Chienomi

メッセージングサービスとしてのiMessageを評価

Live With Linux::software

Mimir Yokohamaの記事、LINEよりもっといいアプリを考えてみませんかに対するリアクションでiMessageを推す声があったので、少し検証してみた。

結論

無理。

iMessageはAppleのメッセージングサービス/アプリである。

もちろん、それだけの話、つまりAppleプラットフォーム向けに展開されており、Appleアカウントが必要、というくらいの話であれば、Google ChatやSkypeと大差なく、何も問題ないのだが、問題はiMessage自体がクローズドなプロトコルであり、サービスとしてもアプリとしてもクローズドで交換性がないということだ。

基本的な部分として、LINEやKakao Talkのように、クローズドプラットフォームなメッセージングサービスの場合、サービスの利用自体が(基本的には)プラットフォーマーによってコントロールされる。 これはかなり普通のことで、DiscordやSlackの場合はオープンな交換性を持つが、それが一般的なわけではない。 そのため、それ自体が大きな問題なわけではないのだが、メッセージングサービスとして見るとAppleがAppleユーザーの専用サービスとしているため、Appleユーザーしか参加できず、またAppleデバイスから脱退できないのである。

手段がないわけではない。 BlueBubblesというクロスプラットフォームの非公式アプリが存在してる。 だが、FireBaseにプロジェクトを構築する必要があり、ハードルは非常に高い。

根本的な話

当該記事ではLINEの代替物という視点で話している。

親しい特定の人とのやりとりということであればむしろ「なんでもいい」のだが、「代替として何が良いか」を論じる必要はあまりなく、もっと広く選択肢がある。

当該記事の場合、LINEのように幅広く、デフォルトのコミュニケーションツールとして使える代替物という話である。 この場合重要な話として

  • 幅広い環境で利用可能で
  • 利用のハードルが低い

が中核的な評価で、その他

  • 機能性
  • 使いやすさ
  • セキュリティ
  • プライバシー保護

などが重要な指標になる。

iMessageはiPhoneユーザーであれば敷居は低いかもしれないが、「みんなiPhoneを使っている」は視野狭窄な話である。 極めてローカルな話で良いのであれば選択するのはもちろん問題ないだろうが、それを私の立場で人に推奨するようなことは決してできない。

セキュリティとプライバシーという面では公式に説明がある。 これに十分満足するかは難しいところであるが、少なくとも普通のレベルでは信頼して良いE2EEである。

使いやすさや機能性については、使えなかった以上評価できない。 これもまた重要な点である。自分でちゃんと評価できなかったものを紹介したい推奨したりはできない。

つまり、そもそも記事にするにあたり

  1. 中核的評価によって検討対象として要求を満たすことを認める
  2. 実際に利用し、また調査することで主要項目を検証する
  3. 検証結果を踏まえて記事への記載を判断する

という手順であり、中核的要件を満たさないメディアはその時点で推薦されず、また検証もされない。 もしそうしないのであれば、もっと広い選択肢が存在する。 例えばUnix伝統のtalk(1)でもいいわけだ。

こうしたことから、iMessageは「記事で解説・推奨できるようなものではない」ということである。