Chienomi

「私の最強PC」の詳細解説

Live With Linux::desktop

私のPCのスペックは何度か紹介しているが、ついにそのビルドが仕上がった。 今や最新型というわけでもないが、それでもなお最強の名に恥じないビルドであり、かなりの工夫をこらしている。

今回はこの1台にフォーカスして紹介していこうと思う。

この記事はLinuxやハードウェアのテクニカルな話を多分に含む。

計算力

コンポーネント ハードウェア 補足
CPU AMD Ryzen9 5950X
ビデオカード AMD Radeon RX7950XTX リファレンスカード
メモリ SanMax SMD4-U32G48H-21P-D 16x2GB, DDR4-2133
マザーボード GIGABYTE X570S UD
電源 Antec HCG1000 EXTREME 1000W Gold

X570SにRyzen9 5950Xは当時最強のパッケージングであり、1世代前のフラッグシップである。 ただし、メモリは32GBとほどほどで、最大3200MHzをサポートするのに対してDDR4-2133とやや性能を制限するような構成になっている。ECC対応でもないため、メモリは性能を突き詰める余地がある。

対してビデオカードはCPUよりも1世代新しいRX7000シリーズのハイエンドモデル、RX7950XTXを選択。 ここから1〜2世代新しいプラットフォームにおいてもなんら不満がないパーツであるため、環境持ち越しを見越したものとなっている。

構成自体はゲーミング感があり、ビデオカード重視に見えるが、実際はCPU重視である。 ビデオカードに7950XTXを選択したのは、「ビデオカードの性能で悩まされるのが嫌になった」という事情。

1000Wの電源はもともとRX6900XTを搭載することを想定して選択したもの。 それでもやや過剰だが、RTX4080はともかく、RTX4090を積むにはやや心もとないかもしれない。

私のワークフローでの実用上の性能はIntel CPUと比べ圧倒的にAMD CPUが優れているため、AMD CPUを選択するのは当然のところ。

AMDグラフィックスの選択は、Linuxにおけるドライバの出来の問題(AMDのドライバが圧倒的に安定していて、Nvidiaのドライバにはかなり問題がある)と、GeForce Experienceはユーザー登録必須だけれど、Radeon ReLiveの利用はユーザー登録が必要ないという点を評価している。

ただ、現状ではAV1エンコーディングもAMF H.264もLinux上では動かないため、その真価を発揮できていない。

このマシンの難点は、170〜460Wという非常に高い消費電力。 使用中は常時200Wを超えるレベルであるため、電気代がかなり気になる。 AMDはこのあたりを改善してほしいところだ。

ストレージ (SSD)

概要

内蔵ストレージ
製品 タイプ 容量 FS マウントポイント 用途
Corsair MP510B M.2 PCIe 960GB Ext4, Swap / Linuxのメインシステム
ADATA SX8200PNP M.2 PCIe 2048GB NTFS, Ext4 C:, ~/.cache Windowsのシステムとキャッシュ
PNY CS2241 M.2 PCIe 1TB NTFS D: Windowsのゲーム関連
SanDisk Ultra SATA 2TB Btrfs - “local” Btrfsプール
Samsung 870Evo SATA 2TB Btrfs - “local” Btrfsプール
USBエンクロージャ
製品 タイプ 容量 FS 用途
ADATA SX8200PNP M.2 PCIe 2048GB Ext4 ホットなメディアデータ
hp SSD EX920 M.2 PCIe 1024GB NTFS, Btrfs ポータブルなゲームとポータブルなデータ
SanDisk SSD Plus SATA 2TB Ext4 クリティカルなバックアップ

すべてのLinuxファイルシステムの置かれるブロックデバイスはLUKSで暗号化されている。

システムディスク

内蔵だけで8TB, エンクロージャによる外付けも含めると13TBの大容量である。

基本となるLinuxシステムは、MP510Bにルートファイルシステムが配置され、~/.cacheはWindows用ディスクであるSX8200から120GBほどを借用して割り当てている。

~/.cacheを分ける最大の理由は、ウェブブラウザが極めて頻繁に書き込むためである。 このI/Oがシステムをスローダウンさせたりフリーズさせたりする原因になるため、高速な別のディスクに分離させている。 ウェブブラウザ以外も同様の問題を引き起こすことがあるため、この分離はパフォーマンスを大きく向上させる。

そのWindowsシステムはDTM用に組まれており、2TBのSX8200には容量的な余裕がない。 ビデオカード強化によってゲームも可能になったが、ゲームを置くだけのスペースはないため、CS2241をサブディスクとして配置している。これはRadeon ReLiveの録画置き場でもある。

2台のSATA SSDは1つのBtrfsで組まれた4TBのファイルシステムである。 Meta dup, Data stripe、つまりメタデータはRAID1, データはRAID0として扱われている。 メタデータは容量的には小さいため、容量上はおよそ4TBのディスクであると考えて良い。

この “local” は様々なデータの置き場である。 例えば写真データや音楽データ、素材ファイルなど、アクセスが比較的多いメディアデータの置き場であり、ストレージサーバーのHDDの負担を減らすためのものでもある。

また、「ライブな」データの置き場でもある。 ストレージサーバー上のデータは基本的に「コールドな」データを置くものであり、ストレージサーバー上のファイルが編集されることは基本的にない、という扱いである。 しかし、非常に高い頻度で更新される「ホットなデータ」ではなくとも、ある程度更新機会がある「ライブなデータ」はまあまああるもので、これらはSSD上に配置され、重要なデータは別途バックアップされている。

これらのライブな、あるいはホットなデータはその範囲が広がり、容量は増加してきた。 それは、SSDの価格低下によって手元で持ちやすくなったのもあるし、ストレージサーバーの容量が増加しているために同じ割合でデータを持っていても手元データサイズは大きくなっていくという理由もある。

こうしたライブなデータの容量は約1TBほどである。これだと3TBほど余ることになるが、これは「作業領域」である。

このPCは「作業環境」であり、「計算力」である。 データの変換や圧縮など計算力がいる作業を行うための「元データ」と「変換済みデータ」を配置する必要がある。

「元データ」が置かれるサイズは基本的にそのデータを生成するデバイスのストレージ容量に依存する。 例えば寝室のWindowsディスクは2TBなので2TBよりも大きなデータを保持することはないし、スマートフォンは512GBなので、512GBよりも大きくはならない。 とはいえ、これらのデータを吸い上げて即座に処理する…というわけでもなく、ある程度溜め込めるだけの容量が必要となる。

今のところ、メイン機が修理でしばらく使えなかった間に2TBギリギリになってしまい、データ移動など調整が必要になったことがある程度で、「2TBなら足りる」という感じである。

なので、容量だけの話でいえば870Evoを買うとき、別に2TBでなく1TBでもよかったのだけど、1TBは2TBと比べてだいぶコスパが悪いし、同一容量にすればストライピングで性能を上げることが可能なので、合わせて4TBとなっている。 これらのディスクのライフのうちに「ローカルキャッシュ」の容量に4TBが必要とされることがあるかはわからないが、余裕があれば運用は楽になる。 「一時的に頻繁にアクセスするデータ」をまるごとファイルサーバーから持ってくるのもやりやすい。

なお、SanDisk Ultra (= WD Blue 3D)と870Evoは非常に大きなシーケンシャルライトでも350MB/s以上を維持できる1稀有なSATA SSD。 これをRAID0で組み合わせたところ、700GBのデータ書き込みで常時750MB/s以上を維持し、かなり快適な使い心地となった。 もちろん、RAID0は遅い方に引っ張られるため、できれば同じ銘柄に揃えたほうが良い。

外付けディスク

USBエンクロージャに入っているものは重要な話ではないが、補足しておこう。

SX8200を使っているものはメディアデータが入っている。 デジタルコンテンツのメディアデータは基本的にストレージサーバーに置けるような「変更されない」データではあるが、アクセス頻度が高いものはいちいちストレージサーバーを起動する気にならないし、HDDへの負担も気になるため、SSDに置いている。 ここに入っているデータは、動画データと、DLSiteのデータがほとんどである。

これはシステムにある「ローカル」ディスクの延長線上だが、寝室PCで使うことも多いため、USBディスクのほうが便利。

EX920の「ポータブル」の意味はそれぞれ違う。 「ポータブルなゲーム」は、インストールをしなくてもファイルを置いていれば起動できるゲームを置いている。

「ポータブルなデータ」は、外に持ち出して使うことがあるデータである。 カテゴリごとにBtrfsのサブボリュームで分かれており、人に見せる場合などに間違って他のデータにアクセスしないようにしている。また、一部のサブボリュームはEncFSで追加で暗号化されている。

EX920に置かれているデータは共存させるべきものではなく、本来分離すべきだが、容量上の都合で混ざっている。

SSD Plusは「緊急用バックアップ」である。 これは火事や自身などの緊急時において「極めて重要なデータ」を持ち出すために作られているもので、たとえば写真や動画、開発ディレクトリなどが配置されている。 また、「ローカル」に置かれている「ホットなデータ」のバックアップでもある。

ディスプレイ

製品 解像度 サイズ リフレッシュレート 位置 スケーリング
Dell S2817Q 3840x2160 27in 60Hz 正面右 1.75
Dell S2817Q 3840x2160 27in 60Hz 正面左 1.75
Aopen 24HC5QRPbmiipzx 1920x1080 湾曲23.6in 165Hz 手元左 1.0

高精細で色再現性も高い4k IPSディスプレイを2台、165HzのVAゲーミングFHDを1台という構成。

もともとは32インチの4k VA液晶を正面に配置していたが、3台より2台のほうが効率的という判断と、4kを寝室に回すためにこれを外し、代わりに高リフレッシュレートでプレイしたいゲームにも使えるようにFHDディスプレイを手元に配置した。

4kディスプレイ2枚は作業領域としては満足できるものだが、画面上に出すだけ出しておきたいというものもあるため、FHDのディスプレイをサブとして用意することでSNSやメールなどを常時表示している。

ディスプレイの配置上、目からディスプレイまでは150cm以上あり、27インチでも結構小さい。 スケーリング1.75なのできれいではあるが、情報量はそこまで増えておらず、手元正面への4kディスプレイの追加はアリかもしれないというのを少し考えている。

ただ、スペース的な事情で難しく、ディスプレイは消費電力も大きい(ディスプレイを追加するとビデオカードの消費電力も増える)ので、追加がベストとは言い切れない。 離れたところにある小さな文字を見るのはしんどいので、あると良いとは思うが。

オーディオ

概要

  • 内蔵アナログステレオ - ELECOM MS-76MA
  • ビデオカード - ディスプレイ (DELL 1)
  • ビデオカード - ディスプレイ (DELL 2)
  • ビデオカード - ディスプレイ (Aopen)
  • Native Instruments Audio4DJ (Ch.A) - Switcher - DENON DRA-F102 - DENON SC-F103SG
  • Native Instruments Audio4DJ (Ch.B) - STAX SRS-3100
  • Universal Audio Volt1 - JBL 305P Mk.II

音は楽しむためにも、効率を上げるためにも非常に重要なファクターだと考えているため、状況に応じて最適化できるよう作り込んでいる。

ELECOM MS-76MA

小型だが音量も出て、声が明瞭に聴こえる良いスピーカー。

デフォルト出力先となっており、システムサウンドを鳴らすほか、YouTubeの再生などもこのスピーカーから出る。

最近のスピーカーと違いスタンバイモードに入ることもないため、システムサウンドをちゃんと鳴らせるのもポイントが高い。

スピーカーはモノによっては1台に集約することも考えられるケースはあるが、どんなスピーカーを用意してもこのスピーカーはあったほうが良い。 単に安くて小さなスピーカーであれば良いわけではないため、代替選択肢もなかなかない。

DENON オーディオシステム

5.5インチのパッシヴスピーカーを鳴らすDENONのオーディオコンポのAUX入力に通すもの。

より「強く」音楽を聴きたいときの選択肢で、いい音ではあるがベースブーストも入れているため演出の強い音であり、音場はシビア。 BGMというより、音楽に浸かりたい気持ちのときに使われる。

AudaciousおよびStrawberryのデフォルト出力先。

基本的に音楽を聴くときにしか使わない。

PulseAudioからはAudio4DJのAとBは別デバイスに見えているため、同一インターフェイスである影響は全くない。

STAX SRS-3100

STAXの中では最も安いシステムだが、さすがに音は非常に良い。

こちらも音楽への没入を求めるときに使われ、スピーカーで聴くかヘッドフォンで聴くかの選択になっている。

こちらも基本的に音楽を聴くときにしか使わない。

JBL 305P Mk.II

音楽制作環境として用意されている系統だが、ニアフィールドモニターでありながらスイートスポットが非常に広いという特徴を活かし、部屋の中でも割と動くときや、部屋から立つ場合もあるとき、あるいはBGMとして音楽を流したいときに使っている。

ソースによっては動画再生でも使うことがある。 mpvのデフォルト出力先。

Windowsでもゲーム時のデフォルト出力先になっている。

AKG K712 Pro

音楽に集中しているわけではないが、ヘッドフォンが必要な場合に活躍しているのがK712 Pro。

サウンドが最高に良いわけではないが、サウンド的にもつけ心地としても非常に疲れにくく、長時間聴いていられる。 通話のときも、作業BGMにも、あらゆる場面で使いやすいスグレモノである。

このヘッドフォンはVolt1と組み合わせて使用することが多い。 DENONのシステムでは音が重いし、Audio4DJはディスプレイブリッジの裏にあるため、接続するのはとても面倒だ。 本体のフロントパネルはアクセスしづらいし、音質的にも出力的にもやや物足りない。

Volt1は最もアクセスしやすい場所にあり、通話する場合はVolt1のマイクを使うからモニタリングも可能、サウンドもよく出力も大きいとさ条件が揃っており、K712を接続するのに適している。

マイク

普段はVolt1にCrenovaのエレクトレットコンデンサーマイクを組み合わせている。

これは音質などよりも、繋ぎっぱなしにしていてあまり気にならないためだ。 音質にこだわる場合は他のマイクを用意する。

HID

タイプ 製品
キーボード Razer HUNTSMAN Tournament Edition
マウス Fantech Aria XD7
マウス Digio2 MUS-RKF165BK
ペンタブレット XP-PEN Deco M

キーボードは今のところ確定に至っていない。 というのも、机が35度くらい傾けてあって、後継で使うスタイルであるため、通常と荷重のかかり方が大きく異なり、理想的なキーボードが違ってくるのだ。

キーが軽く、ゲームにも使えるHUNTSMAN TE (リニア35g)は悪くはないが、軽すぎるとも感じている。

マウスは後継姿勢で自然に握れるDigio2のマウスが主力だが、非常になめらかな動くなAria XD7を使う機会が増えている。 画面が広く、そもそも私はマウスは一瞬触るだけという使い方が多いため、軽いマウスに結構なメリットがあることを感じているためだ。

いずれにせよ、メインPCのHIDはまだ完成の域に至っていない。