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Why Manjaro Linux?

Live With Linux::manjaro

Manjaro LinuxはArch Linuxを上流とするLinuxディストリビューションである。

Arch Linux同様、ローリングリリースであり、AURやArchwikiといった、Arch Linuxの財産を活用できる。

一方、Manjaro LinuxはUbuntuにおけるLinux Mintと位置づけられており、ややマニアックで難しい要素のあるArch Linuxを万人向けにしたものである。1

Manjaro LinuxのリポジトリはArch Linuxのものを 使用するわけではなく、独自である 。 Arch Linuxと比べるとじっくり検証に時間をかけるためやや遅めだが、それでも全体からすれば非常に先進的な部類に入る。

なお、Manjaro Linuxは私が今メインで使っているものである。 比較可能なだけの知識があるのかどうか疑問に思われる方もいるだろうから紹介すると、ここに至るまでメインのLinux環境は

  1. Red Hat Linux
  2. Fedora Core
  3. SuSE Linux
  4. Momonga Linux
  5. Mageia
  6. Sabayon Linux
  7. PCLinuxOS
  8. openSUSE

と変遷した。 メインではないがある程度以上使ったことがあるものは以下の通り

  • Red Hat Enterprise Linux
  • Fedora
  • Korora
  • CentOS
  • Scientific Linux
  • Vine Linux
  • Debian/GNU Linux
  • Simply MEPIS
  • KNOPPIX
  • Damn Small Linux
  • Tiny Core Linux
  • SliTaz
  • DebianDog
  • CrunchBang Linux
  • Ubuntu (and fravors)
  • Ubuntu Studio
  • Linux Mint
  • Linux Mint Debian
  • Ultimate Edition
  • Bohdi Linux
  • LinuxBean
  • ZorinOS
  • Puppy Linux
  • Berry Linux
  • Miko Gnyo/Linux
  • Slackware Linux
  • Slax
  • Porteus
  • Plamo Linux
  • Suse Linux Enterprise Server
  • Mandriva Linux
  • OpenMandrivaLX
  • Frugalware Linux
  • Mosquito Linux
  • OpenWrt
  • DD-WRT
  • IPFire
  • Arch Linux
  • Chakra
  • System Rescue CD
  • Clonezilla
  • Voyage MPD
  • BackTrack
  • Kali Linux

非LinuxのUnixだと

  • SunOS
  • FreeBSD
  • PCBSD
  • OpenBSD
  • DragonflyBSD
  • Solaris
  • Open Solaris
  • OpenNexenta

Why Arch Linux

数多くの苦労を重ねた私にすれば、「Archは楽園」である。

Arch Linuxは基本的にアップストリームをそのままパッケージにしており、非常に素直である。 これは、設定を把握する苦労がないという点において非常に大きい。デフォルトの設定が何であり、どのように振る舞うということさえ認識していれば、新たな、そのためだけの知識を獲得せずとも推測できるため、その負担が少ない。

パッケージの分割も適切であり、不必要なソフトウェアを入れることがない。 パッケージングシステムは秀逸だ。ローカルのインストールであっても必要に応じてリポジトリからパッケージを取得するし、循環パッケージのインストールにも苦がない。 必要がなければオフラインでのインストールも可能で、依存しているソフトウェアの削除、依存されているソフトウェアの削除も任意に行える。urpmiのように他のパッケージを破壊してまで削除するわけでは(デフォルトでは)ないし、消せるものだけを消すことができる。

さらに、Archのパッケージの本体であるPKGBUILDは秀逸であり、専用の関数の定義されたシェルスクリプトで手を入れやすい。 さらに、Archのパッケージはソースコードを含めソフトウェア本体を含む必要がなく、それ故にVCSパッケージや、再配布が困難なソフトウェアのパッケージも作りやすい。

Arch Linuxに極端で頑ななこだわりがあるわけではないのもポイントだ。 アップストリームのパッケージに手を加えないというのは「基本的には」であって、必要であればパッチを当てたパッケージになっていたりもするし、極端に機能を絞り込むわけでもなく、「ユーザーが望むであろうコンフィギュレーション」を採用しているのもポイントが高い。

Archwikiは日本語のLinux情報としては最大の、なおかつ非常に信頼できる情報源である。 Archwikiはユーザー編集であるから内容が保証されているわけではないが、Arch Linuxユーザーのレベルが全体的に高めということもあり、かなり信頼性が高い。必要であれば英語版へのアクセスも容易。

Linuxユーザーであれば誰もがお世話になるArchwikiだが、Arch Linuxユーザーであればその内容がそのまま適用できるのはポイントが高い。

さらにAURは、ユーザーコミュニティのリポジトリであり、非公式だが公式にホストされている。 極めて膨大なソフトウェアが収録されており、それ故にUbuntuをしのぐ非常に多岐にわたるソフトウェアがコマンド一発でインストールできる。 (Ubuntu用しかないようなパッケージも、UbuntuのパッケージをソースとしているためにUbuntu以上のパッケージラインナップが実現している) そして、それぞれ野良リポジトリの追加をするようなことをしなくても良い。

Arch Linuxはローリングリリースであり、いつもどおりアップデートしていけば常に最新の状態が保たれる。 ソフトウェアはほぼ最新版が維持され、Fedora以上に先進的なバージョンが適用される傾向がある。 それでいながら、Fedoraのように細かい周期で再インストールするような必要はない。

非常に長い期間再インストールせずにArch Linuxを運用している人もいるが、構成に関する根本的な変更があったときは再インストールすることを推奨する。最近だと2012年のSystemd採用が挙げられる。 デスクトップ環境のメジャーバージョンアップも場合によっては含まれるが、それは一旦全消ししてから入れ直せば済む。

利用可能なカーネルにセキュリティ重視のHardenedやDebian向けにパッチ当てのされたZenが選べるのも魅力のひとつ。

Arch Linuxの思想にミニマルである。 インストーラーはなく、あくまでユーザーがインストールする。これによって、何がインストールされているかを把握することができる。その上で必要なものをインストールしていけば良い。 そのためにインストール作業が必要になるが、典型的なものであればドキュメントに従うだけであり、より高度な設定が必要な場合も他のディストリビューションよりはやりようがある。

一方、他のディストリビューションでは意識することのない手間が発生するときもなくはない。

Why Manjaro Linux

Manjaro LinuxはよりユーザーフレンドリーなArch Linuxだ。 ライブ起動し、インストーラーがあり、セットアップ済みのデスクトップ環境が導入される。 そして、そこには多くのユーザーが欲するアプリケーションが含まれる。

ArchのようなWhat you wantを実現する方法もある。 Architectを使えばパッケージを細かく選択してインストールすることもできるし、Arch Linux同様の方法でインストールすることも可能だ。

Manjaro LinuxにはArch Linuxにはないいくつかのツールが含まれている。 Pamacは「ソフトウェアセンター」型のGUIを含むPacmanフロントエンドであり、AURヘルパーとしても機能する。

mhwdはカーネルの管理、ビデオドライバーの導入などが可能。 ビデオドライバーの変更も可能であり、Arch Linuxでついてまわるビデオドライバー周りの手間(特にNvidiaプロプライエタリ)がなくなっている。 また、PCI/USB周りのドライバー関係の導入/設定なども可能で、mhwdがある関係で無線LANドライバーなどは必要なら自動的に導入される。 ドライバー導入に「最適な」ドライバという指定が可能なのも魅力的だ。

そして、Manjaro Settings Managerを使えばmhwdで行う操作はGUIで行える。 Manjaro Settings Managerは他にもユーザーアカウントの管理、ロケール、言語パッケージなども扱うことができる。 導入しているソフトウェアに今使っている言語のl17nパッケージが存在する場合には、インストールするように勧めてくれる。

多くのユーザーが求める、Arch Linuxでは公式パッケージにないものが公式パッケージに含まれているのも特徴的だ。 例えばTrizenやYayといったAURヘルパーが公式パッケージになっている。 いくつかのパッケージは、Arch Linuxにおいては最適化のために除外されているオプションを有効にした状態でコンパイルされている。Arch Linuxよりも機能性を重視する傾向だ。 カーネルはArch Linuxのように種類がなく、通常のカーネルとRTカーネルしかない。だが、Manjaro LinuxのカーネルはArch Linuxよりも多くの機能を有効にした状態でコンパイルされており、またArch Linuxにおけるzenカーネル及びlqxカーネルで使われているパッチの多くを取り込んでいる。

Manjaro Linuxは、Arch Linuxがユーザーに知識があることを前提としているのに対して、たとえ知識がなかったとしても素の状態で多くのユーザーにとって最適になるように調整が加えられている。 一方、設定などはManjaroの設定パッケージによるものを除けば、Arch同様アップストリームを尊重するものであり、設定に煩わされることも少ないのもまた特徴的だ。

もちろん、それは初心者向けという側面もあるが、技術力がある人にとっても、非本質的な要素に煩わされる機会が、Arch Linux以上に少ないというメリットがある。ほとんどのケースにおいてManjaroのお勧めにお任せしておけば良くね何かが欠けている(ために何かをしなければならない)ケースはArchよりも少ない。

XFceでは(Linux Mintのように)Whiskerが標準になっているなど、よりクールで使いやすい設定になっている。

しかも、Archwikiの内容が(100%ではないが)だいたいそのまま適用でき、AURはほとんどそのまま利用できる。 楽園たるArch Linuxよりも、さらにユーザーを煩わしさからの解放を実現したのがManjaro Linuxである。

Arch LinuxとManjaro Linuxのローカリゼーション(日本語化)

どちらも日本のコミュニティで作られているわけではないので、日本語化作業は必要である。

とはいえ、非常に簡単だ。Arch Linuxはインストール手順でロケールの生成をしているし、Manjaroはインストーラーがロケールを生成する。そのため、日本語を有効にしてインストールしていればだいたいの部分は解決している。 また、両方ともベースセットになるフォントに日本語が含まれているため、最初から日本語の表示はでき、残りは日本語入力及び変換だけだ。

それは、次のようにすれば良い。2

pacman -S fcitx-im fcitx-kkc

そして、~/.xprofileに次のように記載する。

export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx

あとはリログすれば普通に使えるようになっている。何ら難しいことはない。

以下はもう少し発展的な内容だ。

Mozc(Google日本語入力のOSS版)を使いたい場合は次のようにする。

pacman -S fcitx-mozc

私がメンテナンスしているfcitx-mozc-neologd-utパッケージはさらなる変換効率の向上がはかったものだ。 これを使いたい場合、AURのパッケージなので、Manjaroの場合Pamac GUIからインストールすればいい。あるいは、Trizenを使うのなら

trizen -S fcitx-mozc-neologd-ut

である。なお、Arch Linuxの場合、一番入れるのが簡単なAURヘルパーはYayで、

$ sudo pacman -S go
$ git clone https://aur.archlinux.org/yay.git
$ cd yay
$ makepkg
$ sudo pacman -U *.pkg.tar.xz

という感じで導入できる。

日本語フォントもデフォルトでは結構甘いので、ちゃんとしたのを入れたほうが良い。 最も話が早いのはotf-ipafontを入れることである。また、源ノ角ゴシック及び源ノ明朝も公式パッケージになっており、adobe-source-han-sans-jp-fonts及びadobe-source-han-serif-jp-fontsである。 他にもAURに多くのフォントがあるが、なんなら~/.fonts以下にフォントを単純に突っ込んでもよい。