Vivladi 4.0 メール, カレンダー, フィード機能をレビュー
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序
順調な船出とは言えなかったVivaldiも、とうとうバージョン4。
Google ChromeやFirefoxのようにポンポンとバージョンを上げるスタイルではないため、確かな変化を感じられる。 出発点だったOperaも今はだいぶChromiumとの差別化が進んでいるが、旧Operaの方向性ではなく、どうも馴染めないという人も多いだろう。
Vivladiはだいぶカスタマイズ性を上げており、好みのブラウザに仕立てやすくなっている。 今や唯一といっていい、デザインをカスタマイズ可能なブラウザでもある。 (ハードルはだいぶ高いが。)
そのVivaldi 4でついにメール機能が入った。 Opera Mailを愛用していた人は多いだろうし、これは待望の機能と言えるのではないだろうか。
また、カレンダー機能と、Firefoxからもドロップしてしまったフィードリーダーが今更入った。
基本的にはVivladiのコミュニティにある機能からブラウザへ拡張されたような形だが、その内容を見ていこう。
なお、前提としてこれらの機能は「パネル+ページ」として使われる。 機能自体はパネルに入っており、サイドバーからいつでも呼び出せる(メールなら、メールボックス一覧が出る)が、開くときはそれがブラウザタブとして開かれる。 この機能を開いている状態でもパネルを閉じたり、他のパネルを表示することはできる。
メール
メールは左右2ペインで、パネルを含めて横3ペインレイアウトになる。 このレイアウトは変更可能だ。
サマリーのスレッドツリー表示も切り替えることができる。
特徴としては、統合フォルダがあることと、メーリングリストを自動分類してくれる機能があることが挙げられる。
また、フィード機能もメールに含まれるようになっている。
しかし、残念ながら メール機能は実用的なレベルにはない。
最大の問題は「メールアドレスを変更できない」ということである。 設定時にメールアドレスを入力するが、サーバー情報や差出人情報は書けてもメールアドレスは書けない。 差出人情報はメールアドレスを含めて書くことができない。つまり、メールアドレスは最初に入力したので固定で、誤字の修正すらできない。
また、受信メールサーバーはSSL以外選択できない。 StartTLSすら選択できず、ポートの指定もできないため、利用できないメールサーバーがそれなりにあるものと思われる。 送信に関してはSSL/StartTLSは指定可能で、ポートも指定可能。ただし、平文は不可となっている。 (これはそれなりに妥当である。)
メール自体はマークアップしなければplainで送られる。マークアップを封じることはできない。
メールはHTMLに対応しており、 外部コンテンツは自動読み込みしない。 これは素晴らしい点だ。その一度の許可と、常に許可の処理が可能である。 外部コンテンツを常に自動で読み込む仕様だと、受動的にウェブページへのアクセスをさせられるようなものなので、悪意あるメールでひどいことになる。 というか、最近の配信メールは大抵トラッカーを含んだ悪意あるメールなので、アクセスする意図がないのに表示するともう好き放題である。
が、問題として テキスト情報を表示する機能はない というのがある。 このユニクロのメールも全く情報がないため、表示するかしないかの判断材料がない。
差出人などがリンクになっており、これを用いて素早くフィルタすることができる。 この機能はかなり強力で、利便性は高い。
致命的なポイントとして、送信者は書けない。
From
は差出人を書かなければメールアドレスのみ、書けば名前付きになるが、アカウントに紐付けられているため、変更することはできない。
さらに、Fromを編集することもできないので、拡張メールアドレスを始め、名前を適宜変えたい場合にすら適応しない。アカウントは常にIMAP/POPのどちらかを選択しなければならないため、受信アドレスのないメールアカウントとして逃げる方法もなく、非常に不便。
ちなみに、私が愛用しているAndroidメーラーのAquaMailは任意の差出人を選択できるようになっており、これはKMailなどモダンなメーラーでは割と普通にある機能だ。Claws
Mailにはこの機能がないが、SMTP
onlyが選択できるほか、そもそも差出人欄は編集可能である。Sylpheedは編集はできないが、SMTP
onlyが選択可能。 Claws
Mailの仕様ですら時代遅れで不便だと思っているのだが。
また、PGPには対応していない。メーリングリストに対して支援機能があるのにPGPには対応していない、これはなかなかイマイチだ。一般には馴染みがないかもしれないが、開発者のメーリングリストはだいたいPGP署名がある。さらにS/MIMEにも対応していない。これはセキュリティ的にもなかなかまずそうだ。 Vivaldiはブラウザなので、リンクを踏むと即座にページを開く。なおかつ、常にHTMLメールとしてレンダリングした状態で表示するから、リンクのアドレスを確認するのが難しい。というか、「ステータスバーを隠す」にしていると普通確認できない。 銀行を装ったフィッシングメールとかにとても弱い。これはまずい。
送信メールのTo
値は自動的に「連絡先」に追加される仕様。
フィード
そもそもまず、Vivladiはフィードに対応している。 Chienomiだとこんな感じになる。
ここに購読ボタンがあり、ここからでもフィードに取り込めるようになっている。
フィード機能はメールと似ているが、少し違う。 Thunderbirdのフィード機能よりもだいぶ使いやすい。 この画面では本文がないが、そもそもChienomiは本文がない仕様なので、これで合っている。
フィードリーダーは絶滅危惧種なので、今もフィードを利用している人がいればだが、かなり有力な選択肢だろう。
ちなみに、Chienomiも一時期フィードはなくしていたのだが、要望があったので復活している。
カレンダー
カレンダーはVivladiのカレンダーと同じような仕様。
ただし、Vivaldiに縛られているわけではなく、
- ローカル
- Vivladi.net
- Google.com
- calDAV
- ウェブカレンダー
が選択できるようになっている。 …ウェブカレンダーってなんだろう?iCalだろうか…? (iCalのURIスキームはWebcalという名前になっている)
カレンダーのビューは日・週・予定の3つで、「月がない」と思ってしまうが、実はカレンダーを右クリックして「開く」すれば「日・週・複数の週・月・年・予定」の表示になる。
ちなみに、URLはvivaldi://calendar
である。
レスポンスがかなりよく、操作性も良いため、カレンダーアプリとして優秀なフィーリングとなっている。 予定の追加がしやすいのもポイント。
ただし難点
- カレンダーごとに色をつけることができるが、予定表示上は年間カレンダーにのみ反映され、実用性はまったくない
- 相対的な話になるが、Thunderbirdにあるタグ付け機能がない。
- なぜかGoogleのiCalが使えない
色がつかないのはかなり問題。 わざわざ予定タイプを分けることで把握しているので、並列表示になると見落としやすい。
こちらも実用まであと一歩という感じか。 GoogleのiCalと色分けは必須なので、今すぐには実用にはならない。
バックアップとセキュリティ
プロファイル内にアカウント情報が保存されており、プロファイルをコピーすればそのままアクセスできる。
バックアップは楽だが、ファイルシステムを暗号化していない場合は気をつけなければならない仕様。
in snapshot
- メールパネルとフィードがパネルに表示されなくなり、利用不可に
(
vivladi://mail
も表示されない) - メールサーバーの設定編集もできなくなっている。さらにメールの設定が消えてしまうことがあった
- カレンダーの色分けは追加されたが、iCalに関しては設定が保存できない
- GoogleのiCalは相変わらず追加できない
結論
- カレンダーとフィードはかなり優秀。 Thunderbirdから乗り換える価値は十分にあり
- メールは論外。 ただ、問題点を開発チームが認識しているのなら良いものになる素質はありそう