悩みに悩んでThinkPad X1 Carbon 2017買いました
ハードウェア
- TOP
- Old Archives
- 悩みに悩んでThinkPad X1 Carbon 2017買いました
はじめに
この記事はThinkPad X1を買ったテンションの高さを活かして書いたものである。
結構悩んでじっくり調べたり検討したりしたので、そこで集積した知識のおすそ分けということになる。 どちらかといえばある程度わかる人向けで、比較が欲しい人向け。
モバイルラップトップでお悩みの方の一助になればと思っている。
購入を決めたわけ
以前はThinkPad e440を使っていたのだが、とにかく重いのと(2.13kg)、ディスプレイの具合がよろしくない。 仕事上、画面を人に見せることが多いため、ディスプレイの乱れはちょっと許容できない。
そこで、おんぼろな中古のDynabook R731を購入したのだが、これも具合がよくない。 キーボードが死にかけている(特にEnterキーはぐりっと押してやらないと入らない)のと、ヒンジが死んでいる。 HDDが死んで退役しかかったが、HDD換装により不死鳥の如く蘇った。 だが、相変わらずおんぼろであった。 キーボードを交換したところでR731の(というかDynabookの)キーボードは苦痛でしかない。
というか、お客様の前でそこまでぼろいラップトップを出すと不安にさせてしまう。
いい加減買い換えないとなぁ、と実に2年ほど考えていたのだ。
候補
候補に上がっていたのは以下
- Lenovo ThinkPad X1
- Lenovo ThinkPad A275
- Lenovo ThinkPad T470s
- Lenovo ThinkPad X270
- hp Spectre13
- hp Envy13
- hp Elitebook Folio G1
全体的な傾向
ThinkPad
ThinkPadはThinkPadである、というべきかもしれない。
質実剛健で堅牢なつくり、無骨で、ThinkPadに求められるThinkPadらしいこだわりが貫かれている。
残念ながら現在はタッチパッドは常に搭載されているが、それでもトラックポイントは維持されている。独立したボタンと、トラックポイントと組み合わせてスクロール可能なセンターボタン、さらにストロークが深く確かな打ち心地を提供するキーボードなどだ。
キーボードのタッチは独特のものだ。デスクトップでもThinkPadのキーボードを使いたがる人は多い。
hp
まるっこい板と薄さ、そしておしゃれなデザインが特徴だ。
おしゃれラップトップといえばMacBookらしいが、hpはそれに優るとも劣らない。というよりも、Spectre13に関しては絶品だ。
キーボードはキーストロークが短く、固い。 かなり打ちにくいモデルが多いが、SpectreとEnvyに関してはそれなりにミスタッチしづらくなっている。 より固めだからだろうか。
除外理由
ThinkPad X270
Wi-FiはIntelとRealTek混在のようだ。
キーボードがX260とX270で変化した。X270のほうが柔らかくなった。 X260のキーボードのほうが好ましいと思う。 また、右方のキーが小さいのは、多用する私にとってはいまひとつである。
なにより、12.5インチというのは実際に使っていて常に「小さい」と感じるのだが、にも関わらず1.5kg近く携行性が劣るのは残念なところだった。
12.5インチの小ささも気になるし、1.5kgというのは重すぎるため、除外した。バッテリーマイレージも短めだ。 ThinkPadにはキーボードを強く求めているだけに、キーボードが劣るのも受け入れがたかった。
ThinkPad A275
謎の新選択肢A275。 A275自体もそのコンポーネントもとても情報の少ない謎のThinkPadだと言っていい。
ミニマムだと6万円台で購入できる(2017-11-01時点)というのが魅力だが、ミニマム構成だとウェブカメラやフロントバッテリーが含まれない。また、キーボードはバックライトなしだ。 X270のミニマムに近い構成だと7万円弱といったところである。
X270が95000円くらいなのでこの価格差をどう見るかだが、「ものすごく安いわけではないが確かに安い」。
ポップにも不明な点が多く
- バッテリー容量がX270と異なる記載だが、カスタマイズすると同一だとわかる
- A275の筐体は樹脂製となっているが、情報としては(マグネシウムフレームの)X270と同一筐体である
さらに、A10-9700Bというプロセッサがまた謎である。2016-10-24リリースのものなのだが、情報がとにかくない。 AMDのサイトのAPUの情報自体はあるが採用例がこれまでなかったのか、ベンチマーク情報は全くない。 「i3くらいじゃないか?」ということのようだが。
X270と比べるとバッテリーのもちが若干悪いようだ。 それ以外に特に目立った欠点はないどころかむしろX270よりも良いかもしれないほどだが、AMDなので実際に運用するとIntelと比べ妙にストレスフルな状況があるかもしれない。
Wi-FiがRealTekだったのが致命的。 LinuxではRealTek製Wi-Fiチップは非常に不安定で、E440でさんざん悩まされていた。
さらに1.5万円ほど安かったら決めていただろう。
ThinkPad T470s
X1とコンセプトが非常に近い、14インチのモバイルラップトップ。 値段的に少し安いのと、メモリモジュールのスロットが1つあるのが魅力だ。
キーボードの打ち心地が少し劣る、少し重い、少しバッテリー持ちが悪い、
T450sのときはバッテリー交換が可能で、メモリモジュールも挿せるということでX1とは明確に異なる価値があったのだが、T460s以降はX1とコンセプトが接近しすぎて「X1の劣化品」という印象が強くなってしまった。
特に1.3kgを越える重量はかなり魅力を減じている。 価格差の小ささもあり、「T470sならX1」という判断が働いた。
Folio G1
X270と比べキーピッチが均一で使いやすいそうに感じられるのだが、誤打率が非常に高い。 あまりにもうすすぎるからだろうか。
価格的にはX270よりも安く、性能的にも文句はない。 堅牢性も高くデザイン性も良い。
12.5インチというサイズは常に小さく感じられる。だが、970gという軽量さと引き換えならば悪くない。 10万円を切る程度という価格設定もとても魅力的だ。
だが、誤打率の高さが生産性と精神衛生にとても響くのは明らかであったため、除外した。
Envy13
Spectreの下のモデルとして追加されたEnvy13。 Envyよりも上のモデルとしてSpectreを追加してEnvyを廃止していたため、ある意味では正しい並びになった。
おしゃれで高級感はあるが、他のメーカーにもありそうな感じ、 MacBookのほうがおしゃれかもしれない。 Spectreの強烈なアピアランスはない。
Homeキーなどが右側に配置された。 このため右端を前提とした手の位置にしているとBSやEnterはとても間違える。 ただし、キー自体はSpectreよりも深めでよく、USB3.1 Type-Aがあるなど良い点もある。
これもかなり致命的なのだが、Spectreのような特別な魅力がないことと、価格的にはRAM 8GBを選択すると 12万円近くとX1とほぼ変わらない値段になるのが致命的だった。 この場合性能はX1にもSpectreにも接近するため、「若干安い分若干見劣りする」という事態になる。
「やすければ考える」という感じのものであったため、除外した。 1.24kgという重量も理由としては大きい。 95000円のモデルが8GBだったら決めていた可能性が高い。
X1 vs Spectre13
デザインはSpectre13のほうが優れていると思う。 hpはFolioにせよEnvyにせよおしゃれではあるのだが、Spectreはとびきりだと言っていい。
また、Spectreは13.3インチ、X1は14.0インチである。 携行性との兼ね合いでは13.3インチのほうが優れていると思う。 ただし、Spectre13は後部に厚みがあるため、13.3インチにしては小さくない。
ThinkPadのスピーカーは決して良いものではない。 スピーカーをウリにするSpectreは(十分にはなりようがないし、意味もないのかもしれないが)良いものである。
Spectre13のインターフェイスはUSB3.1 Type-Cが3つである。 よく3.1が3つも載ったものだと思うが、このいずれに挿しても充電できるというのだから驚く。 だが、Type-Cインターフェイス用のアダプタなどあまり手持ちにあるものではないし(私でもあるほうだと思う)、あまりうれしくない気がする。 付属するアダプタはUSB-Aに対するもののみ。 なお、映像出力はalt modeで行うようだ(Display Port出力)。映像出力用のハブはオプション、全部入りでかなり大きい。 この点においてはX1のほうがはるかに良いだろう。 さすがにRJ-45端子やVGA端子は省かれてしまっているが、USB-RJ45アダプタが標準搭載である。 わずかに追加することでHDMI-VGAアダプタに変更することもできる。
キーボードはSpectreのものはhpの中でも良い。ストロークは短いが確実に入力でき、誤打率は割と低い。 この手の薄いキーボードとしては非常に良いほうだが、さすがにThinkPadのキーボードが相手では分がない。 また、Spectreは薄さもあって結構たわむ。
モニターはSpectreはグレア、X1はノングレアである。 Spectreのモニターは美しいが、業務で使うにはX1のディスプレイのほうがずっと良いだろう。 背部に関してはX1のほうがたわむ。ThinkPadはディスプレイのトラブルが続いているため、この点はかなり気になる部分だった。 hpは圧力負荷テストはかなりやっているようだし。
ポインティングデバイスはSpectreはボタンのないタイプだが、誤動作は少なくトラックパッドとしては 不満もない。くぼんでいて、昔のトラックパッドが進化したもののようだ。 だが、やはりトラックポイントとボタンの組み合わせにはかなわない。トラックパッドはやや邪魔で誤動作もあるが、トラックパッド自体の使い心地は他のものと比べても非常に良い。
重量はほぼ同じだが、hp全モデルに言えることとしてSpectreは重量感がある。 逆に1.14kgとSpectreより若干重いThinkPadは非常に軽く感じる。
価格は今回(2017-11-01)はThinkPadの値引きが強く、同等の構成で1.5万円ほどSpectreが高額であった。 ThinkPadのクーポンが延長保証に対しても効いたのは大きい。 保証についてはThinkPad側には最大4年の延長保証があった。hpは案内がなかったが、あるのかもしれない。
最終的に
最終的には使い方で決めた。
ThinkPadは質実剛健、ハッカーの相棒と言えば一目に納得する「いかついやつ」だ。 ThinkPadには、それを知らない人にも伝わる凄みがある。 ThinkPad、そのフラッグシップたるX1を持つということは、ハッカーとしての自分を表現することを支えることになる。 自信があり、それを裏付ける実力があり、それを発揮するための道具があるという信頼感を示すことになる。
だが、それは、一般の、コンピュータに遠い人にとっては最も遠い位置にあることになる。 ハッカーの持ち物であり、コンピュータの象徴、つまりは「怖いもの代表」だ。
一方、Spectreは美しく洒落ている。 特に女性ならファッションの一部として持ち歩いてもいいと思うのではないだろうか。 街中で見ることはほとんどないので、目も引くだろう。 実際、Spectreを女性に見せた反応は非常に良い。 一般の人にとっては遠く、遠ざけたい世界を身近なものに、IT業界を、そして人とITの関係を変えていくという理念を考えればまさにそれを象徴するようなものだと言えるかもしれない。
だが、それは質実剛健さ、実力といったものを期待する人からすればチャラいように感じられるかもしれない。 私に求められているのは、洒落た伊達男のファッションではなく、確かな実力と誠実さなのだから。
結局は次の要素からX1を選択した。
- キーボードの入力感の差は非常に大きい。生産性としてもストレスとしても
- 後部の仕様など、Spectreに若干の無駄を感じる部分があり、あまり好みでなかった
- Spectreのほうが高かった。性能・機能的にX1が優れていた分、Spectreのほうが1万円くらい安かったらもっと悩んでいた
- キーボード以外にも本体側剛性、重量バランス、ポートの配置、リッドの強度などThinkPadのほうが実用品として洗練されている
- Type-C x3というSpectreのインターフェイスに対する不満はかなり強かった。アダプタが色々と用意されていたなら印象はだいぶ違ったが
- ヒンジ側を握って抱えたときの安定感がX1のほうがずっと高かった。道具として馴染むかどうかというのは大きいと思う
- LENOVO側に明確に延長サポートがあり、それも比較的安価に提供された
- hpの販売スタッフの姿勢が消極的で知識も不足しているように感じられた。画一的な回答を返しているだけで、hp愛も感じられなかった
- ThinkPadのシルバーは全く印象が異なり、ThinkPadに備わっている重苦しさや威圧感がだいぶ和らぎ、スタイリッシュである
- 信頼できる道具がほしいこと、伊達よりも誠実こそが私の武器であること、私のライフスタイルから言ってもSpectreと私が馴染まない気がしたこと
Spectreのデザイン性はモチベーションを大きく上げるが、全体にSpectreには「微妙だな」と思う部分が多かった。 そのもやもやが覆されることがなかった、というのがSpectreを選ばなかった理由だ。 X1もSpectreも非常に魅力的だという前提があるため、選ばないという選択がなされれば他方は選ぶという選択がなされることとなった。
ハッカー御用達のタイプの近いモデルでの比較。
項目 | LENOVO ThinkPad X1 Performance | hp Spectre13 Standard | Dell XPS13 Standard |
---|---|---|---|
CPU | Core i5-7200U | Core i5-7200U | Core i5-8250U |
RAM | 8GB LPDDR3 | 8GB LPDDR3 | 8GB LPDDR3 |
Display | 14" FHD IPS non-glare | 13.3" FHD IPS glare | 13.3" FHD AG |
Storage | 128GB SATA M.2 SSD | 256GB PCIe NVMe M.2 SSD | 256GB PCIe SSD |
Wireless | Intel AC8265, BT4.1 | Intel AC8260, BT4.2 | Killer1535, BT4.1 |
Ports | 2x Thunderbolt3, 2x USB3.0-A, HDMI, microSD, microSIM | USB3.1-C, 2x Thunderbolt3 (alt), headset | 2x USB3.0 A (1 PowerShare), SD(SD/SDHC/SDXC), headset, Noble lock, Thunderbolt3 (alt) |
Webcam | 720p/Mic | HD TrueVision WebCam / DualMic | WideScreen 720pWebcam DualArray mic |
Speaker | Stereo | Bang&Olufsen Stereo Speaker | Waves MaxxAudio 1Wx2 |
battery | 3cell 57Wh, 15.3h | 4Cell, 10h | 60Wh, 18h |
Weight | 1.13kg | 1.11kg | 1.20kg |
Charger | 240g 45W USB-C, 2.4h | 200g 45W USB-C | 45W USB-C |
Price | 124,654 | 140,184 | 123,233 |
- X1は自動適用のJPWE1105クーポン込み、XPS13は15%オフクーポン込み
- X1はQHD(2550x1440), XPS13はQHD(3200x1800)液晶が選択可能
- X1はUSB3.0 Type-A GbEアダプタが、SpectreはThunderbolt USB Type-Aアダプタが付属
- XPSの駆動時間はスペックシートに記載がないため真偽不明
コメント
- DellはKabyLake-Rプロセッサモデルが選べる。下位モデルはKabyLakeで、こっちの安さはかなりの武器
- ちなみに、「第8世代」と呼ばれているKabyLake-R(8000番台)、ほとんどKabyLake(7000番台)と変化なしということでその呼び方が相当不評
- 16GBを積む選択肢があるX1とXPSと違い、Spectreは8GB固定
- スピーカーに無頓着なのはThinkPadの伝統。とはいえ、ラップトップの付属スピーカーにこだわる?
- USB Type-CしかないSpectreの使い勝手がかなり気になる
- すべてType-C給電。これからのスタンダードなのかもしれない
- さすがにスペック自体は似通っている
- X1のQHD選択可能はトピックスだけれども、XPSのQHDはそれを上回る。ただ少し特殊なドット数。
- ディスプレイ自体、Dellが美しい
- ディスプレイに関していえば、Spectreは綺麗ではあるけどグレアパネルで映り込みが激しく、作業上は不便
- XPSのベゼルは極度に薄く、そのためサイズ的には13.3インチとは思えないほど小さい
- ただ、この都合でXPSはウェブカメラが液晶の下側にある。個人的な意見としては、こっちのほうがいい
- SpactreもXPSも決して打ちやすいキーボードとは言えない。キーボードは圧勝
- また、この両者はタッチパッドも全くへこまない、ボタンもないものなので、ThinkPadが使いやすい
- 比較した時、14インチが欲しいならX1一択
- 14インチで13.3インチと同等の重量とはやはりすごい
国産の高性能モバイルとの比較。
項目 | LENOVO ThinkPad X1 (Customized) | Panasonic LX6 CF-LX6XDQQP | NEC Hybrid-Zero (Customized) |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-7500U | Core i7-7600U | Core i7-7500U |
RAM | 16GB LPDDR3 | 16GB | 8GB |
Display | 14" QHD IPS non-glare | 14" TFT FHD Anti-glare | 13.3" LED IPS FHD Non-glare, touch |
Storage | 256GB PCIe NVMe M.2 SSD | 256GB SATA SSD | 256GB SATA SSD |
Wireless | Intel AC8265, BT4.1 | Intel AC8265, BT4.1 | ac/a/b/g/n, BT4.1 |
Ports | 2x Thunderbolt3, 2x USB3.0-A, HDMI, microSD, microSIM | BD/DVD Super multi, 3x USB3.0-A, RJ-45(GbE), Mic, Headphone, HDMI, VGA | USB3.1-A, USB3.0-A, HDMI, Mic, Headset, SD(SDHC/SDXC) |
WebCam | HD/Mic | FHD/Array Mic | HD / Stereo Mic |
Speaker | Stereo | Stereo | YAMAHA AudioEngine Stereo 1W+1W |
Battery | 3cell 57Wh, 15.3h | 10.8V/3400mAh, 9.5h | 10.0h |
Warranty | 3年 | 3年 | 3年 |
Weight | 1.13kg | 1.295kg | 813g |
Charger | 240g 45W USB-C, 2.4h | 220g 45W, 3h | 192g, 3.5h |
Price | 170,532 | 274,228 | 189,300 |
- X1は自動適用のJPWE1105クーポン込み
コメント
- 14インチモバイルのライバルは実質Let’s Noteのみ
- Let’s
NoteはSバッテリーで1.295kg、Lバッテリーで1.495kg。14インチってそれくらいはする
- Sバッテリーで9.5hと多分こちらが本命。Lバッテリーは16hとかなり駆動時間が長い
- ちなみに、Let’s Noteはバッテリーパックが交換可能で、S+Lのセットもあったりする
- しかしThinkPadはType-Cなので、Dell電源コンパニオンをはじめPDなUSB-Cバッテリーで充電できたりする。RAVPower RP-PB058とか良いみたい
- Let’s Note全般に言えることだけれども、とても高い。これでもこのモデルは安い方(!)
- Let’s Noteは全体的にレガシィなインターフェイスを維持している。これは実用上大変にありがたい
- ThinkPadがハッカー向けの先進性なのに対して、Let’s Noteはさらに質実剛健で実用志向
- Hydbrid-Zeroはこのモデルでも813gと非常に軽い。タッチ対応の2in1なのでモデルタイプがだいぶ違う
- だが、実際ラップトップとして使っても決して劣らない性能を持っているところが恐ろしい
- 13.3インチ。13.3インチのほうが激戦だからか、なにやらすごいモデルが多い
- 残念ながらHydrid-ZeroはRAMは8GBまで。16GBは積めない
- LX6は7500U搭載モデルが比較的少ない
- LX6はカスタマイズできないけれどラインナップが異様なまでに豊富
- オーダー自転車を扱うPanasonicらしいとも言えるかもしれない
- X1で7600Uを選択することもできるけれど、性能差は1割未満。2万円近い値段差はほぼ報われない
- 興味深いのがHybrid-Zeroがマイク端子(3.5mm 3極)とヘッドセット端子(3.5mm 4極)を持っていること。そのため、2プラグ型のSkypeマイクも、1プラグ型のヘッドセットも両方使える
- 極限まで高性能化するThinkPad, 高性能パーツを使っているけれどそれ以上に高いLet’s Note, 性能高めのパーツ選択のHybrid-Zero
- こうして見ると改めて14インチのライバルの少なさをとても感じる
- 以前はXPS14なんてのもあったのだけれど…
検討に上がらなかったLenovo勢との比較
項目 | LENOVO ThinkPad X1 Performance | LENOVO ThinkPad 13 Standard | LENOVO ideapad 720S Platinum |
---|---|---|---|
CPU | Core i5-7200U | Core i3-7100U | Core i5-7200U |
RAM | 8GB LPDDR3 | 4GB DDR4 | 8GB DDR4 |
Display | 14" FHD IPS non-glare | 13.3" HD IPS non-glare | 13.3" FHD non-glare |
Storage | 128GB SATA M.2 SSD | 128GB SATA M.2 SSD | 256GB PCIe NVMe M.2 SSD |
Wireless | Intel AC8265, BT4.1 | Intel AC8265, BT4.1 | Intel AC3165, BT4.1 |
Ports | 2x Thunderbolt3, 2x USB3.0-A, HDMI, microSD, microSIM | 2xUSB3.0, Powered USB3.0, USB Type-C (DC-in/Video out), HDMI, Headset, Lenovo OneLink+, DC Power, 4in1(SD/SDHC/SDXC/MMC) Media Reader | USB3.0 Type-C(PD), Thunderbolt3(alt:DP, PD), 2xUSB3.0, Headset |
Webcam | 720p/Mic | 720p/Mic | WideScreen 720pWebcam DigitalArray mic |
Speaker | Stereo | Stereo | JBL Stereo |
battery | 3cell 57Wh, 15.3h | 3cell, 13.6h | 4cell, 12.8h |
Weight | 1.13kg | 1.44kg | 1.14kg |
Charger | 240g 45W USB-C, 2.4h | 240g Lenovo DC, 2.3h | 45W 200g USB-C, 3h |
Price | 124,654 | 64,152 | 87,048 |
- ThinkPad13はメモリがスロット式である上にスロット数が2。古き良き柔軟仕様
- このため、メモリ容量が少ないモデルに選択の余地があるので安く上がる
- ideapadの方はThinkPadとは全く異なる、ごく今風で普通のモデル
- キーボードはDellのものに近い。スピーカーにもこだわっていて、ライバルに近いもの
- SSDはNVMeだし、メモリはオンボード。このあたりも最新のモバイルラップトップの仕様
- ThinkPad13はエントリーモデルのような構成ではある
- Xシリーズと違って樹脂ボディ。キーボードも光らない
- しかし、メモリの交換が効くなど悪いことばかりではない
- +9,720でFHD液晶が、+1080円でバックライト付キーボードが選べる
- つまりX270よりも少し安い程度
- 実は液晶やキーボードも選べるし、付属してないだけでUSB-Cでの充電もできる
- ThinkPad13のオーダーモデルは納期が3-4週間と結構遅い
- ThinkPad13は結構キラーモデルだと思う
- 720Sのほうはライバルよりもちょっと安くて、同等性能のThinkPadの2/3くらいのお値段とかなり魅力的
- ただし、ThinkPadの良さはなく、キーボードやタッチパッドなども異なる完全に別物
- 別物だということを受け入れた上でなら実はとても良い選択肢。ライバルと比べても売れてないみたいだけど
ThinkPad X1の紹介
ThinkPad X1 Carbonについて改めて紹介しておこう。
ThinkPadは、かつてはIBMで販売されていたラップトップだ。 1992年に誕生した、A4サイズのラップトップ。
仕事に使える、持ち出せるコンピュータであり、先進的な、コンピュータメーカーの巨人であったIBMの矜持を詰め込んだラップトップだった。
堅牢性にこだわり、実用性にこだわり、キーボードにこだわった。 ThinkPadはあくまで「仕事をするための道具」だった。 21世紀が近づき、ラップトップも「おしゃれ」に化粧をはじめてもその質実剛健を実直に貫く姿勢から、信頼できる丈夫な道具を求めるハッカーやジャーナリストに愛された。
IBMのキャッチフレーズは“Think Different”だった。 日本IBMのボールペンには「考えよ」と書かれていた。
2005年にIBMのパソコン部門はLENOVOに売却され、ThinkPadもLENOVOから出ていますが、ThinkPadは今もThinkPadです。
「ビジネス」というと質素で退屈なイメージがある。その意味でThinkPadはビジネスという言葉とは若干ズレがある。 ThinkPadはハッカーや、優れたエンジニアが持っているととても様になる。 それを使いこなすことができる達人の道具、という趣がある。
ThinkPadにはThinkPadの哲学がある。 非常に強いこだわり、独自性があるのだ。 あくまでストロークが確保されたキーボード、「赤いポッチ」ことトラックポイントもその一部。 無骨なデザインも、ピースチキンと呼ばれる黒い塗装もその一部だ。
そのため、ThinkPadには熱狂的なファンが多い。 Mac勢(Appleファン)というのは基本的に熱狂的で偏屈なものだ。 だから、Apple製品を批判すると噛み付かれやすい。 それと比べWindowsユーザーを批判してもそうはなりにくい。広汎すぎるという理由もあるが。
だが、そんなWindowsユーザーの中で、熱狂的で強いこだわりをもっているのがThinkPadユーザーだ。 ThinkPadファンに対してケンカを売るのはあまり得策ではない。 こだわりがあり、能力があり、知識もあるThinkPadファンは、浅薄なディスりを受ければ相手を完膚無きまでに打ちのめすだろう。
黒の中に浮かぶ赤いぽっち。 まさにThinkPadらしさだ。
そんなThinkPadの、現代の頂点に立つのがX1だ。 2011年に登場したX1は、伝統的ThinkPadの継承である“Classic”ラインでありながら、薄型軽量で、最もスタイリッシュなモデルと位置づけられた。 2012年にはThinkPad X1 Carbonとなり、ThinkPadの頂点に立つモデルとして位置づけられてきた。
さらにコンバーチブルモデルのThinkPad YogaがThinkPad X1 Yogaとして合流している。
実際のところ、hpやDell、あるいはショップのプライベートブランドでも言えることだが、余計なソフトも入っておらず、基本的に使い方の分かっている人が買うものであり、ユーザー層もレベルが高い。 LENOVOにはLENOVOのPCもあるため、ThinkPadへの「無知なユーザー」の誘致はあまり積極的ではなく、「初心者お断り」な空気もあるにはある。
実際、生産性から言っても1から10まで教えてほしい人が購入するには向いていないだろう。
ThinkPad X1 Carbon 2017の紹介
ThinkPad X1 Carbonは14インチのラップトップだ。
14インチというのは、持ち歩きはあまり多くないことを想定した15.6インチと、持ち歩きだけを重視した12.1インチの間にある。 同じくそれらの中間である13.3インチが携行性を重視しているのに対して、14インチは性能や作業効率を重視しながら持ち歩きも考慮している、といった趣だ。
あまりこれらのサイズを取り揃えるメーカーというのはなく、特に14.0も13.3もあるメーカーというのは珍しい。実際、ThinkPadには13.3インチのモデルはない。
現行の14インチのラップトップは1.5kg前後のものが多い。 ちなみに、ThinkPadの14インチでエントリーモデルのE470に関しては1.9kgほどある。
ところがX1 Carbonは「14インチながら非常に軽い」というのが特徴だ。 方向性がかなり接近しているT470sが1.37kg、「軽い14インチ」として先鞭をつけたPanasonicのLX6が1.275kgであるのに対して、1.14kgとかなり軽い。これは13.3インチのhp Spectre13の1.11kgとほぼ同等だ。
しかも電池持ちが良い。 電池は容量と重量が比例するため、軽くするとバッテリー容量が減る。そうすると駆動時間が減ることになる。 そのため、小型軽量のモバイルPCは、意外と電池持ちがよくない。 それでもバッテリーをもたせるためにはCore MやAtomのような超低消費電力プロセッサを採用して性能を落として電気を使わないようにするのだが、X1はラップトップとしてトップクラスの高性能を兼ね備えている。 だが、電池持ちは14時間と非常に良い。
そしてCarbonの名の通り、カーボンファイバーを駆使して軽量だが堅牢なシェルを作っている。 フレームはマグネシウム合金製で、一眼レフカメラのようだ。
「大きめの画面ながらかなり軽くて丈夫で、とっても高性能で、電池もちもいい」 X1を簡単に言い表すとそういうことになる。
だが、それだけではライバルは多い。13.3インチ勢なら1kg前後というものもあるし、12インチまで落とすとLavie Hybrid Zeroに関しては779gと超軽量だ。 なかなかここまでバランスのとれたライバルはいないが、Envy13やSpectre13、XPS13などは強力なライバルとなるだろう。
だが、これら加えて極上のタイピングを提供してくれるキーボードがある。 慣れない人には使いにくいかもしれないが、トラックポイントも魅力的だ。
完璧じゃないかって? そう完璧だ。ここまで全方位にバランスの取れたラップトップは珍しい。 そうなると「すごく高い」という欠点があるのじゃないかと思うかもしれないが、国産モデル(NEC, Panasonic, Toshiba, Fujitsu, VAIOのことだ)を選択肢に考えられる人ならば、むしろとても安いことに驚くだろう。 最高性能を求めると結構高価になるが、それでも国産勢の高性能モデルとはだいぶ開きがある。
しかし欠点がないわけではない。 特に「普通の人」にとっては。
「おしゃれさ」優先の人には向かないだろう。 Let’s Noteとはまた違った意味で至って質実剛健、おしゃれさなど最初から求めていないし、そもそも色が黒しかない。今回X1にシルバーがあるのは、かなり驚きだ。
また、国産ラップトップのように、色々なソフトが詰め込まれているわけではない。 オプションでMS Officeはあるが、買ったらすぐはがき作成ソフトやDVD作成ソフトなど色々と入っていて欲しい人には向いていない。
「普通ではない」人に向けた話もしよう。
とにかく薄く、軽くしなければならないため、薄型ラップトップでは既に主流になっているが、組み込みになっているものが多い。 例えばバッテリーの自力交換はできないし、メモリは基盤実装であり増設も交換もできない。 SSDはM.2で交換は可能だが、普通のHDDが入れられるような構造ではない。 キーボードが部品として出ておらず、基盤も全部はずした上にパネルごと交換、というと驚くかもしれない。
つまり、X1を後からいじるのは難しい。基本的にメーカーに頼る必要がある。 しかも構成変更のようなことはほぼほぼできない。 ハードウェア的には、X1は渡された時点で完成品なのだ。
お勧めできるか
X1は「妥協なき高性能を持ち歩く」ことが中心にある。
持ち歩かない人にはあまりオススメできない。
それなりに扱いにくいハードウェア構成をしていて、改修ができない、修理代が高いという欠点がある。 あまり持ち歩かないのであればX1の良さを活かしきれない。 お金がありあまっているのならなくもない選択肢だが。
それにしても「持ち歩くための高性能」だと考えるべきだし、携行するときもあるけれど、携行重視ではないのならThinkPad T470sという選択肢がいいと思う。
そして13.3インチがいいか、14インチがいいか、という話になる。 13.3インチは他の人に画面を見せるときにはちょっと小さい。また、動画などを見る時には小ささを感じる。 それと比べ14インチは大きい。ただ、「モバイルとしては大きすぎる」と感じる程度に大きい。 14インチに価値を認めるならX1かLet’s Note、13.3インチがいいならその他ライバル勢ということになる。
しかし13.3インチが良いという場合でもThinkPadの素晴らしいキーボードがそれを上回る魅力を見せるかもしれない。 12.5インチのZ270は意外にも1.5kg近い。 重量が増加してもサイズが増加することを避けるのか、重量の増加を避け大型化を受け入れるのかという選択になるだろう。
ThinkPadの性能は選択によってアッパーミドルからハイエンドといったところ、 軽量、頑丈、大型ディスプレイなど隙がない。 モバイルラップトップとしては最高性能に近い。このため、次のような動機の人にならオススメできる。
- 高性能で携行性の高いラップトップが欲しい
- 携行性の高い、しかし画面の大きいラップトップが欲しい
- キーボードがいいラップトップが欲しい
携行性はいらず、高性能なものが欲しい場合は、ThinkPad P51を検討するといい。 携行性はそこまで重視せず、高性能なものが欲しい場合はThinkPad T470sを検討するといい。
携行性をそれほど求めず、画面が大きいものを望むのなら、 ThinkPad T470sのほか、XPS15も良い選択肢だ。 携行性を重視し、画面サイズは小さくていいのなら、Spectre13やXPS13、Hybrid-Zeroなどが有力な選択肢だ。
Let’s Noteは常に強力なライバルである。ただし、高い。
キーボードを望むならThinkPadしかないが、次のような選択肢幅がある
- やや重いがより小型で安価 : X270, A275
- やや重いがやや安価 : T470s
- 同サイズで携行性・性能は妥協、安価 : E470
- 大きめサイズで携行性は妥協、安価 : E570, E575
- 重量は重いがより高性能 : P51
ちなみに、実際にタイプすると他のシリーズとは若干だが感触が違う。 個人的にはX1, T470s, P51/s, その他の順だ。