2021年版 Linuxデスクトップエクスペリエンス重視のデスクトップコンピュータ構成
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序
何度か書いているLinuxのコンピュータ構成だが、最近(特にZen2以降)デスクトップコンピュータの構成のあり方が大きく変わってきているので、それに合わせたものを書こうと思う。
今回は、Ryzenプロセッサを採用する自作デスクトップを前提とする。 Intelプロセッサを除外するのは、現行Intelプロセッサが最新の構成を取れないためだ。
最新デスクトップ構成は次のようなものになっている。
- ストレージはM.2のPCIeスロットがPCIe Gen.4とPCIe Gen.3となり、実効SATAポートは4〜6というのが一般的。このPCIeストレージはRyzenの仕様で、X570はPCIe 4.0が1つ追加
- ケースは2.5インチのベイが2つということが多い
- プロセッサは4C8Tは最低限で、8C16Tで真ん中。Threadripperなら24/32/64Cと多コアも選択可能
- AES-NIは入っていて当然。AVX512はなくとも力押しで勝る
- ビデオカードは性能がかなり上がってきている。ビデオアクセラレーションはAV1のデコードのみ対応が最新。H.264, H.265, VP8, VP9はエンコードも含めて対応するのが普通
話の主題はストレージである。
ストレージ
PCIeストレージが2枚挿さるが、PCIe 3.0と4.0で同じではない。
3.0は3400MB/s級、4.0は7000MB/s級のSSDが使える。 普通に考えれば4.0のほうにシステムストレージを置くことだが、実際のところエクスペリエンスを上げるポイントは、ルートファイルシステムのストレージが使われるタイミングを限定することだ。
そして最近の使い方で負担が大きい(ランダムアクセスが多い)のはキャッシュ、特にブラウザのキャッシュであるため、これを分離したほうが良く、さらにユーザーデータがこれにも干渉しないようにしたほうが良い。
また、3400MB/s級のディスクも256GBディスクはそこまで速くなく、512GBからが速いことが多いが、使われ方が限定されるルートファイルシステムのディスクで512GBも必要ないのでよりPCI4.0で大きなディスクを.cache
などに当てるほうが良い。
もちろん、別の考え方として、複数環境があるのであれば、それぞれのディスクを2つのパーティションにして役割を交差させることもできるが、環境を2つ持つメリットはあまりない。
速度と要求される機能まで考えると
- PCIe 3.0 - EXT4 -
/
- PCIe 4.0 - EXT4 -
/var/cache
,~/.cache
- SATA SSD - F2FS - DOWNLOADSフォルダ, ユーザーデータ (ローカルキャッシュ)
- HDD or ネットワークストレージ - ユーザーデータ (ユーザーデータ)
が良いだろう。
LUKSを使う場合も、EXT4は文句なしの選択だが、F2FSについては考えるべき余地がある。 LUKS環境下でも依然としてF2FSは高速だが、F2FSの特性は活かされないのかもしれない。そもそもLUKS環境下では通常discardできないので、F2FSの良さはだいぶ死んでしまう。
基本的にディスクを直接マウントするのではなく、マウントポイントを用意しておいて、bindするのが良い。
SATA
SSDを/home
にするのも有効そうに見えるが、実際は結構面倒なので、SATAディスクはあくまでユーザーデータ置きと考え、ブラウザがシーケンシャルライトを行うDOWNLOADSフォルダを分けるのが良い。
プロセッサ
今でもRyzen7 Pro 4750Gは魅力的だが、ビデオカードの性能はエクスペリエンスに非常に大きく寄与するため、エクスペリエンスを重視するならビデオカードをそれなりに盛り、それに合わせてプロセッサもより高性能にするのが良いだろう。 (プロセッサの性能をさらに高めることはエクスペリエンスにはあまり寄与しないが)
人気の5900Xは非常に魅力的なプロセッサである。 5950Xがあまり選択されないのは単に入荷がないからだろうか。
現行のRyzenはpowersave governerがものすごくよく効くのが、可能なら5950Xが良い。
ビデオカード
依然としてXのディスプレイ描画周りにNvidiaドライバは問題があるため、LinuxではAMDが良いだろう(headlessの場合はNvidiaのほうが良い)。
4k2枚くらいまでなら6700XTで十分。8kだと6900XTでもどうだろうか。
ビデオメモリは4k1枚あたり2GB(FHD 1枚で512MB)あれば大体大丈夫だ。 ただし、WebGLを使いまくる場合など足りなくなることはある。
OS
Linux自体の安定性はだいぶ下がったが、新しいドライバが要求されることが増え、新しいハードウェアの適合を考えるとLinuxにだいぶ利がある。
ディストリビューションは今なおManjaroが良い。 まれにArchlinuxが良いと思うこともあるが、ドライバやカーネル周りの利便性でManjaroが優れている。