RX7900XTXを導入, ハードウェアビデオエンコーディングは現時点で「未実装」
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序
現在のメインPCは、「最強」を目指した1台だ。 CPUにはRyzen9 5950Xを採用、マザーボードはX570とした。
堅牢にして高速というシステムを目指して構築されたが、ビデオカードは購入されなかった。 これは、1000Wという大容量電源を投入しながら、である。 理由は、ビデオカードがものすごく高騰していたことと、そもそもRX6900XTの在庫がなかったことからだ。
結局、2代前、ThinkStation P720で使っていたRX580を採用した。
P720は以前はQuadro P5000ビデオカードを使っていたが、手放したため、非力なQuadro P400ビデオカードが採用されていた。 だかぎ、このビデオカードはビデオメモリが2GBしかなく、4k出力をするとフリーズしがちであった。 そこで、8GBのメモリにより4k4台出力を目指すことができる(だいたい4k1枚の出力に2GBが必要)RX580を購入したのである。
当時最新のビデオカードはRX Vegaシリーズであった。 RX Vega64/RX Vega56という2モデルがあり、限定モデルとしてRadeon VIIもあった。 だがこのRX Vegaシリーズは、かなり微妙なビデオカードであった。 簡単に言えば、「かなり高価で、消費電力も多く、その割に性能は伸びない」であった。 それと比べると、RX580はもともとの売価が299ドルとかなり安く、魅力的なモデルであった。 そして非常に大きな理由として、RX Vega56/64はVP9のハードウェアアクセラレーションを持っていなかったが、RX500シリーズには搭載されていた。
当時のRadeonは「ゲームをプレイするのは難しい」という絶望的な状態で、ドライバーソフトウェアの出来も悪かったため、ファン以外は買わない、という状況であった。 だが、Linuxer的には、AMDがRadeonドライバのオープンソース化に踏み切り、Linuxの一部となった進展が大きく、実際に品質もよかった。APUのほうでこの状況改善に助けられたこともあり、またNvidiaのドライバーがひどい状態であったため、Radeon購入に踏み切った。
RX580の性能は「期待には大きく届かない」というレベルであった。この時代のRadeonはそういうものかもしれない。 だが、デスクトップ利用においては問題なく、4kディスプレイへの出力という本来の目的も達した。
その後、RX5000シリーズでRadeonは飛躍する。 Ryzen7 3700Xと、RX5700XTの組み合わせは、間違いなく新世代を感じさせる優れたワットパフォーマンスを発揮した。 この組み合わせが私の「新世代のPC」として、P720に代えてメインとなった。
その後、寝室のPCにP720を置いておくのは無理だと感じた私は、3700X+5700XTのマシンを寝室をおろすため、メインとして新たに5950Xマシンを投入した。これが冒頭の「最強」をめざした ものになる。 しかし、ビデオカードは購入できず、デスクトップ利用では問題ないことから、ゲームをしないワークルーム用の「つなぎの」ビデオカードとしてRX580を採用した。
RX580の受難
だが悲しいかな、購入した時期にRX580のVP9サポートは削除されてしまう。
RX580を購入した当時はH.264/HEVCが全盛であったため、そこまで重大だとは考えていなかった。 だが、YouTubeがVP9に切り替え、世の中が少しずつVP9に切り替わったことで、VP9の支援がないことはPCのパフォーマンスに大きな影を落としていた。
5950Xマシンを組んだときにはVP9は不可欠な要件であった。 5950Xマシン自体、計算力を求めた最大の要因はlibvpx-vp9を使ったVP9へのエンコードであり、一方そのようにしてエンコードした動画は、5950XのCPUパフォーマンスを以てしても再生できない。
結果、メインPCはほとんど動画を再生することができないものになった。 YouTubeを見ててもパフォーマンスへの影響はそこそこ気になる。
さらに、4kディスプレイ3台を採用するメインPCにおいて、RX580のパフォーマンスは明らかに不足しており、ウィンドウ操作はかなりもっさりして、場合によっては表示がおかしくなる。 また、fractional scalingしてしまうとさらに問題は多くなる。
デスクトップとして使えなくはないのだが、5950Xを採用しているとはとても思えないほどのエクスペリエンスの悪さであり、制約もいろいろある。 これが私をワークルームから遠ざける一因でもあった。
椅子の一件(この記事よりあとに詳しい話を出すかもしれない)によってもっと多くの時間をワークルームで過ごす必要性を感じた私は、このメインPCへのテコ入れが必要であると認識した。 なんならメインPCを更新してもいいのだが、コストがかかりすぎる割に、必要性が薄い。
5年以上を支えたRX580退役の時だ。
RX7900XTX
現在のAMD Radeonのラインナップは、去年の12月に最新のRX7000シリーズであるRX7900XT/RX7900XTXがデビューした。
前モデルであるRX6600からRX6900までの4モデルのうち、RX6800XTを除く3モデルはクロックアップモデルとしてRX6650XT, RX6750XT, RX6950XTが登場している。 またこのほかに、RX6500XTがあり、さらにXTのつかないRX6600, RX6700, RX6800とRX6400があるため、
- RX7900XTX
- RX7900XT
- RX6950XT
- RX6900XT
- RX6800XT
- RX6800
- RX6750XT
- RX6700XT
- RX6700
- RX6650XT
- RX6600XT
- RX6600
- RX6500XT
- RX6400
の計14モデルとなる(既に在庫のみとなっているモデルもある)。
見方を変えると、最新世代であるRX7000シリーズはまだハイエンドモデルを出したばかりの状態で、普及価格帯のモデルがない。 RX6800が8万円程度、RX6900XTが10万円程度、RX7900XTが13万円程度、RX7900XTXが17万円程度と前モデルの価格が落ちてきていることで割と差もある。
私の使い方から見ればRX7700XT、あるいはRX7800XTあたりがほしいところではあるし、性能だけの話ならRX6900XT、もしくはRX6950XTを購入すれば良いだろう。 だが、RX7000シリーズはAV1のハードウェアアクセラレーションを持っている。 ビデオフォーマットに対応するかどうかは、近年そのビデオカードをどこまで使い続けられるかを分ける部分になっているので、RX6000シリーズには手を出しにくい。
また、RX7800XT以下のモデルは、割と性能の伸び幅を期待できないという噂がある。 6000シリーズよりは良くなるが、GeForceに匹敵するほどではないというのだ。
さらに、ゲームでの要求性能も高くなってきており、RX7900XTXといえども余裕というわけではない。 というよりも、RX7900XTXのターゲットモデルはGeForceのハイエンドモデル4090ではなく、その下の4080である。 もちろん、4090はやりすぎなモンスターであり、ハイエンドモデルを4080をターゲットにしてくることは正しいと思うが、ゲーム側は4090が存在する以上、「4090でプレイするようなゲーム」を出してくる。
私がゲームをするようになったのは、5700XTを購入したときよりも「後」なので、そのときはゲームをターゲットに考えることはなかった。 だが、最近はゲームもするので、気になったゲームがあったときにビデオカードを理由に快適にプレイできないのは不満が募るだろう。
強力なビデオカードは大容量の電源を要求するため、転用しづらくなるが、パフォーマンスに余裕があり、ビデオアクセラレータに満足できるなら、長く使うことができる。この点はかなり重要だと考えるし、結局7700XTを購入して不満になるくらいであれば、文句が出ないよう頂点であるRX7900XTXにしようというわけだ。
パフォーマンス
まずはスペックに目を向けよう。
私が購入したのはASUS Radeon RX 7900 XTX 24GB GDDR6というモデルで、これはいわゆる「リファレンスカード」と呼ばれるもの。 つまり、AMDが全体を作って提供しているものであり、ASUSはパッケージングして売っているだけというものだ。
PCI Express 4.0 16x接続で、OpenGL 4.6に対応する。 最大解像度は8kで、出力端子はDP2.1が2つ、HDMI 2.1が1つ、USB Type-Cが1つである。DPのバージョンが新しいのはRadeonの強みか。
24GBという膨大なビデオメモリを搭載し、メモリスピードは20Gbps。 サイズは287x123.2x51.25mmと意外とコンパクト。専有スロットは2.56スロットで、余裕のあるケースならば干渉は気にならない。 参考までに私が使っているSAPPHIRE NITRO+ RX 5700 XT 8G GDDR6は306x135x49mmで、だいたい同じか、RX5700XTのほうが大きいくらい。 意外なほどコンパクトだが、重量はかなりあり、サポートがないとちょっと不安になるかもしれない。
TBP目安は355W。RX5700XTが消費電力265Wなので、+100Wだが、GeForceに慣れた感覚からすれば意外と大きな差ではない。 (RX6950XTは335Wだった)
参考までに私の手持ちのSAPPHGIRE NITRO RX 580 8G G5, SAPPHIRE NITRO+ RX 5700 XT 8G GDDR6, ASUS Radeon RX 7900 XTX 24GB GDDR6を比較してみよう。 もっとも同じ項目をもっているものが少なく、比較しづらいのだが。
項目 | RX580 | RX5700XT | RX7900XTX |
---|---|---|---|
プロセスルール | 5nm/6nm | 7nm | 14nm |
最大クロック | 2500MHz | 2010MHz | 1411MHz |
メモリサイズ | 24GB | 8GB | 8GB |
ストリームプロセッサ | 6144 | 2560 | 2304 |
インターフェイス | PCIe4 | PCIe4 | PCIe3 |
画面数最大 | 4 | 4 | 5 |
解像度最大 | 8k | 5k | 5k |
出力端子 | DP2, HDMI1, C1 | DP2, HDMI2 | DP2, HDMI2, DVI1 |
H.264 | Enc | Enc | Enc |
HEVC | Enc | Enc | Enc |
VP8 | Enc | Enc | |
VP9 | Enc | Enc | |
AV1 | Enc | ||
寸法 | 287x123.2x51.25 | 306x135x49 | 260x135x43 |
電力目安 | 346W | 265W | 235W |
推奨PSU | 800W | 650W | 500W |
まず、Linuxデスクトップ利用から。
なんの問題もなく動作し、非常にすぐれたパフォーマンスを発揮する。 今までのように何らかの問題を発生することがなく、非常にスムーズに動作する。何も問題が起きないので絶賛することができないが、これがまぁまぁハードルが高い。 ただし、割と新し目のカーネルでないとXは出ないので、インストールに困るディストリビューションはそれなりにあるだろう。ManjaroもCommunity Edition Cinnamonはグラフィカルスクリーンは起動できない。
次にWindowsゲーム。
原神は、オーバーサンプリング1.2, 異方向サンプリングx8, アンチエイリアス FSR2.1で、4k最高画質にした状態でプレイすると、GPU利用率60%程度で60FPSを維持できる。4k 120FPSはきつそうだが、現状の最高設定に耐える。
その他のゲームはGGSTやMuse Dash, SoulWorker, Vindictusなど原神より重いゲームはないため、特に計測はしていない。 (そもそもRX7900XTXを導入したPCはゲーム用ではなく、音楽制作用なのでそんなに色々なゲームを入れてもいない。)
続いてLinuxゲーム。
見た目の割にかなり重いBallisticNGだが、Harpstoneはトンネルを抜けたところが初回は処理落ちするという問題があった。 これが解消された。 ただ、4kにするともっさり感がある。フレームレートは出ているようなので、理由は不明だ。
Flower Knight GirlはHTML5のブラウザゲームである。重いわけではないが、性能が周回速度に反映される。 試した限り、それほど差を感じなかった。
ベンチマーク
A10の頃から使っている定番ベンチマークがUnigine Heavenだ。 相当古いベンチマークだがかなり重く、3700X+5700XTの構成でもまともなスコアも出せていない。
なお、前回5950Xマシンを組んだときはRX580を使っていたためベンチマークを取る意味に乏しく、とっていない。
今回はハードウェア更新もあるが、そもそもカーネルの更新も大きく、システム全体で見たときに性能的にかなり更新されているはずだ。 そこで、今回はRyzen5 5600X + Radeon RX5700XTの組み合わせで改めてベンチマークをとった。
Unigine Heavenは1600x900 8xAA windowed/Extremeでテストした。
Score | 5950X + RX7900XTX | 5600X + RX5700XT | 3700X | P720 (RX580) |
---|---|---|---|---|
FPS | 346.1 | 139.3 | 132.3 | 63.0 |
Score | 8719 | 3509 | 3332 | 1586 |
Min FPS | 108.5 | 16.2 | 17.2 | 8.9 |
Max FPS | 666.0 | 285.5 | 279.1 | 141.6 |
これまでRadeonはシーンの切り替わりで極端にFPSが落ちるという問題があった。 GeForceでは起きない事象だ。 RX7900XTXでもそうしたことは起きないわけではないが、常に起きるわけではなく、改善されたように感じている。 落ち込み幅も減った。
平均で346.1FPS, 幅は108.5-666FPSということで、Unigine Heavenでは計測困難なレベルに達しているようだ。 ちなみに、RX5700XTではだいたい70-95FPS程度で推移しているのだが、フレームレートは出ていてもガクガクしてしまう瞬間があるが、そういったこともなかった。
続いて4GamersのHTML5 Benchmark。 マシンの数が多いので、テーブルの方向を変える。
Machine | Score |
---|---|
5950X + RX7900XTX | 19356 |
5600X + RX5700XT | 19235 |
3700X + RX5700XT | 18793 |
5950X + RX580 | 19061 |
IdeaPad Slim 360 (17) | 17719 |
ThinkStation P720 + P400 | 13746 |
どうもハードウェア性能よりもウィンドウのサイズ、ブラウザ、配置、スケーリングなど細かな要素のほうが影響が大きく、ベンチマークとしてはちゃんと機能していないように見える。
次回以降このベンチマークは行わない。 代わりにWirpleのHTML5 3Dベンチマークを実施した。
Test | 5950X + RX7900XTX | 5600X + RX5700XT | IdeaPad s360 |
---|---|---|---|
Canvas 1 | 1144 | 1010 | 528 |
Canvas 2 | 2053 | 1524 | 1258 |
WebGL 1 | 1172 | 1146 | 628 |
WebGL 2 | 1373 | 1273 | 749 |
Total | 5742 | 4953 | 3163 |
あまり良いベンチマークではないような気がする。
ビデオエンコーディング
Radeonのビデオアクセラレーションは60FPSに届くかどうか、といった感じで、実用性はかなり厳しかった。 この点ではNvidiaの圧勝であったわけだ。 ところが、このRX7900によってNvidiaを上回るビデオアクセラレーションを手に入れたらしい。
こういったことで強く期待を寄せた要素だっだが、現状Linuxではビデオエンコーディングはできない。
vainfo
によると、VA-APIはデコードのみをサポートする。
❯ vainfo
Trying display: wayland
Trying display: x11
vainfo: VA-API version: 1.17 (libva 2.17.1)
vainfo: Driver version: Mesa Gallium driver 23.0.1 for AMD Radeon RX 7900 XTX (gfx1100, LLVM 15.0.7, DRM 3.49, 6.2.8-1-MANJARO)
vainfo: Supported profile and entrypoints
VAProfileJPEGBaseline : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile2 : VAEntrypointVLD
VAProfileAV1Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileNone : VAEntrypointVideoProc
vdpauinfo
によると、VDPAUはサポートされない。
display: :0 screen: 0
API version: 1
Information string: G3DVL VDPAU Driver Shared Library version 1.0
Video surface:
name width height types
-------------------------------------------
420 16384 16384 NV12 YV12
422 16384 16384 UYVY YUYV
444 16384 16384 Y8U8V8A8 V8U8Y8A8
420_16 16384 16384
422_16 16384 16384
444_16 16384 16384
Decoder capabilities:
name level macbs width height
----------------------------------------------------
MPEG1 --- not supported ---
MPEG2_SIMPLE --- not supported ---
MPEG2_MAIN --- not supported ---
H264_BASELINE --- not supported ---
H264_MAIN --- not supported ---
H264_HIGH --- not supported ---
VC1_SIMPLE --- not supported ---
VC1_MAIN --- not supported ---
VC1_ADVANCED --- not supported ---
MPEG4_PART2_SP --- not supported ---
MPEG4_PART2_ASP --- not supported ---
DIVX4_QMOBILE --- not supported ---
DIVX4_MOBILE --- not supported ---
DIVX4_HOME_THEATER --- not supported ---
DIVX4_HD_1080P --- not supported ---
DIVX5_QMOBILE --- not supported ---
DIVX5_MOBILE --- not supported ---
DIVX5_HOME_THEATER --- not supported ---
DIVX5_HD_1080P --- not supported ---
H264_CONSTRAINED_BASELINE --- not supported ---
H264_EXTENDED --- not supported ---
H264_PROGRESSIVE_HIGH --- not supported ---
H264_CONSTRAINED_HIGH --- not supported ---
H264_HIGH_444_PREDICTIVE --- not supported ---
VP9_PROFILE_0 --- not supported ---
VP9_PROFILE_1 --- not supported ---
VP9_PROFILE_2 --- not supported ---
VP9_PROFILE_3 --- not supported ---
HEVC_MAIN --- not supported ---
HEVC_MAIN_10 --- not supported ---
HEVC_MAIN_STILL --- not supported ---
HEVC_MAIN_12 --- not supported ---
HEVC_MAIN_444 --- not supported ---
HEVC_MAIN_444_10 --- not supported ---
HEVC_MAIN_444_12 --- not supported ---
AV1_MAIN --- not supported ---
AV1_HIGH --- not supported ---
AV1_PROFESSIONAL --- not supported ---
Output surface:
name width height nat types
----------------------------------------------------
B8G8R8A8 16384 16384 y NV12 YV12 UYVY YUYV Y8U8V8A8 V8U8Y8A8 P010 P016 A8I8 I8A8
R8G8B8A8 16384 16384 y NV12 YV12 UYVY YUYV Y8U8V8A8 V8U8Y8A8 P010 P016 A8I8 I8A8
R10G10B10A2 16384 16384 y NV12 YV12 UYVY YUYV Y8U8V8A8 V8U8Y8A8 P010 P016 A8I8 I8A8
B10G10R10A2 16384 16384 y NV12 YV12 UYVY YUYV Y8U8V8A8 V8U8Y8A8 P010 P016 A8I8 I8A8
Bitmap surface:
name width height
------------------------------
B8G8R8A8 16384 16384
R8G8B8A8 16384 16384
R10G10B10A2 16384 16384
B10G10R10A2 16384 16384
A8 16384 16384
Video mixer:
feature name sup
------------------------------------
DEINTERLACE_TEMPORAL y
DEINTERLACE_TEMPORAL_SPATIAL -
INVERSE_TELECINE -
NOISE_REDUCTION y
SHARPNESS y
LUMA_KEY y
HIGH QUALITY SCALING - L1 y
HIGH QUALITY SCALING - L2 -
HIGH QUALITY SCALING - L3 -
HIGH QUALITY SCALING - L4 -
HIGH QUALITY SCALING - L5 -
HIGH QUALITY SCALING - L6 -
HIGH QUALITY SCALING - L7 -
HIGH QUALITY SCALING - L8 -
HIGH QUALITY SCALING - L9 -
parameter name sup min max
-----------------------------------------------------
VIDEO_SURFACE_WIDTH y 48 4096
VIDEO_SURFACE_HEIGHT y 48 4096
CHROMA_TYPE y
LAYERS y 0 4
attribute name sup min max
-----------------------------------------------------
BACKGROUND_COLOR y
CSC_MATRIX y
NOISE_REDUCTION_LEVEL y 0.00 1.00
SHARPNESS_LEVEL y -1.00 1.00
LUMA_KEY_MIN_LUMA y
LUMA_KEY_MAX_LUMA y
LLVM ERROR: Scalarization of scalable vectors is not supported.
[1] 5239 IOT instruction (core dumped) vdpauinfo
AMFも(amdgpu-proを再ビルドしても)機能しなかった。
ハードウェアビデオエンコーディングが不可欠な人は、まだ待つ必要がある。
総評
- ゲームパフォーマンスに関しては相応に高い。多くのゲームが問題なく動作し、美しい画面で楽しむことができるだろう
- ウェブブラウザのパフォーマンスとしてはRX580と比べても向上幅が小さい。Vulkanの性能はあまり上がっていない、もしくはウェブブラウザVulkanをそこまで積極的に使っていないのかもしれない
- WebGLのパフォーマンスアップも限定的であるように感じられる。性能は向上しているが、RX5700XTと比べて劇的に上がっているとは感じない。ただしRX580と比べると雲泥の差である
- CinnamonのデスクトップのパフォーマンスはRX580比であれば明らかに改善している。RX5700比でもより余裕があるように感じられる。ビデオメモリ増加とVulkan増強の効果だろうか
- ハードウェアビデオエンコーディングができないのは致命的。いずれ対応はされると思うが、Linuxユーザーは様子見すべきかもしれない
追記: VA-APIについて
mesaをビルドし直してH.264/HEVCサポートを有効にしたところ、vainfo
の結果は次のようになった。
Trying display: wayland
Trying display: x11
error: can't connect to X server!
Trying display: drm
vainfo: VA-API version: 1.17 (libva 2.17.1)
vainfo: Driver version: Mesa Gallium driver 23.0.1 for AMD Radeon RX 7900 XTX (gfx1100, LLVM 15.0.7, DRM 3.52, 6.3.0-1-MANJARO)
vainfo: Supported profile and entrypoints
VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointVLD
VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointEncSlice
VAProfileH264Main : VAEntrypointVLD
VAProfileH264Main : VAEntrypointEncSlice
VAProfileH264High : VAEntrypointVLD
VAProfileH264High : VAEntrypointEncSlice
VAProfileHEVCMain : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain : VAEntrypointEncSlice
VAProfileHEVCMain10 : VAEntrypointVLD
VAProfileHEVCMain10 : VAEntrypointEncSlice
VAProfileJPEGBaseline : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileVP9Profile2 : VAEntrypointVLD
VAProfileAV1Profile0 : VAEntrypointVLD
VAProfileNone : VAEntrypointVideoProc
このことから、現状ではAMFではH.264もサポートさておらず、Vulkan/AMFでエンコードすることはできない。 また、もともとRadeonではVA-APIでのVP9エンコーディングはサポートされていないが、VA-APIではH.264およびHEVCでのエンコードがサポートされている。
サポートされる予定があるのかどうかも不明だが、現状では動作しない。
つまり、まとめるとこうなる。
API | Codec | 状態 | 説明 |
---|---|---|---|
VA-API | H.264 | yes | mesaのデフォルトでは無効 |
VA-API | HEVC | yes | mesaのデフォルトでは無効 |
VA-API | VP9 | no | Radeonではサポートされていない |
VA-API | AV1 | no | 予定は不明 |
AMF | H.264 | no | 従来のカードではサポートされていた |
AMF | HEVC | no | APIは存在するが、Linuxではサポートされていない |
AMF | VP9 | no | APIとしても存在しない |
AMF | AV1 | no | APIは存在するが、現状Linuxでは動かない |
検索するとVP9エンコーディングに対応しているという記載も見えるが、GalliumでもAMFでもVP9のAPIは用意されていないのだから、RadeonはそもそもVP9エンコーディングに対応していないと解釈するのが正しいのではないだろうか(公式でも記載はない)。
一方、AV1に関してAMFにAPIが用意されており、Widnowsドライバーが対応しているのであればAV1エンコーディングは可能だろう。
LinuxでAV1エンコーディングに対応していないのは2通りの解釈がある。
- Linux上でのVulkan/AMFは引き続きH.264のみサポートする予定で、サポートされない
- (H.264のVulkan/AMFサポートが無効であるように)ドライバーが未完成なだけで、いずれサポートされる
いずれにせよ、ストリーミングやスクリーンキャストにおいては今は無理でも、いずれはH.264, Vulkan/AMFで実現可能になるだろう。 それまでの間は、mesaをH.264/HEVCサポートを有効にしてビルドするという(かなり大きな)手間は必要になるが、VA-APIを使っていくことになる。
だが、ご存知の方も多いのではないだろうか。 Radeonのハードウェアエンコーディングサポートは貧弱であり、実用ギリギリのラインにある。 そして、VA-APIを使ったエンコーディングはAMFを直接使うのと比べて遅い。 このため、RX5700XTだとFHD/60FPSは結構ギリギリで、4k/60FPSは無理である。
ところが、RX7900XTXはエンコード速度自体が爆速化したため、VA-APIでも十分対応できるレベルになっている。 試しに動画の変換をしてみたところ、HEVC-HEVCで180FPS, HEVC-AVCで160FPS, AVC-AVCまたはAVC-HEVCで170FPS程度であり、スクリーンキャスティングには十分だろう。
実際に試したところ、4kスクリーンキャスティングで60FPSは楽勝であり、最大値は195FPS、ただし上限に近くなるとドロップが目立つこともあるので、165FPSでもやや怪しく、120FPSは楽勝といったところであった。 4k2画面の60FPSキャストも可能であり、実用上は合格だろう。
とはいえ、現状ではせめてH.264だけでも早くAMFでサポートされることを期待したい。