUTCである。
これは、時刻を入力しても変更できない。
そして、デフォルトはどうも常にUTCであるっぽい。
設定するには時計マークをクリックする。 時計マークをクリックしたところで、結局プラスとマイナスがある時と分に分かれた数値フォームでしかないので直入力より改善したところは何もない。 これにタイムゾーン設定が追加された。
そして、タイムゾーンは検索しないといけない。選択できるわけでもないのだ。
さらにちゃんと一致していないと候補に出てこない。この一致はローカライズされた状態で行われる。
つまり、Tokyoでは出てこない。ちゃんと変換して東京と入れる必要がある。
そして、わざわざタイムゾーンを指定しても終端は別である。 ひとつのイベントを設定するのにタイムゾーンの設定作業を2回やらなくてはいけない。
あまりにも苦痛だ。
Gnomeは「シンプル」と称してキーボード操作しづらくしたり、ローカライゼーションを軽視したり、手順をものすごく長くしたり、必要な操作を隠したりということをよくするのだけど、GnomeにまともなLinuxデスクトップユーザーは残っていないということだろうか?
Evolutionの問題
Gnome CalendarはGnomeのスケジュール管理に依存していて、これを直接に扱うのはEvolutionである。
ちなみに、ManjaroだとEvolutionはGnomeに依存しており、インストールはかなり重い。
EvolutionはGnome Calendarのような問題は(今のところ)なく、Gnome Calendarよりも細かくイベントが設定できる。
が、肝心のカレンダーが終わっている。 表示単位にmultiweekがないのだけれど、「月」表示にしているとスクロールが5週間単位で行われる。 つまり、1画面の中に月が収まるのは現在月基準で5週間スクロールしたところに収まる月だけ。 表示1画面と同量がスクロールされるので、「この週の前後と並べたい」みたいなことができない。
ものすごく見づらい。
Pantheon Calendarの問題
ほぼイベントを一覧するのがせいぜい。
最小限の機能も満たしていない。
KOrganizerの問題
KDE PIMの一部なので、そもそもKDE環境でない人にとってはかなり使いにくい。
以前試したときには機能的にも満足しなかった記憶があるが、理由は覚えていない。
Thunderbirdの問題
Thunderbirdは期限の過ぎたイベントを自動で編集する。
このため、複数の環境で併用しているとコンフリクトを発生させる。 多分、他のアプリも一緒に使っているとより発生させやすい。
Vivaldiの問題……は解消した?
過去の問題
書いたと思ったのだけど、どうも書いていなかったらしい。
ので、今改めて説明しよう。
Vivaldiにはイベントを作成したあとイベントを編集するとエラーになる、という問題があった。 なので、Vivaldiはイベントの編集が事実上できなかった。
また、イベントの削除もうまくいったりいかなかったり。
さらにはカレンダーの同期がめちゃくちゃもっさりしていて、他の環境で変更されたイベントをいつまで経っても拾えなかったり、他の環境でイベントが更新されるとイベントが増えてしまったりしていた。
まあとにかく、ローカルでイベントを作るだけならできる、というものだったのだ。
現状
しかしVialdi 7.7で試したところ、このあたりの問題は解消されていた。
イベントの編集は問題なくできるし、編集したら即座に反映される。 他の環境で変更されたイベントもちゃんと拾えるし、消えたイベントが増殖したりもしない。
Vivaldi自体が結構重いので私としてはあんまりウェルカムではない感じだけど、Vivaldiで何らかのページを常時開いているタイプの人なら気にならないだろう。
Gnome Calendarが現状イベントを見るだけなら問題ないので、併用もアリ。
なので今のところVivaldiかなと思うのだけど、なんでCalDAV対応のカレンダーアプリはこんなに乏しいのだろう。 Windowsなら豊富にあるのだろうか。
ちなみにスマートフォン
CalDavZapをホストしているので、ウェブ。
イベント編集はかなりしづらいが、可能ではあるので私がスマートフォンで操作するレベルでは特に問題ない。
まぁ、CalDavZapがスマートフォンにちゃんと対応しているかというと怪しいのだけど。