Chienomi

ガラケー(フィーチャーフォン)が生産終了

論点

日経新聞の報道によって、フィーチャーフォンが生産を終了しAndroidに一本化するということでネットがざわめいている。

今回はこの問題について掘ろうと思う。

日本のケータイはITRONの時代が長かった。 2GまではだいたいがITRONだったからだ。一番大きいのは、docomoのmovaがmTRONだったことだろう。

3Gのフィーチャーフォンは、より汎用性が高いという理由でSymbian OSとなっている。

NECとPanasonicはLinuxベースの独自OSだった。 昔もSymbian OSのケータイは存在していたし、百花繚乱の感がある。

ここで「ガラケーを終了し、ガラケー型のスマホ「ガラスマ」に移行する」という説明に無理があることがわかる。

スマートフォンの定義は何か。 ガラケーの定義は何か。

今までフィーチャーフォンであれ、eLinuxを積極的に使ってきたのである。そして、OSも固定ではなかったし、一方で独自開発という前提があったわけでもない。 その意味では、I-TRONからSymbian OSへの移行同様のことだとみなしてもよい。

問題は次の二点だ。

  • フィジカルキーは残るのか
  • Androidに集約される

それぞれ述べる。

問題点

フィジカルキー

人々の意識の中でスマホとガラケーを隔てるものはフィジカルキーの有無ではなかろうか。

実際、Androidはフィジカルキーを当初想定していなかったし、そのためにSHARPは中国市場にAndroidベースのOSで「ガラケー風」のスマホ(ここでいうガラスマ)を提供するためにAndroidにかなり手を加えたという。

現在はAndroidはフィジカルテンキーをサポートするが、それでもタッチ主体の思想であり、フィジカルキーのサポートはかなり乏しい。

そのため、物理キーボードに関してはかなり制限される。

かつて私が使っていたW21S(Sony Ericson)はジョグダイアルを採用、さらにPOBoxの非常にアグレッシヴな予測変換により、PC並の入力速度を手に入れていた(ほとんどテンキー入力が不要なレベルで、文章の平均タイプ文字数は3だった)。

指をなぞるだけで大抵の打ちたいないように届く。今のAndroid(Mozc)の変換よりもはるかに精度が高く、一覧性もいいため予測変換が非常に使いやすかった。

こうしたハードウェア的な柔軟性がAndroidはあまりない。 構造的にできないのではなく、その仕組みがないだけなので、手を入れれば将来的には可能だが。

また、世の中にはiPhoneからはじまったタッチ信仰があるため、フィジカルキー付きのケータイをバカにする傾向はかなり強い。

とはいえフィジカルキーにこだわる人は多いので、このあたりはある程度は対処されるだろう。 だが、ジョグダイアルの復活はほぼ望めなくなったと言っていい。

Android

Androidは原則、Googleアカウントとの紐付けを要求する。と同時に、その登録時にはGoogleが個人情報を収集し、利用することに同意するよう迫る。

これはAndroidを素の状態で使うとよくわかる。 一方、Androidがプリインストールされているスマホはその手順がないため、紐付けられない状態で利用可能だ。

だが、その状態でもGoogleアカウントでなく携帯電話のIDで送信されているだけだ。そのアクセスを停止するとまともに機能しない。

そして、Playストアを利用しようとするとGmailを登録しろと言われる。この時点で紐付け完了だ。 最近は、支払い方法を選択する必要があります、や電話番号を登録する必要があります、などといってさらなる情報を提供させる。 スキップ可能なのだから、かなり悪質だと思う。

それに対して、基本的に「したことしかしない」フィーチャーフォンの安心感は非常に強い。

また、近年は改善が進んでいるようだが、リアルタイム性の高いケータイメールが使えないのは、私にとっては決定的だ。 (私のスマホは使えるが、彼女のものは古いために使えないようだ)

この、「ケータイとしての利便性に劣る」「プライバシーの管理ができない」という点でAndroidへの集中は非常に困る。

「ガラスマ」

SHARPは先に、「ガラホ」を名乗るAQUOS K SHF31をリリースした。

「Androidのガラケー」である。

Androidでありながら、Googleアカウントに対応しない(だからストアも使えない)。 しかも、通じようであればその設定が制限される次元でメーカー側がアプリの動作を厳しく制限することで、意図しないバックグラウンド通信を制約している。

まずこの点で、プライバシーの観点から見て、まさにガラケーである。

さらに、タッチに対応しない、フィジカルテンキー付きの、まさにガラケーの外観をしている。

Androidの使い勝手のため、キーパッド全体をタッチパッドとして使えるという工夫があり、Androidブラウザを使用するが、それはフィーチャーフォンとしての進化の範疇だろう。

使い勝手の面でも、キーはフィーチャーフォンらしい仕様となっている。おそらくは、ショートカットキーの動作も作りこまれて、「フィーチャーフォンの使い心地」そのものなのだろう。

このように「真面目に作りこんだガラスマ」がいかに出てくるかによって、それは被害なのか進化なのかがわかれることになりそうだ。